(C) Kasumi Abe
NYの瀟洒なビルの最上階に行くと…
ニューヨーク・マンハッタンにあるフラットアイアンビルって知っていますか? 映画でよく登場する歴史的なビルなのですが、そこから目と鼻の先に「茶室」があると言ったら驚くでしょうか?
でも本当なんです。レンガ造りの瀟洒な8階建てビルのペントハウス(最上階)にあるメゾネットタイプの自宅を全改築し、和室や茶室などを作った人がいます。家主のアメリカ人、スティーブン・グローバスさんです。彼が作ったGlobus Washitsuはこちら。
Globus Washitsuにある茶室、憩翠庵にて(C) Kasumi Abe
本格的な茶会、遠方からの参加も
Globus Washitsuは一般向けに開放していて、茶会、着付け、生け花、舞踊、演奏会、アートショーやライブペインティングなど、主に日本の芸術や文化を紹介する場になっています。
筆者は先日、ここで定期開催されているお茶会に参加しました。ティーマスターとして上田宗箇流の長野佳嗣さんと、表千家流の北澤恵子さんが交互に開催していますが、私が参加したのは長野さんの茶会です。
まずGlobus Washitsuに入って、入り口にある手水舎で手を洗って清めます。室内は外界の音が遮断され、ここがマンハッタンのど真ん中というのを忘れてしまうほど静寂な空間です。
参加者は全部で10人ほどで、地元ニューヨークはもちろん遠方ではアトランタから来ている人もいました。皆さん一様に「友人にここの話を聞いて、一度茶会を体験してみたかった」と言います。抹茶はここ10年で一気にブームになり、市内のカフェで抹茶ドリンクを見かけるのも珍しくなくなったので、茶会を体験したいという人がいてもおかしくはありません。
1月の初釜の様子。「大福茶を一同で飲むことができ、縁起の良い年のスタートを切れました」と長野さん。(写真は長野佳嗣さん提供)
参加者は20代の方も多く驚きましたが、長野さん曰く「日本では若い人はあまり茶会で見かけませんが、ニューヨークでは若い方も多く参加していただいています。またこちらの方はお茶そのものの味の感想を言ってくださるので嬉しいです」。
茶会では、長野さんの身のこなしや所作が大変美しかったのもとても印象的です。現代生活では何かとお金や時間をかけない効率性やスピード性が重視されますが、このような厳かで神聖な場に身を置き、心が洗われるような気持ちになりました。
芸術家対象に滞在費無料の旅館も
家主のスティーブンさんは、日本の文化や芸術に造詣が深く、アーティストを応援する活動をしています。実は階下の7階の自室もGlobus Ryokanという名のゲストハウスに改築し、ニューヨークを訪れたアーティストに、パフォーマンスを披露してもらう代わりに滞在スペースを無料で提供しているのです!「ここに寝泊まりしたアーティストはかれこれ100人以上になります」とスティーブンさん。
ニューヨークに来て日本的文化を嗜むというイメージがなかなかつかないかもしれませんが、ここに集まる人はいずれも日本の文化に敬意を持った人ばかりです。「ちょっと変わったニューヨークの旅」を経験したい時は、このGlobus Washitsuに足を運んでみてください。
住所:889 Broadway, New York, NY 10003, U.S.A.
電話:N/A
完全予約制
長野佳嗣さんのお茶会予約:info@y-nagano.jpもしくはhttps://www.y-nagano.jp/ のMore Informationから
北澤恵子さんのお茶会予約:moonlightnj10@yahoo.com
グローバス和室とグローバス旅館について
HP: http://nycwashitsu.com/contact.html
[All photos by Kasumi Abeand Yoshitsugu Nagano]
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