熱海の仲見世通り商店街。たくさんのお店が軒を連ねるこの通りに、人々から絶大な支持をうける甘味処があります。
お店の名前は、『中村屋』。商店街をぶらぶらと歩けば、その店先に置かれた、「中村屋のくずきり」とうたう看板に、目がとまります。
熱海散策に少し疲れ、甘味に釣られところで、中村屋にお邪魔しました。
涼やかで美しい、こだわりの葛きり
上品な雰囲気が漂うカフェ・スペースに腰をおろし、さっそく、葛きりを注文します。
すると、まず運ばれてきたのは、葛きりではなく、ほうじ茶と和三盆のお菓子。
ほうじ茶でひと息つきながらいただく和三盆のお菓子は、優しい甘さ。口いっぱいに甘みが広がります。
そして、和三盆の甘い余韻が去った後、まだか、まだかと、本命の登場を待ちわびていたところに、念願の葛きりがやってきました。
なんとも豪華な、くずきりの様相。
椀のなかに浮かぶのは、白く透き通った、美しい葛きり。もう一つの椀には、黒々とした黒蜜がなみなみと注がれています。
さあ、黒蜜にくずきりをつけていただきます。
黒蜜がからんだ、弾力のある葛きりは、期待以上の美味しさ!
甘すぎない、上品な味わいです。
それもそのはず。中村屋では、“和菓子は本来、身体のために良いもの”という考えのもと、原料を厳選して、和菓子を手づくりしているのだそうです。
例えば、葛は国内産の葛きりにもっとも適した特注品を、和三盆は言わずと知れた徳島県阿波の竹糖、黒糖は波照間島産を使用しています。
この美味しさは、和菓子づくりへの探求と、原料へのこだわりが成せるわざなのかもしれません。
幸せなひとときを噛みしめるように、ゆっくりと葛きりを楽しみ、旅の疲れを癒します。
手土産にしたい、ひとくちサイズの『こがね餅』
さて、中村屋には、葛きりのほかにも『こがね餅』なる名物があります。
白い餅を粒あんで包んだこがね餅は、ひとくちサイズですが、満足感はそれ以上。こちらも、もちろん原料を厳選。葛きり同様に、甘すぎない、上品さがあります。
こがね餅は持ち帰りもできるので、お土産に最適。もらって嬉しい熱海のお土産です。
中村屋では、基本的に和菓子の作りおきはせず、注文が入ってから用意をするそうで、立ち寄る際には時間に余裕をもつといいでしょう。持ち帰り用の和菓子は、事前に注文しておくと、待たずに買えて、品切れを心配することもなく、安心です。
(筆者が訪れたときは、こがね餅は待たずに買えましたが数によっては時間がかかるようでした。お饅頭は注文が入ってから蒸すそうです)
[All Photos by Loco Yoneda]