日本では2019年10月から、消費税が8%から10%に値上がる予定です。2014年4月1日に5%→8%に値上げ(17年ぶり)してから、5年ぶり。あなたは、値上げ前に必要なものを買いだめしておこうかと考えているかもしれませんね。日本の消費税は他の国に比べて高いのでしょうか。それとも安いのでしょうか。ほかの国では、消費税はどうなっているのでしょうか。
あらためて消費税とは?
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。消費税(6.3%)が課税される取引には、併せて地方消費税(1.7%) も課税されます。
国税庁 消費税の仕組み 平成30年度版 より引用
消費税が高い国
世界152カ国で、最も消費税が高い国はどこでしょうか。
第1位 27% ハンガリー〈ヨーロッパ〉
(C)Parliament building in Budapest, Hungary at sunrise
標準税率は27%。
軽減税率として18%と5%がある。軽減税率と対象品目・サービスは次のとおり。
18%:穀物や小麦などを使用した製品、商業宿泊施設など。
5%:牛乳、卵、鶏肉、豚肉、魚などの食品、医療品、本、セントラル・ヒーティング、飲食店での食事、インターネット接続サービスなど特定の品物・サービス。
第1位は、ハンガリーでした。税率27%ですから、商品やサービスには3割上乗せ。お財布には、厳しいですね。ただし、基本的な食品や医療品、ヒーティングなど生活必需品は5%と軽減されており、基本生活は守られるようになっています。高税国は福祉医療が充実しており、ハンガリー国民は基本的に診察代と学費は無料のようです。
ハンガリーのポテトチップス税ってなに?
塩分、糖分、カフェイン等の含有量が高く、大量摂取すると健康に害を及ぼし得る食品や飲料品に対して課せられる。製造業者(輸入者の場合は輸入業者)が納税義務を負う。
ハンガリーには、ポテトチップス税というものがあります。大量摂取すると健康に害を及ぼし得る、塩分、糖分、カフェイン等の高い食品や飲料品に課せられる税です。ポテトチップスのほか、スナック菓子やクッキー、ジュースなどいわゆる嗜好品が対象。フランスやメキシコでも「ソーダ税」が導入済み。WHO(世界保健機構)が世界的に肥満および糖尿病の増加を憂慮して、各国に呼びかけました。肥満の元になるポテトチップスやソーダに課税されたことにより、売り上げは落ちたようです。
消費税が高い国ランキング
消費税が高い国ランキング。圧倒的に、ヨーロッパの税率が高いですね。2019年3月現在の日本の消費税の3倍以上です。特に北欧諸国が目立ちますが、医療費・教育費が無料、老後の生活の保障があり、国民が納得が出来るシステムになっているようです。
第1位 27% ハンガリー〈ヨーロッパ〉
第2位 25% クロアチア〈ヨーロッパ〉
第2位 25% スウェーデン〈ヨーロッパ〉
第2位 25% デンマーク〈ヨーロッパ〉
第2位 25% ノルウェー〈ヨーロッパ〉
第3位 24% アイスランド〈ヨーロッパ〉
第3位 24% ギリシャ〈ヨーロッパ〉
第3位 24% フィンランド〈ヨーロッパ〉
第4位 23% アイルランド〈ヨーロッパ〉
第4位 23% ポーランド〈ヨーロッパ〉
第4位 23% ポルトガル〈ヨーロッパ〉
消費税が安い国
さて、世界152カ国で、最も消費税が安い国はどこでしょうか。あなたは海外旅行に行くなら、消費税が安い国に行こうと考えたかもしれませんね。
第1位 5% 台湾〈アジア〉
世界で最も安い消費税は、同率第1位の台湾で5%です。また、台湾では旅行者にショッピングを促す目的もあり、外国籍旅行者を対象とした「税還付制度」があります。認定店で新台湾ドル2,000元(税込 約7,300円 2019年3月現在)買い物をして手続き書類を発行してもらえば、帰国時に空港などで手数料14%を差し引いた税金を返還してもらえます。嬉しいですね。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
Website : 日本語 http://www.taxrefund.net.tw/ttr/?lang=ja_JP
第1位 5% カナダ〈北中米〉
(C)Mariangela Cruz / Shutterstock.com
商品とサービスに課される付加価値税で、通常GSTと呼ばれる。現在の税率は5%。GSTは、カナダで取引されるほとんどの物品とサービスを課税対象としているが、日常生活に密接なものについては、非課税または税率0%が適用される。税率0%の品目には、基本的な食材(牛乳、パン、野菜など)、農産品(穀物、原毛)、処方箋薬、医療機器(補聴器、人口歯)などがある。非課税品目には、中古住宅、ヘルスケアや歯科治療サービスの大部分、託児サービスの一部、教育サービス、金融サービスなどの多くが含まれる。
同率第1位のカナダは消費税が安い上に、日常生活に密接なものについては非課税または税率0%という嬉しい国。旅行者や移民を促進する目的もありそうです。ただし、アルバータ州と3準州(ユーコン、ノースウエスト、ヌナブト)を除く各州においては、州・売上税(Provincial Sales Tax:PST)が別途課税されます。
消費税が安い国ランキング
第1位 5% 台湾〈アジア〉
第1位 5% カナダ〈北中米〉
第1位 5% ニウエ〈オセアニア〉
第2位 6% マレーシア〈アジア〉
第3位 7% シンガポール〈アジア〉
第3位 7% タイ〈アジア〉
第3位 7% パナマ〈北中米〉
第4位 7.5% バハマ〈北中米〉
第5位 7.7% スイス〈ヨーロッパ〉
2019年3月現在、日本は消費税が安い国ランキングの第6位。世界中から旅行客が集まる背景には、ショッピング時の税金の安さが含まれていそうです。
世界各国の消費税の標準税率
(C) 国税庁 消費税(付加価値税)の標準税率(2018年1月現在)
世界の標準と比べると、日本の消費税は10%になっても安い方だということが分かります。総じて、北欧諸国をはじめとするヨーロッパが高いですね。社会福祉の手厚いこともさることながら、人口が少ないため国民の税負担が多いことも考えられます。消費税率はアジア系が安いことが見てとれますね。アメリカは国ではなく、州によって州税の税率が決められています。ちなみに、筆者の住むニューヨーク市は、8.875%(内訳は、州税4.375%、市税4.5%)。
消費税が値上がりする中で、消費税の軽減税率制度(酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」を対象)も実施されるようですので、値上がり前に勉強して対策を練っておきたいですね。
参考
[平成31年(2019年)10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます! 国税庁]
[No.6303 消費税及び地方消費税の税率|国税庁]
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