「ご近所アクティビティ」でめぐる世界遺産・東寺
星野リゾートの「OMO」ブランドでは、「ホテルにこもらず、どんどん街に出かけてほしい」との思いから、館内には「ご近所マップ」が備えられ、「OMOレンジャー」と呼ばれるフレンドリーなガイドと共にめぐる「ご近所アクティビティ」が用意されています。2つのアクティビティに参加させていただいたのでご紹介します。
東寺は平安京創建時、約1200年前から同じ場所に唯一残る遺構で、世界遺産に登録されています。嵯峨天皇が、唐で密教を学んで帰国した弘法大師空海に託した密教寺院です。
清水寺や金閣寺などと比べると、一見地味な存在ですが、実は「仏像の宝庫」といわれるほど、国宝や重要文化財の仏像、五重塔などの建造物、絵画、書跡が納められている貴重な寺院。
こちらでは、1200年の歴史を持つ東寺エリアに親しみ、お寺や仏像で心癒やされるひとときを提案してくれます。
朝の法要に参加!「国宝の朝さんぽ ~空海にあえる朝~」
体験のメインイベントともいうべき、ご近所アクティビティ「国宝の朝さんぽ ~空海にあえる朝~」。東寺の朝の法要「生身供(しょうじんく)」(朝のおつとめ)に参加させていただくのです。集合は「OMOベース」に5時45分。起きたばかりで、まだボーっとしています。
そこで、OMOレンジャーが「おはようございます!」とボーンと銅鑼を鳴らします。参加者が寝ぼけまなこなのに、早朝から笑顔でフレンドリーに対応してくれる姿に感心!目が覚めます!
出かける前に、塗香(ずこう)をひとつまみ取り、手にすり込むように塗ります。塗香とは、寺院では儀式の前に使用し心や身体を清めるものとされているそうです。OMOにはオリジナルブレンド「如来」「菩薩」「明王」の3種類があります。
好みの数珠と読経のための「在家勤行法則」をお借りします。読む順番が付箋で示されているのでとても助かりました。
5分ほど歩いて東寺に到着。早朝にもかかわらず人が多いですね。10回の鐘の音の後、門が開きます。
空海が実際に住んでいた御影堂で、6時から1時間弱、生身供が行われます。弘法大師空海の魂は今も東寺に在り、その空海に毎日三食をお供えする行事です。現在まで1200年欠かさずに行われているというのがすごいですよね!
33席ありますが、ほぼ全席埋まっていました。ほとんどが毎朝通っている近くに住む方々だというから驚きです。
撮影禁止で画像ではお伝えできないのが残念ですが、素晴らしい体験でした。朝のおつとめというと、僧侶たちの読経を見るのが一般的だと思いますが、こちらでは参加者がお経を唱えるのです。
まずは代表者が唱え、その後に続き合唱します。ホテルで借りた「在家勤行法則」を見ながらお腹から声を出すと、元気がわいてくるようです。
中盤頃に僧侶が仏舎利を振りかざしてくれます。仏舎利とは、空海が持ち帰ったお釈迦様の遺骨です。手を広げてしっかりとご利益を授かりましょう。
合唱を終えると、シーンと静まり返るひとときがあります。清々しい朝の空気の中、せみ時雨だけが聴こえます。厳かな静寂とでもいうのでしょうか。背筋がゾクっとするような体験でした。
御影堂に安置されている国宝の大師像を見ることができるのは、この朝の生身供と月一度の弘法市(毎月21日)のみだそうです。
魂を高みに上げてくれるような、神聖な儀式に参加させていただきました。これを住民が作り上げ、形式だけではなく人々の心の中に生き続けていることにも感動します。筆者のように早起きが苦手な方も、ぜひ体験されることをおすすめします!
帰りがけに、亀のような中国の想像上の動物、贔屓(ひいき)という竜の子に会いに行きました。万病平癒のご利益があるそうで、贔屓をさすった後に自分の患部をさするのだそうです。
そして幸運なことに、蓮の花の季節でした。朝早くでないと花が閉じてしまうのでまさにグッドタイミング!
