伝統の手法を守り続ける田丸屋
約400年前に、水澤寺(水澤観音)の参詣客向けに手打ちうどんが振る舞われたのを起源とする水沢うどんは、小麦粉、塩、水沢の水だけを使って伝統の手法で作られ、強いコシと透明感のある麺が特徴です。

風格ある店構えの田丸屋は、十数軒のうどん店が軒を連ねる水澤観音の参道(県道15号)沿いにあります
天正10年(1582年)創業の田丸屋は、代々、水澤観音の門前に店を構える水沢うどんの元祖。昔ながらの伝統と技法を用いた麺とつゆにこだわり続けているそうです。

店内は天井が高く広々とした空間
田丸屋の麺は、厳選した国産小麦粉のみを使用した白い十割うどんと、国産小麦を自社工場の石臼で自家製粉し、その全粒粉から醸し出される穀物の香りや甘みを追求した古伝・喜利麦の2種類があります。いずれも、水沢の水と天然塩を用いてほどよい熟成をさせているとのこと。

座席もゆったりとしていて落ち着いて食事ができます
出汁は季節の気温や湿度、水温など気候によって利尻昆布、羅臼昆布、真昆布を使い分けて、熟成された本枯れの鰹節、鮪節などを使用し、濃厚でも雑味の少ない味を目指しているそうです。
醤油つゆと胡麻つゆでうどんの味わいを堪能
水沢うどんのつゆは、醤油つゆと胡麻つゆの2種類あり、お店によって、醤油つゆのみだったり、両方出していたり異なるのだとか。田丸屋は2種類のつゆが選べ、両方とも味わいたいという人は二色つゆも選べます。

白くて透き通るようなツヤのあるうどん
筆者は、醤油つゆと胡麻つゆの両方を楽しめる「もりうどん二色つゆ」(1,000円・税抜)を注文。まずは、真っ白な十割うどんをつゆをつけずにそのまま食べてみました。コシの強いうどんを噛むと、小麦の香りがふわっと口の中に広がります。ツルツルとしたのどごしも心地よく、至福の瞬間です。

強いコシとのどごしのよさが印象的
醤油つゆは、カツオの香りが豊かで旨味たっぷり。そのままスープのように飲めるくらいほどよい塩味です。胡麻つゆは、香ばしい胡麻の香りと甘みやコクが、ツルツルのうどんにぴったり。醤油つゆと胡麻つゆを行ったり来たりして、両方食べるのがなんとも贅沢な時間でした。
小麦のおいしさを伝えるカフェ
田丸屋の向かいには、今年5月にオープンしたカフェ「のはな」があります。田丸屋が小麦のおいしさを伝えるためにケーキやパンと自家焙煎のコーヒーが楽しめるカフェを開いたのだそう。店内で、コーヒーで一服したり、コーヒーとケーキをテイクアウトしたり、やはりうどんを食べた後に立ち寄るお客さんが多いようです。

明るく温もりを感じさせるカフェのはなの店内
ショーケースには、見た目も華やかなケーキや惣菜パンなど、さまざまな種類が並んでおり、迷ってしまうこと間違いなし。シェフのおすすめを日替わりで作っているので、行くたびに違うものが楽しめるそうです。

バリエーション豊富なパンのほか、かわいらしいケーキも並びます

ワッフルやスコーンも
筆者はキャロットケーキ(380円・税抜)とアイスコーヒーのノーベル(マイルド)(500円・税抜)を注文しました。

キャロットケーキとアイスコーヒー
キャロットケーキの生地はもちもちして、にんじんの自然な甘さが口の中に広がります。たっぷりのナッツとジューシーなレーズンが食感の豊かさを生み、クリームチーズの酸味がちょうどいいアクセントになっています。

自家焙煎機が店内に
コーヒーは、ほどよい苦味にすっきりとした後味。まろやかで、とても飲みやすく、何杯でも飲みたくなるような好みの味でした。あまりに気に入ってしまったので、コーヒー豆をお土産に購入したほどです。コーヒーのカップは、栃の木を使った山中塗。軽くて、口当たりも優しく、コーヒーのおいしさを引き立ててくれました。

コーヒー豆はひき立てを販売してくれます
小麦の味わいをたっぷり堪能し、まろやかな味のコーヒーでほっとする時間。旅先で新しい発見があるとうれしいものですが、今回はお気に入りとの出会いもあり、一段と印象に残る旅になりました。
住所:群馬県渋川市伊香保町水沢206-1
電話:0279-72-3019
営業時間:田丸屋9:00〜15:00(売り切れ次第終了)、カフェのはな10:00〜15:00
定休日:水曜日
客席数:200席 個室4室(要予約・有料)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tamaruya/index.html