
東ドイツの古都、ドレスデン。
「エルベ川のフィレンツェ」「百塔の町」「バロックの都」など、数々の異名をとる旧市街は、ドイツで最も美しい町のひとつと称えられています。
古都らしい重厚な町並みが広がる旧市街とは対照的に、ドレスデンの新市街はアートでカオスな若者文化の発信地。
その中核を担うアート村、「クンストホーフ・パッサージュ」は、カラフルで奇抜な風景が話題を呼んでいる注目のスポットです。
ドレスデン新市街に注目

少し前まで、「ドレスデン観光」といえば、「旧市街観光」のことでした。ガイドブックに登場するのはほとんどが旧市街の名所で、新市街の見どころが紹介されていないガイドブックも珍しくありません。
実際には、ドレスデンの魅力は旧市街だけにとどまりません。旧市街とは対照的な表情をもつストリートアート文化が息づく新市街では、ドレスデンのアートでカオスな一面が楽しめます。
新市街の風景は、優美で重厚な旧市街とは別世界で、旧市街を観光した後で新市街に足を延ばせば、「同じ町でこれほど対照的な風景が見られるなんて!」と驚くはずです。
ドレスデンのアート村「クンストホーフ・パッサージュ」

ドレスデン新市街のなかでも絶対に見逃せないユニークなスポットが、オイセレ・ノイシュタットにある「クンストホーフ・パッサージュ」。
「パッサージュ」とは、通り抜けができるアーケード街のこと。「クンスト」はドイツ語で「芸術、アート」を、「ホーフ」は中庭を意味します。「クンストホーフ・パッサージュ」は、その名の通り、生きたアートと化した中庭に個性豊かなショップやレストランが点在するドレスデンのトレンド発信地、いわばアート村なのです。
1997年にドレスデン初のコンセプトパッサージュとしてオープン以来、地元の若者を中心に今も変わらず愛され続けています。
クンストホーフ・パッサージュへのアクセス

クンストホーフ・パッサージュは、新市街のアラウン通りとゴーリッツァー通りに挟まれており、空飛ぶ牛の看板が目印。宮殿などの見どころが集中する旧市街からは歩くと遠いので、トラムを利用するのが便利です。
行き方には色々なパターンがありますが、旧市街のポストプラッツ(Postplatz)やドレスデンノイシュタット駅前からトラム6番または11番でDresden Bautzner Straße / Rothenburger Straße下車。そこから徒歩約7分。
ポストプラッツからの所要時間は、トラム乗車と徒歩を合わせて30分ほどを見ておくといいでしょう。
カラフルな風景が楽しい5つの中庭

一見すると通りに面してカフェが並んでいるだけのように見えますが、ホーフ内に入っていくと、5つの中庭が続く別世界が広がっています。
パッサージュを構成する5つのホーフ(中庭)は、「動物」「変化」「光」「色」「エレメント」という異なるテーマをもち、それぞれ別のアーティストが装飾を担当。中庭自体が表情豊かなアート作品と化しています。

5つのホーフには、アジアン雑貨のお店や花屋、お茶の専門店、ヒッピー風ファッションのお店やクラフトビールのお店、アイスクリームショップなど、小さいながらも個性豊かなお店が勢揃い。

ただ歩くだけでもワクワクしますが、ありきたりでない掘り出し物のドイツ土産の調達にもぴったりです。
こんなアパート見たことない!?

クンストホーフ・パッサージュを象徴する風景としてよく登場するのが、「エレメントの庭」。
目の覚めるような鮮やかなブルーに塗られた建物の外壁には、まるで意思をもっているかのように伸び、うねる雨どいが・・・よく見るとトランペットのような形をしていて、その遊び心に脱帽です。
30分ごとに水が流れる仕組みになっていて、雨が降っていなくてもアートな雨どいの効果を見ることができますよ。
これらの建物は現役のアパート。「こんなところで生活できたら楽しそうだなぁ」なんて、想像してしまいますね。

「動物の庭」は、アパートの外壁にキリンやオランウータンなどの動物が描かれてた、アフリカンな雰囲気漂うホーフ。どことなく未来的な雰囲気のある「エレメントの庭」とはまったくの別世界です。
アンティークなカフェ・レストラン

ただ散策するだけでも楽しめるクンストホーフ・パッサージュですが、食事や休憩のスポットとしても利用価値大。
「色の庭」にある「リラ・ゾーセ」は、アンティーク調のおしゃれな空間で、モダンにアレンジされたドイツ料理が楽しめるレストランです。
肉中心で量が多いというイメージの強いドイツ料理ですが、ここで出されるドイツ料理は、地中海料理など外国料理の要素を加えた、あっさりとしたフュージョン料理。

ドイツ生まれのキャニスター、ヴェックで出される小鉢は、見た目がおしゃれなだけでなく、一品の量が多くないので、一度にさまざまな味が楽しめるのも嬉しいところ。
ゆったりとした時間が流れるアートな中庭でいただく、ヘルシー&モダンな食事は格別。観光客向けの典型的なドイツ料理レストランとはひと味違った「ドイツ体験」ができるはずです。

アート好きも、ショッピング好きも、グルメ好きも満足させてくれるクンストホーフ・パッサージュ。
ドレスデンを旅するなら、新市街にも足を延ばしてこの町の多様性を肌で感じてみてください。

