ドストエフスキーゆかりのカジノも。ドイツの優雅な温泉町ヴィースバーデン

Posted by: 春奈

掲載日: Jun 15th, 2019

フランクフルトからわずか35~50分。豊かな緑に抱かれたドイツの温泉町ヴィースバーデンは、癒しパワー満点の都会のオアシス。ドストエフスキーも通ったクラシカルなカジノに温泉、ドイツ最古のウィーンカフェなど、知られざる魅力が詰まったヴィースバーデンは、フランクフルトの代替宿泊地にもおすすめです。

ヴィースバーデン14

優雅な温泉町ヴィースバーデン

ヴィースバーデン1

ドイツの温泉町ヴィースバーデンは、フランクフルトで有名なヘッセン州の州都。2000年前にはローマ人が利用していたヨーロッパ最古の温泉地のひとつで、ゲーテやワーグナー、ドストエフスキーといった、そうそうたる著名人も訪れました。

ヴィースバーデン2

フランクフルト中央駅から鉄道で約35~50分とアクセス便利にもかかわらず、優雅なムードに包まれた落ち着いた街並みは、まさに別世界。街の中心にも大きな公園があり、街の6割以上が緑に覆われているという、オアシス都市なのです。

ヴィースバーデン3

当然治安も良く、ただ歩いているだけで癒されること間違いなし。フランクフルト空港からのアクセスも良いので、フランクフルト空港を利用する前後に、フランクフルトの代替として宿泊するのもおすすめです。

マルクト広場

ヴィースバーデン4

ヴィースバーデンの見どころは、「歴史的五角形」と呼ばれる中心街に集中しています。その中核をなすのが、マルクト広場。マルクト広場は「市の立つ広場」の意味で、毎週水曜日と土曜日の7~14時には、賑やかな朝市が開かれます。

ヴィースバーデン5

マルクト広場周辺でひときわ目を引く建物が、端正な尖塔をもつマルクト教会。98mの主塔とレンガ色の外観は、一度見ると忘れがたい美しさ。

ヴィースバーデン6

見る場所によって異なる表情を見せてくれるので、正面から、横から、さまざまな角度から眺めたくなります。

ヴィースバーデン7

堂々たるルネッサンス様式の市庁舎とのコラボレーションも、壮観。

映画のワンシーンのようなカジノ

ヴィースバーデン8

ヴィースバーデンのシンボルが、古典主義様式の円柱が印象的な「クアハウス」。この中に、温泉と並ぶヴィースバーデン名物のカジノがあります。

ヴィースバーデンのカジノはドイツ最古のカジノのひとつで、長年にわたって、世界の王侯貴族やセレブたちの社交場でした。

ヴィースバーデン9

歴史ある保養地のカジノだけに、内部はゴージャスでありながらもクラシカルな雰囲気。名作映画のワンシーンに登場しそうなシックな内装は、それだけで一見の価値があります。

ヴィースバーデン10

プレイスペースの脇には、レトロなバーや、優雅なレストランも完備。入場料を支払えば、見学のみの利用もできるので、「ヨーロッパのカジノで遊ぶのはハードルが高い」という人もご安心を。カジノ内のバーやレストランを利用して、大人の社交場の雰囲気を感じるのもいいですね。

ドストエフスキーが「賭博師」の題材に

ヴィースバーデン12

ヴィースバーデンのカジノを訪れた著名人の中でも、ロシアの作家ドストエフスキーのエピソードは有名。1865年、カジノの常連客だったドストエフスキーは、わずか一夜にして全財産3000ゴールドルーブルを使い果たし、ホテルの宿泊費さえ払えなくなり、出版社から借金をしなければならない事態に陥りました。

この経験をもとに彼が書き上げた小説が、世界的に有名になった「賭博師」。借金の条件が、新しい小説を短期間で執筆することだったため、のちにドストエフスキーの妻になる速記者に口述筆記させたといいます。

