いま世界でトレンドの人名は何?アメリカで第2位は車の名前!?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 1st, 2021

皆さんの名前は、世の中によくある名前ですか?それとも珍しい名前ですか?姓ではなく名の話です。人気の絵本『マップス 新・世界地図』(徳間書店)には著者が訪れた世界各国の情報が掲載されていて、各国の標準的な国民(男女)の名前も掲載されています。日本の場合は「あきら」と「みさき」と書かれています。黒澤明や伊東美咲など、よく聞く名前ですが、どうでしょうか?そこで今回は『マップス 新・世界地図』に掲載されている各国の「よくある名前」を取り上げつつ、最新のトレンドではどのように変化しているかを調べます。

子どもの名前

アメリカ人の今のトレンドは?

赤ちゃん

最初はアメリカ合衆国から。上述の絵本『マップス 新・世界地図』によると、アメリカ合衆国に暮らす国民の標準的な名前は「ジム」「メアリー」「エメリー」だとされています。

確かに元大統領のジム・カーターから始まり、アメリカの恋人といわれたサイレント映画時代の大女優メアリー・ピックフォードが思い浮かびますが、この絵本は初版が2012年に出版されています。いわば10年近く前の本。最近ではトレンドも変わっていると思われますが、どうなのでしょうか?

米CNNが2021年5月8日に報じた「2020’s most popular baby names certainly look familiar」という記事には、アメリカで今最も人気の名前が掲載されています。同記事によると2020年に最も多く命名された名前は「オリビア」と「リアム」だったとか。

「オリビア」と聞くと、子育て中の筆者はレゴフレンズに登場するキャラクターを思い浮かべます。性別で人気の名前を分けて考えた時、女子で人気の名前第2位は「エマ」だといいます。こちらもレゴフレンズのキャラクターですね。

男子の場合は第2位が「ノア」でした。トヨタのミディアムクラスのミニ版に「Noah」という車種があります。将来子どもたちが成長して日本車に自分と同名の車があると知ったら、思わず買い求めたくなるかもしれませんね。

オランダ人の今のトレンドは?

子どもイメージ

次は日本とも歴史の中で深い関係を持つオランダを見てみましょう。『マップス 新・世界地図』には女の子が「リーケ」、男の子が「スティン」と書かれています。

残念ながら浅学な筆者は「スティン」と聞いて有名なオランダ人の名前が出てこないのですが「リーケ」についてはすぐに思い浮かびます。

筋金入りのサッカーファンなら、きっと女子サッカー選手のリーケ・マルテンスさんを思い浮かべるはず。オランダ女子代表のサッカー選手でオランダのスターですね。日本で「澤穂希」を誰もが知っているように、オランダで「リーケ・マルテンス」と言えば誰もが知っているような存在です。

そんなオランダの名前のトレンドは現在、どのように変化しているのでしょうか?オランダのメディア「IAMEXPAT」が2021年1月8日に出した記事によると、男の子の人気ナンバーワンは「ノア」で、女の子の人気ナンバーワンは「エマ」だといいます。

まさかのアメリカと一緒のトレンド。アメリカで最も人気だった「リアム」は、オランダでも男子の人気の名前として第4位に入っています。

日本は言葉の障壁があるためにちょっと感覚的につかみにくいかもしれませんが、英語が通じる欧米圏は、インターネット環境の整備とともに国境を軽く飛び越えた日常的な文化・人的交流が存在しています。その影響が名前にも影響を与えているのかもしれません。

ロシア人の今のトレンドは?

赤ちゃんイメージ

今度はヨーロッパとアジアを広大な国土でつなぐロシアの名前を見てみましょう。

『マップス 新・世界地図』によれば、ロシアの女の子で代表的な名前は「エレーナ」、男の子は「ウラジミール」とされています。ロシアで男でウラジミールといえば、代表例はあの人しかいませんね。ロシアの大統領・ウラジミール・プーチンさんです。プーチン大統領の影響でロシアの男の子は「ウラジミール」が多いと何かのニュースで聞いた記憶があります。

ロシア旅行を手掛ける旅行代理店のウェブサイト「express to Russia」によれば、このウラジミールという名前はスラブ民族の伝統的な名前で「世界の支配者」という意味があるのだとか。現在もそのトレンドは続いているのでしょうか?

ドイツを中心に世界各国に事務所を構える統計調査会社statistaによれば、ロシアの首都モスクワで最も人気のある男の子の名前(2020年)に「アレクサンダー」が挙げられています。トップ10に「ウラジミール」の名前はありません。逆にプーチン大統領の印象が強すぎて、今では避けられる傾向があるのかもしれません。

一方で、モスクワに住む女の子の新生児で人気の名前は1位が「マリヤ」、2位が「ソフィア」、3位が「アンナ」です。若いロシア人女性によく聞く名前です。

ちょっと印象的な名前としては10位に「アナスタシア」があります。ギリシャ系の言葉です。先ほどの旅行代理店のウェブサイト「express to Russia」にも、ロシア人の名前にはギリシャ系の言葉の影響が強いと書かれていました。ロシア人のギリシャに対する憧れが感じられる名前ですね。

ネパール人の今のトレンドは?

ネパールの子どもイメージ
(C) Zzvet / Shutterstock.com

最後はネパールで人気の名前を見てみましょう。『マップス 新・世界地図』によれば、ネパールで人気の名前は女の子だと「美しい」を意味する「スンダリ」、男の子だと「月」を意味する「ダワ」とされています。

個人的に筆者はネパールに友達も多く、長く滞在した経験もあります。「ダワ」という名前の男性を実際に知っています。一方の「スンダリ」については、日本人として覚えておきたい有名人がいます。歌手の「スンダリ・ミカ」さんですね。彼女は実は日本人なのですが、歌手として現地では有名な方です。国王から叙勲されるほどだそうです。

そんなネパールで人気の名前は、海外の子育て情報サイト「kidadl」によると、男の子で「ラム」「ハリ」「クリシュナ」です。女の子が「シタ」「ラクスミ」などになるみたいですね。必ずしも2020年の最新情報ではないようですが、神話や宗教に関係した名前がネパールでは一般的との話です。

新型コロナウイルス感染症が終息し、再び自由に海外に旅ができるようになったら、上述のような知識を持って旅をすると現地の人との会話も弾むかもしれません。

[参考]
2020’s most popular baby names certainly look familiar – CNN
The Netherlands’ most popular baby names in 2020 – IAMEXPAT
Most popular female baby names in Moscow, Russia from January to November 2020, by registrations – statista
Popular Russian Names – express to Russia

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook