映画の中の旅
イーサン・ホークとジュリー・デルピー主演の映画である、「Before Sunrise」「Before Sunset」「Before Midnight」の3作品は、1995年、2004年、2013年にそれぞれ公開されました。
9年後、そのまた9年後を実際のその年月と共に撮影されました。映画の中ではいつも1日をドキュメンタリーのように自然に描いています。この3本の映画の中に見る人生の旅について綴ります。
Before sunrise
「Before sunset」はウィーンに向かう列車の中で出会った男女を描いたもの。その2人の1日を自然に描いた映画です。列車の中で出会った2人はウィーンで途中下車することになります。その後2人でウィーンの街を周り、翌朝別れるのです。
その過程がウィーンの街とともに、自然に描かれています。ただ2人の会話を聞いているかのようで、まるで一緒にその映画の中にいるような気分を味わえる映画です。2人は列車の中で会い、駅のホームで別れます。
Before sunset と Before midnight
2作目の「Before sunset」では9年後にパリで再開した2人が描かれてます。この9年後の映画は実際に9年後に撮影されました。この映画では登場人物も少なく、より一層2人の会話に焦点が当たっています。
3作目の「Before midnight」では、2作目より9年後のギリシャが舞台となっています。
散歩
この3作品はウィーン、パリ、ギリシャの町を通して2人が歩きながら話すシーンがよくあります。誰かと散歩するということは景色と共に相手を感じながら歩くということです。
ただ誰かと散歩する、それは相手と向き合える、とても大事なそして温かい時間。この映画は2人と共にその街を歩いているような旅を感じさせてくれる映画です。
現実と同じ時間の経過
現実と同じ時間の経過で映画は撮られているのが、このシリーズの興味深いところ。18年の時の流れの中、俳優たちは実際に18年、年を取っています。
生産性を求められることが多い現在の社会で、このように時間をかけて作られた映画は少ないのではないでしょうか。18年の間に変わっていく登場人物たち、彼らの実際の人生でも18年の間に色んなことが変わっていっただろうと思います。その中でまた同じ役を演じるということ、それは俳優にとっても特別なことだったのではないでしょうか。
日常を描く
目の前にいる人と一緒に散歩し、話すというシンプルなこと。その中で2人の間に起こる小さな化学反応のようなもの。ただ日常を描いているようなその映画はとても繊細に2人の変化を描きます。
人と人との間に起こる小さな変化は小さく見えてもとても大きなものです。その小さいけれど大きな変化を感じながら、ウィーン、パリ、ギリシャの街を一緒に旅することができる映画。映画の中の18年の旅です。