打ち上げ花火が開いた時の横幅って何メートル?
過去にTABIZINEでは、「意外と知らない!花火大会に行く前に知っておきたい『花火の豆知識』【前編】」などの記事で、花火の歴史について紹介しています。
そちらも併せて参考にしてもらいたいですが、今回はもっと素朴な疑問をまとめてみました。まず、空に見上げる打ち上げ花火、一体どのくらいの大きさがあるのでしょうか。
横浜
打ち上げ花火は、大きいとはわかります。ただ、かなりの高さの上空で開いているので、実際の大きさがわかりません。
例えば信号機ですら、上にあるからわからないだけで、地面に下ろしてみると、人と同じくらいのサイズがあるから驚きです。花火はどうなのでしょうか。
日本煙火協会のまとめた「花火入門」によると、花火の開く大きさは花火玉の大きさに比例するといいます。5号玉のように、花火には花火玉の大きさを表す呼び方があって、2.5号から40号まで、いろいろと分かれています。その数字が大きくなると、花火玉の大きさも巨大になり、開いたときの花火の大きさも巨大になります。例えば5号玉だと、玉が開いた時の大きさは直径が約150mになります。中心点からの半径は75m。
5号玉は地上から150mの高さまで打ち上げて開かせます。言い換えれば、地表から75mの地点まで(中心点から半径の長さの分だけ)、花火の星が迫っている計算になるのですね。
では、最も巨大な40号玉だと、玉が開いた時の大きさはどれくらいになるのでしょうか。先ほどの「花火入門」によると、直径はなんと約750m。地表から同じく750mの高さに打ち上げて、半径375mほどの巨大な花火を開かせるのですね。
東京タワーはその半径よりも小さく、スカイツリーも直径には大きさで負けます。40号玉の花火など、日本全国を見回してもなかなか見られる花火ではありませんが、仮に地表で事故でも起きたら、とても危険な威力を持っているともいえますね。
打ち上げ花火は全部で何種類あるの?
長岡花火大会
打ち上げ花火を見ていると、さまざまな花火が登場します。そのバリエーションは年々増えているように思えますが、この花火は大まかにいって何種類に分けられのでしょうか?
細かくいえば、それこそ玉名といって、打ち上げ花火一発一発に異なる名前が付けられているそう。玉名は花火の特徴を表す名前みたいですが、大まかには3種類。
- 1.割物(わりもの)
- 2.ぽか物
- 3.半割物
1番目の割物とは、光や色、煙を出す火薬を四方八方に飛ばすオーソドックスな花火です。見ている側からすれば、球体に見える、ザ・打ち上げ花火。割物はさらに菊、牡丹(ぼたん)、椰子(やし)、型物などと細かく分けられるそうで、最近見かけるハート型やキャラクター型の花火は、型物と呼ぶそう。
菊。玉の中心から星が尾を引いて丸く開く割物の一種。
牡丹(ぼたん)。写真だと尾を引いているように見えるが、外側の緑色の星は尾を引かず玉の中心から丸く開いている。
型物
2番目のぽか物は、くす玉のようにぽかっと2つに割れて星を放出する打ち上げ花火。
例えば、ほうきのように玉から光の線を落下させる柳だとか、運動会の開催を告げる信号音だとかも、ぽか物と呼ぶようですね。
柳
3番目の半割物は、一度上空で開き、さらに時間差でたくさんの花が開く、千輪(せんりん)のようなタイプの打ち上げ花火です。
千輪(せんりん)
さらにこの3つの分類にそれぞれ、打ち上げの際に「ヒュー」と音が付くかどうか、専門的にいえば昇曲付(のぼりきょくつき)かどうかが、関係してきます。
通な花火の鑑賞方法は?
花火の鑑賞にも、通な見方があります。注目点は4つ。
- 1.打ち上げられた玉が、上空に上り詰めたところで開いているか?(玉の座りがいいか?)
- 2.割物の場合、丸く、真球のように奇麗に、玉の大きさに準じて星が広がっているか?(盆がいいか?)
- 3.中心から飛び散る星が、放射線状に真っすぐ円形に広がっているか?(肩がいいか?)
- 4.開いた星の先端が一斉に消えたか?(消え口がいいか?)
打ち上がりから消えるまでの過程で4つのポイントに注目すると、花火の見方が深まるようですね。
おもちゃの打ち上げ花火は何種類ある?
今年は本格的な花火大会が中止になるケースがほとんどです。ただ、家庭用のおもちゃの打ち上げ花火なら、楽しむチャンスはまだまだたくさんありますよね。
残暑が厳しい今、夜に花火を楽しむには絶好の日が続きます。おもちゃの打ち上げ花火に関しては、
- 単発上げ
- 連発打ち上げ
- 内筒打ち上げ(パラシュート)
など、打ち上げ方によって分類ができるようです。
おもちゃの花火は、プロの打ち上げる花火と違ってわずかな火薬(10〜15グラム以下)しか使っていません。しかし、おもしろ半分で分解し、火薬で遊んでは絶対に駄目。花火を分解して火薬で遊んでいたところ、爆発をして親指の付け根を骨折した中学生の男子の事故も報告されています。
花火大会でプロの仕事を見に行く場合も、自分たちで楽しむ場合も、まずは安全を確保した上で、奥深い花火の世界を満喫したいですね。
[All photos from shutterstock]
[参考]
日本煙火協会『花火入門』