こちらの駅舎は、「東北の駅百選」にも選定されています。こんなに独創的でインパクトのある駅舎もなかなかないので、選ばれるのも必然という気はします。今回は、シャコちゃんの活動情報と合わせ、JR五能線や遮光器土偶についても簡単にご紹介しましょう。
JR五能線と木造駅
JR五能線は、秋田から青森にかけ、日本海沿いを走る路線で、乗客は美しい景色を楽しめることで知られています。白神山地や不老不死温泉へのアクセスは、この五能線を使うことが多いでしょう。
全長147.2kmある五能線は、内陸にも伸びています。有名な秋田犬の「わさお」が暮らす鯵ヶ沢から少し内陸に入ったところに、木造駅があります。2018年のデータによると、木造駅を含む五所川原~東能代の区間の1日あたりの平均通過人員が474人、1日あたりの木造駅の利用者が179人となっています。
木造駅の北西約10㎞のところに、遮光器土偶が出土した「亀ヶ岡遺跡」があります。
遮光器土偶と亀ヶ岡遺跡
遮光器土偶は、地元青森を離れ、東京国立博物館に重要文化財として保管されています。展示予定は未定とのこと。
紀元前1000-前400年の縄文時代(晩期)のものと考えられています。なんといっても特徴的なのは、目です。東北地方における晩期土偶によく見られる特徴です。イヌイットが雪の中を歩くときに着用したスノーゴーグルのような「遮光器に似ていることから「遮光器土偶」と呼ばれるようになりました。
近年は、単に目を強調したかっただけという説も出てきています。また遮光器土偶の頭部に赤色が残っていることから、元々は全身が赤色に染まっていたのが、茶色になったという説もあります。木造駅のシャコちゃんが、赤だったら、結構な恐怖を呼んでいましたね。
現在、つがる市は青森県・北海道・秋田県・岩手県と共に、亀ヶ岡石器時代遺跡を、日本を代表する縄文時代の遺跡として、2009年にユネスコの「世界遺産暫定一覧表」に載ったのを本登録に格上げさせるために活動中です。
木造駅のシャコちゃん
木造駅の駅舎の正面に、シャコちゃんが設置されています。モデルの遮光器土偶の左足が元々欠けているのも再現され、ちょうどそこが駅への入口になっています。
ほとんど閉じられたように見える目ですが、うっすら開いた隙間から、光がスパークする様子が見えるのですが、実はこれには意味があります。
この目の光の点滅には、電車の発着をお知らせするという目的があります。通称「いらっしゃいビーム」。駅の利用客を出迎え、見送るのが、シャコちゃんのお勤めなんです。駅員さんにお尋ねしたところ、だいたい電車到着の2分前から3分間、ビームが発動するとのこと。朝7時50分から夕方6時11分の電車の発着の間のみ(2019年8月現在)見ることができます。
目からビームが出ている様子はこちらでご覧いただけます。
所在地:青森県つがる市木造房松10
TEL:0173-42-2110
[All photos by APTINET Aomori Pref.]
(参照)
青森県観光情報サイト 「JR五能線木造駅」
東日本旅客鉄道株式会社 秋田支社「木造駅」
JR東日本「路線別ご利用状況」
JR東日本「各駅の乗車人員」
つがる市観光物産協会
Casa Brutus
東京国立博物館