旅の目的は「たったひとつ」で良い
旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。
私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。
珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。
空から降りてくる白いもの
日本が美しいのは、四季があるから。いずれの季節も甲乙つけがたい魅力があるものの、凛とした冬に惹かれます。春が来るまで色彩を落とし、音も立てず佇んでいる大自然。でも静寂さの下には、次の季節へのエネルギーを蓄えています。
寒さに首をすくめていると、ふと気配を感じます。色のない季節に神様が空から落としてくれる、美しい白いもの。私たちが待っていたのは、「雪」でした。汚れも痛みも受け入れ、雪はすべてを包み込んでくれます。
雪の中をただ走りたい
只見線 福島県
思い迷うことなく、ただひたすら先へ心が急く時があります。目的に向かって、そして誰かのもとへ。そんな時に乗りたくなる、福島県会津若松市〜新潟県魚沼市までの約135kmの距離を走るJR只見線。凍るような只見川の水面には、雪化粧した山々が映り込みます。
ONESTORY(ワンストーリー)
美しく、力強く。山々の間を縫うように進むローカル鉄道。[JR只見線 第一只見川橋梁/福島県大沼郡]
JR只見線 第一只見川橋梁
住所:福島県大沼郡三島町大字川井字天屋原610(道の駅「尾瀬街道みしま宿」内、第一只見川橋梁ビューポイント)
アクセス:磐越自動車道会津坂下ICより車で約20分/JR東日本只見線会津宮下駅より徒歩約40分(※全て道の駅「尾瀬街道みしま宿」内、第一只見川橋梁ビューポイントまで)
Website: http://www.okuaizu.net/spot/1421/
母なる川の雪化粧
最上峡 山形県
「五月雨を集めて早し最上川」と松尾芭蕉に詠まれた、母なる川と敬愛される「最上川」。雪で覆われる冬には、異なる顔を見せます。厳かなまでの雪の白さ。胸が締め付けられるような美しさは、一生忘れることができなくなります。
ONESTORY(ワンストーリー)
木々に滝、不動堂。純白に包まれた山々を裂くように流れる最上川を行く。[最上峡/山形県最上郡]
最上峡
住所 : 山形県最上郡戸沢村大字古口86-1(最上川芭蕉ライン舟下り乗船所)
アクセス : 東北自動車道村田IC、または古川ICより車で約2時間/JR東日本陸羽西線古口駅より徒歩約10分(※全て最上川芭蕉ライン舟下り乗船所まで)
Website: http://www.blf.co.jp
雪あかりのあたたかさ
横手のかまくら 秋田県
雪は冷たいばかりではありません。雪の中に灯る明かりは優しく暖かく、私たちの心に安らぎを与えてくれます。冬の寒さを知るからこそ、暖かさのありがたみが分かるのかもしれませんね。
ONESTORY(ワンストーリー)
雪国に伝わる小正月行事「かまくら」。美しい民俗文化を現代に受け継ぐ。[横手のかまくら/秋田県横手市]
横手のかまくら
住所:秋田県横手市中央町8(※メイン会場の横手市役所本庁舎前道路公園)
アクセス:湯沢横手道路横手ICより車で約10分/JR東日本奥羽本線横手駅より徒歩約10分(各会場へはかまくら会場巡回バスを利用 ※徒歩での見学も可)
Website: https://www.yokotekamakura.com
氷結した湖面から、恋の道が現れる
御神渡り 諏訪湖
信州最大の諏訪湖は、真冬には凍りつきます。1月下旬から2月中旬にかけて、氷結した湖の氷が、昼夜の寒暖差により膨張と収縮を繰り返すことにより、現れる氷の道。御神渡りの判定と神事をつかさどる「八剱(やつるぎ)神社」の認定を受けて、「御神渡り(おみわたり)」と見なされます。5年ぶりに2018年2月2日(金)「御神渡り」が出現し、2月5日(月)に正式に認定されました。諏訪大社の男神(上社)が女神(下社)のもとへと渡るための恋の道である、という話が言い伝えられています。なんともロマンティックな冬の現象ですね。大事な人と一緒に見たい、氷を突き破って現れる「恋の道」です。
ONESTORY(ワンストーリー)
氷結した湖面が音を立ててせり上がる。神様の恋の伝説が宿る「御神渡り」。[諏訪湖/長野県諏訪市]
諏訪湖
住所:長野県諏訪市諏訪湖畔
アクセス:中央自動車道諏訪ICから車で約15分/JR中央本線上諏訪駅から徒歩約10分
Website: https://shimosuwaonsen.jp/info/omiwatari/
今回のたったひとつは、日本の美しい雪の風景。次回も印象的な雪の風景をお届けしますので、お楽しみに。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。