取材協力:ドイツ観光局
[All photos by Haruna Akamatsu]
あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
【2023最新】全国の「あじさい」が楽しめるスポット46選!見頃や祭りの
Jun 1st, 2023 | 内野 チエ
【2023年6月1日更新】梅雨の季節に楽しみたい「あじさい」。全国には「あじさい寺」をはじめとするあじさいの名所がたくさんありますよね。そこでここでは、日本各地の「あじさいが美しいスポット」を厳選して46カ所紹介します。それぞれのスポットの見頃の時期や、あじさい祭りの情報もまとめてお届けします。
【静岡県伊東市】ほたるが舞う幻想的な世界へ誘われる!丸山公園と松川湖で「
May 30th, 2023 | TABIZINE編集部
静岡県伊東市では、2023年6月3日(土)から6月11日(日)まで、丸山公園と松川湖にてほたる観賞会が開催されます。ほたるが舞うのは、この時期限定の風物詩。幻想的な風景を楽しみに出かけてみませんか?
【横浜】山下公園の足湯は無料でも利用可能!利用方法や料金・営業時間を徹底
May 30th, 2023 | ちあん
横浜を代表する観光名所のひとつ、山下公園内に、レストランやBBQ会場、お土産ショップなどが入った複合施設「THE WHARF HOUSE山下公園(ザ・ワーフハウスやましたこうえん)」が誕生。新たなスポットとして人気を集めています。なかでも話題なのが、昼間はなんと無料で利用できる足湯テラス! その魅力と利用方法などを徹底解説します。
【2023開花速報】鎌倉の「あじさい」名所おすすめ10選!明月院・長谷寺
May 27th, 2023 | あやみ
街歩きが楽しい鎌倉には「紫陽花(あじさい)」の名所が多いことでも知られていますよね。鎌倉のあじさいは例年6月上旬から中旬に見ごろを迎え、ブルー、ムラサキ、ホワイト、ピンクなど、やさしい色で神社仏閣などに彩りを添えます。そこで今回は、2023年に楽しみたい鎌倉のあじさいの名所・人気スポットを10カ所厳選してご紹介します。
【2023年5月27日更新:現地の開花状況を編集部が調査・追記しました】
【世界三大夕日】インドネシアのバリ・フィリピンのマニラ湾・もう1つは日本
May 26th, 2023 | 坂本正敬
世界を代表するとされるものを3つ取り上げて、「世界三大〇〇」と呼ばれるさまざまなものがありますよね。そこで、どんな事物がそういわれているのか調べてみました。あなたはどれだけ知っているでしょうか? 今回は、世界で最も美しい夕日を見られる場所はどこか、そんな世界三大夕日スポットを紹介します。
みくりが池の絶景やライチョウに出合えるかも?「雪の大谷フェスティバル2n
May 25th, 2023 | TABIZINE編集部
富山県と長野県を結ぶ世界有数の山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」にて、2023年5月22日(月)~6月25日(日)の期間、「雪の大谷フェスティバル2nd STAGE」が開催中です。雪の大谷フェスティバルは、世界有数の豪雪地帯、標高2,450mの立山室堂「大谷」付近を除雪してできる巨大な雪壁の間を歩く「雪の大谷ウォーク」を中心とする、富山を代表するイベント。北アルプスで最も美しい火山湖といわれる「みくりが池」の、雪解け時期にしか見られない風景など、この時期ならではの魅力を満喫できますよ。
【みなとみらい】超穴場!無料夜景スポット「オークウッドスイーツ横浜」展望
May 25th, 2023 | ちあん
神奈川県が誇る港町、横浜・みなとみらい。昼間の雰囲気も素敵だけれど、夜の夜景は、もはや説明がいらないほど美しいと有名です。横浜ランドマークタワーの展望台「スカイガーデン」やホテルの客室、「大さん橋 国際客船ターミナル」など、夜景を見られるスポットもたくさんありますよね。そんな中、知る人ぞ知る展望スポットが、サービスアパートメント(ホテル)「オークウッドスイーツ横浜」の展望フロア! 本記事では、展望フロアへのアクセス方法や利用時間などを詳しく紹介します。
【ドイツ】ドレスデンからエルベ川をクルーズ!アートも楽しめるワイナリーを
May 21st, 2023 | minacono
“エルベ川の真珠”と称される、ドイツの東部の「ドレスデン」。古くはザクセン王国の都が築かれた美しい街です。今回はドレスデンからエルベ川を下るクルーズ旅をご紹介。目的地のピルニッツ城近くでは、素敵なコンセプトのワイナリーを訪れました。ドレスデンでの新しい旅のアイデアにご注目を!
【10%オフキャンペーン実施中】満天の星空を楽しめる千葉県「いすみグラン
May 18th, 2023 | TABIZINE編集部
千葉県いすみ市は南、東が海であり、明かりが少なく、空が暗いことから満天の星を他の地域より鮮明に見ることができます。そんないすみ市に位置する「いすみグランピングリゾート&スパソラス」は、北欧のオーロラ観察が出来る宿泊施設をモデルにしたグランピング施設。2023年5月10日から7月14日まで、総額から10%オフになる【日~金曜限定】新年度応援キャンペーンを、2プラン限定で実施中です。
【トルコ】世界遺産「カッパドキア」で壮大な気球体験!絶景を飛べるかどうか
May 17th, 2023 | 石黒アツシ
「熱気球」といえばここ!というほど世界中の熱気球ファンを沸かせるのが、トルコの世界遺産「カッパドキア」。太陽が昇り始めるころ、広大なカッパドキアの奇岩群の大地の上には、無数のバルーンが浮かぶのです。その熱気球に乗るツアーの様子を、現地ルポで紹介します。