その後、朝7時から開いているという「東寺餅」に立ち寄りました。
もちろん、作り立ての「東寺餅」を購入しましたよ。部屋に戻り、朝食のついでにいただきました。「雪見大福」から着想を得て、お餅にメレンゲが入っているそうです。とろけそうにやわらかく、中にはこしあんが入っています。とっても素朴な味わいです。
6:00~7:15
5名まで、無料
※和菓子店での買い物には別途料金がかかります。
前日22:00までに下記公式サイトにて要予約
URL:https://urakata.in/new_reserve/courses/omo3_toji?center_id=766
学び多き時空を超えた旅「東寺まんだらさんぽ」
早朝のアクティビティを終えた後に朝食です。OMOレンジャーおすすめの近所のパン屋さん「kanoa bakery」のあんバターサンド(絶品!)とオリーブパン、コンビニのカフェラテを客室でいただきました。次のアクティビティまでのんびり。
フロント前に集合して、次のご近所アクティビティ「東寺まんだらさんぽ」です。猛暑だったので、まずは館内でOMOレンジャーが「ご近所マップ」を見ながら、東寺の見どころポイントを教えてくれます。
その後「まんだらアート」を見ながら、仏像の種類についての説明。寺社を拝観する際に、仏像をなんとなく見ている人も多いのではないでしょうか。
真理を悟った「如来」、修業中の身であり人間の形をしている「菩薩」、強面で生活指導の先生のような「明王」、誤った道を行こうとする人を正しい道に戻す「天部」など、誰もが理解できるよう、かみ砕いて特徴を教えてくれるます。予備知識を得てから実物を見ると、感じ方が変わってくるはずです。
健康運、仕事運、金運などにご利益のある仏像もアドバイスしてくれるので、現地でしっかりお祈りしましょう。
いよいよ実際に東寺へ。
まず向かったのが、東寺の北総門の先に続く「櫛笥(くしげ)小路」。実はこちら、京都で唯一平安京当初から道幅が変わらずに遺されている通りなんだそうです。
豊臣秀吉の時代に区画整理が行われ、桂川のある西側が沼地になり、都を全体的に東側に移動したのです。その際、ほとんどの通りの幅が変わり、こちらは唯一そのまま遺されているのだそう。
知らなければ通り過ぎてしまいますよね。その先には新幹線が通るという、新旧入り混じった面白い光景です。
先ほど生身供をした御影堂です。檜皮葺の屋根は高尚な造りで、京都御所などに用いられているそう。修復工事を終え、数年ぶりに公開されました。
そして、先ほどホテルで詳しく説明していただいた立体曼荼羅が安置されている講堂へ。厳かな空気に包まれています。こちらは撮影不可です。
如来、明王、菩薩、天部の実物を見ると、迫力があります。東西南北に四天王が配されています。
菩薩はやわらかい表情が印象的。まだ修業中の身で人間の姿をしています。人々を救済する役目があるそうです。
如来が手を開いているのは「お話を聞きますよ」という意味だとか。悟りを開いているため煩悩がなく、服装はシンプル。あやかりたいものです・・・。
白毫(びゃくごう)と呼ばれる、眉間のやや上に生えているという毛は、4.5メートルもあるそうです。それをくるくるとまるめて納まっているのですって!
パンチパーマのように丸まった仏像の髪の毛は螺髪(らほつ)といいます。右巻きカールなんだそうです。鎌倉時代以降の仏像に見られます。
中心で存在感を放っているのが大日如来。如来の中のトップです。手は知拳印という印を結んでおり、大日如来の知恵で全てを包み込むという意味があるそう。見る方向によって目がキラリと光るのは、水晶が入っているせいです。玉眼(ぎょくがん)といいます。
明王は密教独自の存在。何かに怒っているような激しい表情で、竹刀を持っています。まだ修業前で、仏道に従わない人を正しい道に戻す存在なのだとか。
そして最後に「帝釈天はイケメンで人気なんです」とOMOレンジャー。確かに今で言えばシュッとした男前。ぜひ実物を見て下さいね!
時にユーモアを交えたガイドを聞きながらの鑑賞で、仏像たちがグッと身近に感じられました。この21体中、平安時代から遺る16体が国宝、ほかは重要文化財というから、まさしく仏像の宝庫です!
最後に、叶えたいご利益がある仏像の前でお参りしてきましたよ。
そしてシンボルの五重塔。高さ55メートルで、日本で最高の塔です。雷などで4度消失し、現在の塔は江戸時代に建てられました。国宝に指定されています。
東寺への熱い想いを感じさせてくれたOMOレンジャー。空海が修業をした寺院を巡礼する、四国八十八ヶ所巡り(お遍路さん)をノンストップで、寺や道で寝泊まりをして制覇したという強者です。
東寺や仏教について本当によくご存じで感心しきり。猛暑をものともせず、笑いを交えながらガイドをしていただき、大変興味深い有意義な1時間半を過ごしました。ほかにもいろいろご紹介いただきましたが、それは、ぜひ実際に体験してみて下さい!
15:30~17:00/9:00~10:30
20名まで、無料
※別途拝観料(時期により変動)がかかります。
前日22:00までに下記公式サイトにて要予約。
URL:https://urakata.in/new_reserve/courses/omo3_toji?center_id=765
前日は21日だったので、骨董市の「弘法市」に寄ってみました。骨董品をはじめ、古道具、着物、食べ物や植木などを販売する1000店以上が軒を連ねます。見ているだけでも楽しいので、21日をめがけて滞在するのもおすすめです。
シンプルにして快適な客室に滞在し、「ご近所アクティビティ」でOMOレンジャーと交流しながら、東寺エリアで時空を超えた体験ができます。知的好奇心と心が満たされ、気付きを得ることができました。
時には日常から離れ、歴史という遥かな時の中に身を置き、自分や物事を顧みるのも貴重なことだと実感した滞在でした。
住所:京都府京都市南区西九条蔵王町11-6
料金:4,500円~(2名1室利用時1名あたり、税込み、宿泊税別、食事別)
HP:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3kyototoji/
※新型コロナウイルスの感染状況により、アクティビティの開催が中止される場合があります。詳しくはホテルHPをご確認ください。
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[All photos by Yo Rosinberg]
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