毎年12月にフランス・リヨンで開催される光の祭典は、今やリヨンを代表する一大イベントのひとつです。4日間のイベント期間中、街中のさまざまなスポットでプロジェクションマッピングなどが繰り広げられる華やかなイベントの背景には、リヨンで数百年も前から続く伝統的な行事がありました。現在の形に至った歴史と今でも続く伝統行事を追ってみました。
始まりは9月8日
聖母マリアは、古くからリヨンの人々から深い信仰を受けてきました。それは疫病が流行していた1643年、疫病からリヨンを守ってもらえるようマリア様への祈りが捧げられ、そのお返しとしてノートルダムの丘にあった教会にマリア彫像を2体作り、9月8日の聖母生誕の日には毎年この祈りを続ける誓いをしたのです。この誓いのおかげでリヨンは疫病から救われたと信じられ、それ以来この誓いは守り続けられてきました。この9月8日の特別な祈りが、現在では12月8日に行われることになったのです。
9月8日から12月8日へ
時は1848年、老朽化していた鐘楼の修復をすることになり、同時に高さ5.6メートルのマリア像を新たに設置することが決定しました。この設置式典を予定していたのが1852年9月8日、毎年誓いの祈りが捧げられていた日でした。しかし、その年の夏にリヨンの街が洪水に襲われます。彫像の製作中だったアトリエも被害を受けたために完成が間に合わず、 式典は延期を余儀なくされました。その延期された日が12月8日、聖母マリアの無原罪の御宿りの日となったのです。
なぜ光のイベントに?
式典当日はあいにくの悪天候で、夜に予定されていた花火が中止になってしまいました。リヨンに住む人々は誰からともなく自分たちの家の窓辺にキャンドルを灯し始めます。夜になるにつれてその数が増えていき、街を明るく照らしました。当局はこの出来事を受け、ノートルダム教会で夜にミサを行う事を決定。このようにして光のイベントが生まれたのです。
それから現在に至るまで、12月8日の夜にはリヨンの建物の窓辺にキャンドルが灯され、はかなく灯るたくさんのキャンドルが街を彩ります。窓辺にキャンドルを灯すというこの習慣にちなんで、近年になりイルミネーションのイベント「光の祭典」が開催されるようになりました。
今も続くマリア様への感謝の誓いの行列を追う
このような歴史ある特別な行事の一環で、毎年12月8日の夜、旧市街のサンジャン大教会から丘の上にあるフルヴィエールのノートルダム大聖堂まで行列が行われます。現在も受け継がれるこの伝統行事を追ってみました。12月8日18時30分、旧市街ビューリヨンのサンジャン大教会を行列がスタートします。
丘の上にあるフルヴィエールのノートルダム大聖堂を目指して、行列が街の中を粛々と進みます。
フルヴィエール到着、その後は?
19時30分、行列がフルヴィエールのノートルダム大聖堂に到着。大聖堂の目の前に、到着したばかりの行列が並びます。その後、屋内で20時から若者対象のミサ、22時15分からはリヨンの人たちを対象にしたミサが始まります。
毎年、この時期にはフルヴィエールのノートルダム大聖堂の隣には「Merci Marie」(マリア様ありがとう)の文字がイルミネーションされます。宗教を越え、マリア様へ感謝の気持ちが現在も伝えられ続けています。
参考
[リヨン市公式サイト「HISTOIRE DE LA FÊTE」]
[フルヴィエールのノートルダム大聖堂公式サイト「NAISSANCE DE LA FÊTE DES LUMIÈRES」]
[Lyon Capitale(リヨン情報誌)「Fête des lumières – 8 décembre : l’origine, ce n’est pas la peste à Lyon!」]
[all photos by minacono]
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【住所】Place Saint-Jean, 69005 Lyon
【アクセス】地下鉄メトロD線Vieux Lyon駅から徒歩3分
フルヴィエールのノートルダム大聖堂
【公式サイト(フランス語)】https://www.fourviere.org/fr/acces/
【住所】8 Place de Fourvière, 69005 Lyon
【アクセス】フニキュレールF2線Fouvière駅徒歩1分