大反響だったTABIZINEの過去記事「この写真のお箸、何がいけないかわかりますか?お箸のマナー違反TOP3!」では箸の使い方について紹介しましたが、ナイフとフォークに関してはどうでしょう?
そこで今回はクールジャパン講師会の会長・椎屋美根子さんに、ナイフとフォーク、さらにはスープを飲むときに使うスプーンのマナーを聞きました。
ナイフとフォークの正しい持ち方
最初は要注意な持ち方。特に意識していないという人も多いと思いますが、
・脇を閉める
・人差し指と親指が前を向くようにカトラリーを持つ
といった点を意識していますか? 油断をしていると写真のように脇が開いてしまいがち・・・。注意したいですね。持ち方についても、指が2本前に出るように握ってはNG。
・げんこつの中で柄を握り、親指と人差し指がカトラリーの先端に向く
ように持ってください。また当然ですが、ナイフやフォークを持ちながら振り回したり、人を指さしたりしては駄目。親しい人との食事中に話に夢中になるとやってしまいそうですが、注意したいですね。
ナイフとフォークの正しい置き方
一時的に食事を中断してナイフとフォークを置く場合は、
・八の字に、お皿の縁が汚れないような場所に置く
が基本だと言います。写真はカトラリーを交差させている上に、フォークが腹向きに置いているのでNGですね。食事を終えた際のカトラリーの置き方は、イギリス式、フランス式、アメリカ式で異なるそうで、
・イギリス式はナイフとフォークを時計で言えば6時の位置
・フランス式は3時の位置
・アメリカ式は3時と6時の中間
が正解。そろえ方は左側がフォーク、右側がナイフで、ナイフは刃をフォーク側に向けて置くと決まっているみたいですね。
次はカトラリーを落としてしまったときのマナー。
ナイフとフォークの正しい拾い方
万が一、カトラリーを床に落としてしまった場合は、どうすればいいのでしょうか。
・手を挙げて拾ってもらう
が基本で、勝手に手を机の下(他のゲストの見えない位置)に下げると、同席者から不審な動きとして見られてしまいかねないのだとか。日本だとなかなか考えられないかもしれませんが、治安の安定しない地域などでは、状況によって机の下にある拳銃や刃物を取るような動作にも見えてしまうのですね。
落とした場合は自分で拾ったり、「すみません!」などと大声を出したりせず、写真の女性のように落ち着いて手を挙げ、ホールのスタッフを呼んでください。床に落ちたカトラリーの音で同席者を驚かせてしまったときは、「失礼致しました」とわびておきたいですね。
ナイフとフォークの正しい使い方
そのほかにも、ナイフとフォークの使い方に関する注意点として、
・ナイフで料理を刺さない
・ナイフやフォークのソースをなめない
・カチャカチャと音を立てない
といった点が一般的に挙げられると言います。その意味で写真の男性はもちろんNG。
スプーンの正しい使い方
スープをスプーンで食べる際には、
・スープ皿(ボール型も含む)を手に持つとNG。カップ式の場合は手に持って飲んでも問題ないが、その場合スプーンは皿の上に置く(使わない)。
・皿の縁に左手を添える
・手前から奥にすくう
・スプーンの横から飲む
・ズーズーと音を立てない
・スープが少なくなってきたら、皿の手前を持って奥に傾け、奥に向かってスプーンですくう
といった動作が基本として挙げられるそう。その意味では、写真の女性はスープ皿を手に持っているのでNGですね。
ただ、写真のようにスプーンの先端から飲む方法については、地域によって判断が異なるそう。椎屋さんによれば、
「イギリス式は、スプーンの横からスープを飲みます。しかし、フランス式では、スプーンの先端から飲む人も多く、必ずしも間違いとは言えません。」
との話。食事をする場所や相手を見ながら調整したいですね。
飲み終えたら、スプーンはスープ皿の中に置いても構わないみたいです。スープを残すとき、あるいはボール型や取っ手の付いたスープ皿が出てきた場合には、スープ皿ではなく受け皿の右側に垂直(縦)に、または奥(向こう側)に横向きにスプーンを置くといいそう。
スープを残した状態でスープ皿にスプーンを放置していると、終了なのか、食べている途中なのか、ウエーター・ウエートレスが判断しにくいからですね。
ボール型やカップ型のスープ皿にスプーンを放置しない理由は、お皿を下げるウエーターとウエートレスに、不安定な作業を強いる形になるからだとか。
以上、ナイフとフォーク、さらにはスプーンのマナーについて紹介しましたが、いかがでしたか?
スープの飲み方でも少し触れた通り、テーブルセッティングやマナーは、フランス式とイギリス式で異なるそう。日本は晩さん会などの公式作法も、セッティングを含めてイギリス式を採用しており、プロトコール(国際儀礼)でもイギリス式を用いている国が多いと言います。ただ、
「フランス人の方と食事をする場合、フランス式セッティングがされているレストランなどでは、その場に応じてフランス式に対処できれば良いですね。食事中に気まずい雰囲気を作らない事が、相手に対するマナーです」
とは椎屋さんの言葉。海外に出かけて現地の人と食事をしたり、日本で海外の人と食事をする場合は、どういった作法が最適なのかを事前に考えて、簡単にでも予習をできると安心かもしれませんね。
写真は京都迎賓館の公式(イギリス式)セッティング。椎屋美根子さん提供
[取材協力・・・椎屋美根子。クールジャパン講師会・会長。海外でのVIP接遇を経て、プロトコール(国際儀礼)を身につける。2011年、人材育成事業「Office Heartful Manner」を起業し、国内外において講習、研修などを行う。主な著書『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)など]
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