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「凧」も「襷」も、実は日本でしか通じない!年始に頻出の漢字「国字」の成り立ち

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Jan 1st, 2021.

漢字というと、中国から輸入してきた文字ばかりだと思っていませんか?しかし、実は私たちが漢字と思っている文字の中でも、日本で生まれ中国に逆輸入された漢字もあれば、日本で生まれ日本だけで使われている「国字」もあります。そこで今回は年始に頻出の国字をいくつかまとめてみました。何かの流れで会話に出てきたら、トリビアを披露すると、ちょっとだけ尊敬されるかもしれませんよ。

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漢字のイメージ


襷(たすき)

襷のイメージ

最初は箱根駅伝など年始に見かける「たすき」。漢字で書けといわれても、ほとんどの人が正確に書けないのではないかと思いますが、この文字は日本人なら書けるようになったほうがいいかも。その理由は、「襷」がメイド・イン・ジャパンの漢字(国字)だからですね。

漢字辞典の『漢字源』(小学館)を見ると、

<和服で忙しくするたち働くときなどに袖をたくしあげるひも。また、肩から斜めにかけた細い布>(『漢字源』より引用)

と書かれています。駅伝で使うたすきは後者の意味。「襷」の成り立ちは、「衣」偏+「擧(あげる)」で、衣を挙げる道具として日本で生まれた日本製の漢字なのだとか。

確かに和服に関係した言葉なので、日本でつくるしかなかったのかもしれませんね。

凧(たこ)

凧のイメージ

正月遊びのひとつ、たこ揚げの「凧」も日本製の国字とされています。『漢字源』を読むと、中国では同じ遊び道具を「風筝(読み方はfēng・zheng)」と呼ぶみたいですね。

「凧」の文字の成り立ちは、「風」の略形+「巾(布の意)」を合わせた文字だとかで、漢字源には意味として「いかのぼり」という言葉も掲載されています。確かに、たこは純粋に形を見るとイカに似ていますよね。実際に昔は(今も地方によっては)「イカのぼり」とされていました。

しかし東京では、あまりにも流行して、他人の家の屋根を壊す人が出てくるなど、トラブルが続出したため、江戸幕府が禁じました。その禁令に庶民が「イカでダメならタコならいいだろう」と反発したため、たこ揚げに変わったという話もあるみたいです。

身近な道具には、いろいろないわれがあるのですね。

糀(こうじ)

 

こうじのイメージ

正月になると、日本酒を飲む機会も増えるかもしれません。日本酒をつくる原料は、酒米とこうじと水です。こうじとは、米や麦、豆などにこうじ菌を入れ、蒸して、発酵させた食品です。

この「こうじ」、漢字はどのように書くかわかりますか?「麹」と「糀」、2つが存在しています。違いは何なのでしょうか。

答えは前者が中国で生まれた漢字、後者が日本で生まれた国字です。

『漢字源』によれば、「糀」は「米」偏+「花」から来ているといいます。その由来は、蒸した米の上にこうじ菌を混ぜると、花が咲いたように繁殖する(発酵する)からなのだとか。

その独特の見た目をオリジナルの国字で、かつての日本人は表しました。すてきな感性ですよね。

榊(さかき)

榊のイメージ

最後は神木の榊(さかき)です。神棚のない家が今は増えましたが、地方出身の人であれば、実家に神棚があって、その神棚にサカキを祭る人も少なくないはずです。家に神棚がなくても、神社で年始に厄払いをしてもらう時に、玉串を神前に供えると思います。その際に神社の人から手渡される植物が、サカキです。

サカキとは「榊」と書き、まさにこの植物を表す漢字も、日本製です。この字の成り立ちはシンプルに「木」偏に「神」です。日本人にとっては神にささげる神木だったので、特別に国字をこしらえたのかもしれませんね。

以上、年始に頻出する国字を紹介しました。何気なく見過ごしている身近な世界にも、まだまだいろいろな驚きや発見があるようですよ。

[参考]
※『漢字源』 (小学館)

[All photos from Shutterstock]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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