所有者によって変化してきた「バルディーニ庭園」
市街地を流れるアルノ川のグラツィエ橋(Ponte alle Grazie)の南側、丘の斜面に立つ「バルディーニ庭園(Villa Bardini)」。元々果樹園として開発されたあと、1259年にはモッツィ(Mozzi)家が所有する庭園となりました。モッツィ家は一度土地を手放しますが、1500年以降に取り戻し、1880年までの間に石像を配置したり花を栽培し、庭園を改修していきます。さまざまな所有者の手に渡ったのち、20世紀初頭にバルディーニ氏が買い取りました。2006年には大規模な修復プロジェクトが行われ、現在の姿になったのだそうです。
イタリアや英国風、さまざまなスタイルが融合
長い歳月の中で所有者が変わってきたバルディーニ庭園は、その時代によってさまざまなスタイルが取り入れられ、主に3つの様式が融合した庭園となりました。ひとつはバロック様式の階段があるイタリアンガーデン、そして英国系中国人が造園したという英国風、さらに果樹園や藤棚などがある農業公園スタイル。3種類の異なる雰囲気が楽しめる、独特の庭園となっています。
頭上から振り落ちるかのような藤の花のトンネル
バルディーニ庭園の斜面の一角には、毎年4〜5月に美しい藤の花が棚一面に咲き誇り、見事な藤の花のトンネルを作り出します。藤の花はマルコポーロによって中国から伝わったと言われ、イタリアに持ち込まれたのは1700年代初め頃という公式の記録が残っているのだそう。
咲き始めると、徐々に色を変化させていくという藤の花。ライラック色からすみれ色になったり、青紫の色がだんだんとピンクがかっていくなど、可憐な色の変化も楽しめるそうですよ。フィレンツェに春の訪れを告げながら、バルディーニ庭園を美しく彩ります。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を見晴らす高台からの絶景
バルディーニ庭園の高台からは、フィレンツェの街を一望するパノラマが広がります。藤の花の時期には、花越しにドーム型の屋根が特徴のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が見え、まさにフィレンツェの春ならではの景色が楽しめます。
藤の花以外の見どころも!紹介ムービー
バルディーニ庭園では、藤の花の季節以外の見どころもありますよ。フィレンツェの街の絶景を楽しみながら食事が楽しめる期間限定のレストランや、その他の見どころなどを紹介したムービーが公開されていますので、そちらも併せてチェックしてみてくださいね。
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minacono ライター
日本とカナダで観光業界に勤務。旅行会社、現地ツアーオペレーター、航空会社、観光局、いろんな分野で旅と関わってきました。現在はフランス在住。美味しい食べ物とお酒がうまく出会った時すぐ感動する。犬好き。でも猫みたいな性格に憧れる。
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