日本最古の神社は奈良の大神神社
現存している日本で最も古い神社は、奈良県桜井市にある大神神社だ。本殿は持たない。鳥居と、拝殿だけで構成されている。拝殿の奥にある三ツ鳥居から仰ぎ見る聖山、三輪山そのものがご神体であり、信仰の対象なのだ。いまでも原始神道の祈りのスタイルを受け継いでいる、日本でも珍しい神社なのである。正確な創建年は不明だが『古事記』『日本書紀』には記述が残されている。いわく、大国主大神が、日本の国づくりを成就させるため、三輪山に大物主神を祀ったことがはじまりなのだという。神話の時代から続く神社なのだ。
三輪山は標高467メートルと小ぶりだが、美しい円錐形をしており、古代から神の宿る山として崇められてきた。また山中には無数の巨石が点在していて、磐座信仰ともつながり、神なる山として信仰されるようになっていった。祭祀の跡と思われる遺跡も多数出土している。
一般人の入山が許可されたのは明治以降
聖地として長い歴史を重ねてきた三輪山は、かつては特別な許可を受けた神職しか入れなかった。一般人の入山が許可されたのは明治以降だ。現在では誰でも訪れることができるが、撮影は一切禁止、水分補給以外の飲食も禁止、さらに山にあるすべての生命に神が宿るという観念から、草一本ですら採取を禁止されている。事前の受付も必要だ。単なる登山やハイキングとは違うのだ。
なお建築物として最も古い神社は、京都府宇治市にある宇治上神社だ。本殿は平安時代後期に築造されたという。
【出典】
『日本人が知らない神社の秘密』(火田博文・著/彩図社)
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