ヴィースバーデン13

カジノの片隅に、ドストエフスキーが大負けしたルーレットがひっそりと置かれているのをお見逃しなく。

飲泉ができるコッホブルンネン

ヴィースバーデン14

ヴィースバーデンには、有名な温浴施設「カイザー・フリードリヒ温泉」などのほか、誰でも気軽に飲泉を体験できる場所があります。

それがクアハウス北西の広場にある「コッホブルンネン」。広場の手前には温泉が湧き出るオブジェのようなものがあり、その奥に飲泉用のパビリオンがあるのです。

ヴィースバーデン15

湧き出ているのは、66℃のナトリウム泉。筆者も一口飲んでみましたが、びっくりするほどしょっぱい上に、鉄の風味があり、おいしいとは思えませんでした。ですが、せっかくヴィースバーデンにやってきたら、素通りするのはもったいない。おいしくないのは覚悟の上で、勇気を出して試してみてください。

ちなみに、1回につき最大0.2リットル、1日1リットル以下を推奨とのこと。心配しなくても、そんなにたくさん飲めるとは思えませんが・・・

水力で動くネロベルク登山鉄道

ヴィースバーデン16

時間があればぜひ訪れたいのが、ヴィースバーデン郊外のネロベルク山。ネロベルク山へは、1888年開業のネロベルク登山鉄道で上ることができます。

ヴィースバーデン17

この登山鉄道、一見よくあるケーブルカーのように見えるのですが、実は水力で動いているエコな登山鉄道。山から下ってきた車両がふもとの駅に到着すると、大量の水が排出されるのが見ものです。

ヴィースバーデン18

ネロベルク山の象徴ともいえるのが、黄金色の玉ねぎ屋根が特徴的なロシア教会。モスクワのハリストス教会を見本に建てられたもので、ロシア系信者たちが礼拝に訪れる教会は、荘厳な空気に満ちています。

ヴィースバーデン19

高台だけに、山頂からの眺めも抜群。ネロベルク山ではワイン用のブドウが栽培されていて、ここで育ったブドウは、世界的にも有名なエーベルバッハ修道院のワインとして生まれ変わるのです。

ドイツ最古のウィーンカフェ「マルダーナー」

ヴィースバーデン20

高級保養地だけに、ハイレベルなグルメもヴィースバーデンの楽しみのひとつ。中心街にある1859年創業の「マルダーナー」は、ドイツ最古のウィーンカフェです。外観はそれほど目立ちませんが、店内に足を踏み入れると、古きよきウィーンにタイムスリップ。

ヴィースバーデン21

ヴィースバーデン22

ショーケースには、宝石のようなチョコレートや、ザッハトルテをはじめとする色とりどりのケーキが並び、その奥には上品でクラシカルな空間が広がります。歴史ある大人の街だからこそ、ヴィースバーデンにはこんなカフェがよく似合うんです。

ヴィースバーデン23

入口を入ってすぐ左にある棚には、チョコレートや自家焙煎珈琲などが並んでおり、お土産探しにもぴったり。

Maldaner
Marktstraße 34, 65183 Wiesbaden
http://maldaner1859.de/

老舗チョコレートショップ「クンダー」

ヴィースバーデン24

1898年の創業の「クンダー」は、ヴィースバーデンで知らない人はいない有名チョコレートショップ。かつてのドイツ皇帝御用達の店で、自家製チョコレートをドイツ各地のスイーツショップに卸しています。

ヴィースバーデン25

月替わりのプラリネなど、ここでしか買えない商品も多く、クッキーとチョコレートの中にパイナップルジャムを入れたお菓子「アナナストルチェン(パイナップルタルト)」が名物です。

ヴィースバーデン26

ヴィースバーデンのイラストが描かれた箱入りのプラリネは、お土産に最適。日本人にとって嬉しいことに、チョコレートがけのバウムクーヘンも販売されています。バウムクーヘンの定義が厳格に定められているドイツでは、バウムクーヘンは特別なお菓子。どこにでも売っているというものではないので、見つけたら買いです。

Kunder
Wilhelmstr. 12, 65185 Wiesbaden
https://www.kunder-confiserie.de/

ヴィースバーデン27

美しい街並みと緑が調和した、ヴィースバーデンの雰囲気の良さは、ドイツでもトップクラス。大都市フランクフルトから少し離れれば、スローで文化的な休日が待っています。

※カジノ内部は、特別に許可を得て撮影しています。
取材協力:ドイツ観光局
[All photos by Haruna]
[Do not use images without permission]

『【特集】次に行きたいドイツの美しき都市~すべて現地ルポ』では、ちょっと差がつくドイツ旅行のおすすめスポットをご紹介しています。お見逃しなく!

PROFILE

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

SHARE

  • Facebook