本はここではない何処かへ連れて行ってくれます。
それはまるで旅のようです。
筆者は小さい頃から本の中へ入ることが好きでした。
そしてその世界に行き帰って来た時の感覚が面白いな、と思っていました。
これまでに筆者が読んで、違う世界に来たような感覚になった本の紹介をしたいと思います。
本の中に入った後
本を読み終わった後、まるで感覚が変わることがあります。
自分がどこかを旅してこの世界に戻ってきて、旅した世界の感覚が残っているように感じます。
たとえ同じ本でも読む時によって感じることが違います。
その都度違う感覚をくれるのです。
筆者が旅をしていると感じられた本
吉本ばなな
「ハチ公の最後の恋人」
東京の夜は果てしなく広がっているイメージで終わりがなく、沢山のことが起こっている。
この本を読んだ後、東京に8年住むことになりましたが、このときに読んだ夜のイメージを感じることがありました。
谷川俊太郎
「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」
この題名だけで、この一行だけで、この世界に入ることができます。
なんともいえない思いを感じます。谷川さんの詩はいつも驚きと新鮮さで、まるで冷たい水を身体の中に入れるような感覚をくれます。
星野道夫
「長い旅の途上」
アラスカに暮らしたカメラマン星野道夫さんの文章。
同じ地球で自分の時間の流れと全く違う時間を生きている人、動物がいる。
この本を筆者は渋谷で読んだのですが、読み終わった後外に出ると夏の気だるさとアスファルトからの熱を感じ、この本の中との対比が印象的でした。
渋谷で本を読んでいるこの瞬間もアラスカの海には鯨がいて空を舞っている。
自分の生きている日々の人生とは別に、生物の1つとしてのヒトの一生。
そのことを感じ自分の小ささと、この瞬間もどこかで鯨が舞っていることを忘れないようにしたいと感じました。
村上春樹
「ノルウェイの森」
この本をベルリンで冬に読んだのですが、ドイツの暗い冬にこの文章がしっくりときて、奥まで沈むような感覚を受けました。
ベルリンのアパートの真っ白く天井の高い部屋の中、この文章はすーと自分の中に入ってきました。
モンゴメリ
「赤毛のアン」
子供の頃にこの本を読み、行ったことのない外国への憧れを持ちました。
馬車、緑の屋根の家、妖精の泉、レイヤードケーキ、いちご水・・・
見たこともないものを想像で自分の中に描き、この本を読むことは自分の中に新しい何かを作っていく作業のようで面白い感覚を持ちました。
本を旅する
本は小さなものですが、その中には大きな世界が広がっています。
見たことのない場所、誰かの描いた自分が見たことのない世界、違う視点からの世界。
いろんな世界をいろんな角度から見れる本の世界は、見たこともない場所へあなたを連れて行ってくれ、あなたの人生に新しい感覚をもたらしてくれるのではないでしょうか。