交通渋滞で経済的損失が
インドネシア政府は、4月29日に首都を現在のジャカルタ(ジャワ島)から移転すると閣議決定しましたた。どうしてそのような大きな決断に至ったのかというと、主な理由のひとつはジャカルタの交通渋滞。
「ジャカルタの住人は、生涯のうち10年を交通渋滞に費やす」とも言われているほどに大変な事態になっているのだとか。約40Km離れたジャカルタの衛星都市から通勤するのに、通常でも2時間はかかってしまうのです。交通渋滞がひどい日は、3時間かかることもあるそう。そういった無駄な時間から発生する巨額の経済的損失を政府は危惧したのです。そしてそういった車たちから発生するガスは、都市の空気汚染の原因の7割を占めているというデータもあります。それは確かに問題ですね。
さらに、ジャカルタは洪水被害を受けやすい点もウィークポイントのひとつ。
そういった様々な点をクリアにするように、インドネシア政府は新首都移転に踏み切ることに決めたのです。
大統領がカリマンタン島を視察
決まったからには善は急げで、政府は早速移転先の場所の検討に入りました。まだ正式な発表はないものの、関係者の動きから新首都はカリマンタン島(Kalimantan)のどこかになるのではないかと予想されています。カリマンタン島はボルネオ島とも呼ばれる、上の地図の中央の大きな島です。
北部はマレーシアとブルネイの国土ですが、インドネシアの国土の部分は5つの州に分かれています。5月上旬には、ジョコ・ウィドド大統領直々にカリマンタン島に入り、東カリマンタン州と中部カリマンタン州の視察を行いました。そのどちらの州にもいくつかの街があり、この時点でいくつか候補が絞れているようです。人々に「ここになるのでは」と言われている二つの場所を紹介します。
【新首都候補その1】パランカラヤ
中部カリマンタン州のパランカラヤ(Palangka Raya)は、1957年に州首都として設立された街。インドネシアの初代大統領だったスカルノ氏(デヴィ夫人はこの方の第3夫人)は、パランカラヤを将来のインドネシアの首都として発展させることを計画していたとも言われています。人口約23万人。
島の中部に位置するので海はありませんが、川にはさまれた街なのでボートツアーなどは数多く開催されているそう。地元料理には川魚、主にナマズがよく使われています。また、Jelawat(別名スルタン・フィッシュ)というカリマンタン川でしか取れない淡水魚を求めて、多くの人が訪れています。パランカラヤが首都になったら、そういった名産品もメジャーになるかもしれませんね。
【新首都候補その2】バリクパパンとサマリンダの間
新首都の本命は先ほどのパランカラヤだと噂されているので、他の具体的な都市名は強く叫ばれていません。けれど大統領は東カリマンタン州も視察され、東カリマンタン州のバリクパパン(Balikpapan)とサマリンダ(Samarinda)の中間に位置するSamboja地区も訪れたのだとか。東カリマンタン州のその辺りは、木材、石炭、石油、液体天然ガスなどの豊富な天然資源に恵まれているので、輸送のための道路や空港といったインフラがしっかり整備されているのが魅力だそうです。
そうかと思えば、近郊のサマリンダには「Sarung Samarinda」という昔ながらの機織りのテキスタイルが民芸品として受け継がれています。もし新首都が東カリマンタン州に来ても、こういった伝統は変わらず継承していって欲しいですね。
新首都移転は大きなプロジェクトなので、国会承認などを経るため実際の移転には5年から10年かかる見通しが出ています。地震や火山の影響の受けにくさといった調査も必要になるので、最終決定はまだ先になりそうですね。「TABIZINE」も、インドネシアの決定を楽しみに待ちたいと思います。
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