
東日本では「全収骨」が一般的

旅行メディアであるTABIZINEが、なぜ弔いや納骨の文化を扱うのかなと思うかもしれませんが、人生を旅に例えたりすることも多いですよね。そこで旅を扱うメディアとしては、たまには死に関する文化の違いについて考えてみてもいいのではないでしょうか。
TABIZINEの読者は東京を中心に関東の人が多いので、東日本のケースをまずは考えてみましょう。大事な人の葬儀に参列して、納骨を済ませた経験のある人は、ちょっと想像してみてください。
東日本では、遺骸を荼毘(だび)に付し、その遺骨を容器に納める際、ほとんどの遺骨を骨つぼに入れることが多いようです。いわゆる「全収骨」と呼ばれるスタイルです。多くの骨を容器に入れるために、骨を細かくする場合もあります。
しかし、この当たり前に思える納骨スタイルも、西日本に行くと実は異なるケースが目立つとご存じでしたか?
西日本では「部分収骨」が一般的
西日本では「部分収骨」が一般的とされていて、できるだけ骨の形を崩さず、頭骨や背骨、骨盤、手足、のど仏など、主要な骨と形がきれいに残っている骨を拾い上げ、容器に入れます。容器に入りきらない骨は残します。
残りの骨(残骨灰)については、火葬場に置いて帰ることが多いようです。東日本の人からすると、できる限り骨を収骨したいという感覚になるかもしれません。しかし、関西を中心に西日本では、東日本での一般的な感覚以上に骨を残したまま終えるのですね。
その東西文化が異なる様相を呈する分岐線は、糸魚川静岡構造線が一応の目安とされています。糸魚川とは、新潟県と富山県の県境近くです。
収骨を終えると遺族から所有権が離れる

では、残った骨(残骨灰)はどうなるのでしょうか。そもそも火葬された遺体の遺骨は、収骨前は遺族に所有権があり、収骨を終えると遺族から所有権が離れると考えられるようです。市営の葬儀場であれば、残った骨は自治体の所有になることが一般的のようですね。
自治体は残骨灰を供養し、ほかの残骨灰と合わせて埋葬することがほとんどですが、残った骨に含まれる有価金属、例えば、歯科治療で使われる金・銀などを骨から取り分けて換金することもあるようです。
換金で得た収入は、自治体の雑収になるケースもありますが、残骨灰の処理を依頼した業者の収入になることもあるようです。
例えば、名古屋市の場合は、残骨灰の処理業者から有価金属を回収し、売却して、年間1,000万円を超える雑収入を得ているとの情報もあります。
遺骨を多く残す西日本の場合は、有価金属の回収量も自然に多くなります。そうなると、遺族感情を理解しながらも、その価値の高さを各自治体は意識せざるを得ないそうです。
人の死の裏側にある、意外な一面ではないでしょうか。
[参考]
※ 西日本では”遺骨”を火葬場に残すのが常識 – PRESIDENT Online
※ お墓に納骨する際、地域によって違いがありますか? – 熊本葬儀社
※ 2021年(令和3年)4月1日からの残骨灰の取り扱いが変わります。 – 福山市
※ 残骨灰に含まれる有価金属を自治体が「換金」、どう扱うのが適切なのか – ビジネス+IT
※ 残骨灰処理、尊厳か収益か揺れる自治体 高価金属含む火葬・納骨後の灰 – 西日本新聞
※ 残骨灰売却検討 広島市の火葬場、金やプラチナなど含有 政令市では導入の動きも(2019年12月13日掲載) – 中国新聞
※ 「残骨灰処理と取り扱い」に関する考え方について – 人全国環境マネジメント協会
[All photos by Shutterstock.com]

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
【実は日本が世界一】1,403席!最大の木造コンサートホールは森の豊かな
Mar 29th, 2023 | 坂本正敬
日本にいながら、意外と知らない日本の「世界一」。いつも何気なく目にしているものから、知られざる自然の世界、そして努力や技術の賜物まで、日本には世界に誇れる「世界No.1」がたくさんあるんです。そんな「実は日本が世界一」、今回は、日本が誇る、世界一のコンサートホールを紹介します。
【実はこれが日本一】長さ2.9km・3,333段の石段は熊本県にあった
Mar 28th, 2023 | 坂本正敬
日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、階段に関する日本一を紹介します。
南米の日系人と沖縄人が共存し文化が融合する横浜市鶴見【日本の外国人街を歩
Mar 26th, 2023 | 室橋裕和
横浜の中華街や新大久保のコリアンタウン以外にも、日本には外国人の集まる街がたくさんあります。ネパール、ベトナム、タイ、ミャンマーなどなど、海外に行ったような気分になれる外国人街を、外国人コミュニティの取材を続けているライターの室橋裕和が案内します。第5回は、南米と沖縄の人たちが集まる神奈川県横浜市鶴見です。
5大陸・52カ国を単独飛行で世界一周した最年少パイロットは17歳【旅に関
Mar 25th, 2023 | 坂本正敬
1955年に書籍から始まった「ギネス世界記録」。人間が達成した記録や、自然界で起きた「世界一」など、さまざまな世界記録を認定・登録しています。その中から、旅行に関するギネス世界記録を紹介していきます。今回は、自身が単独で操縦する飛行機で世界一周を史上最年少で達成した17歳のパイロットの話を紹介します。
【侍ジャパン30人の出身地ランキング】WBC2023出場選手が一番多い都
Mar 24th, 2023 | TABIZINE編集部
「2023ワールドベースボールクラシック」(WBC)で14年ぶり、3度目の世界一に輝いた侍ジャパン。7戦全勝、ドラマチックな展開で、普段は野球を見ない人も注目しないではいられなかったのではないでしょうか? そんな侍ジャパンの選手30人と、番外編として監督・コーチ・通訳9人、合計39人の出身地を調べてみました。一番多い都道府県はどこだったでしょうか?
【パーソナルジム体験ルポ】安さで有名なアップルジムってどんなとこ?気にな
Mar 24th, 2023 | Mayumi.W
ダイエットはしたいけど、なかなかやる気になれない…。そんなとき、誰かに背中を押して欲しいと思ったことはありませんか? 自分だけでは難しいボディメイクのためのトレーニングや、普段の食生活まで個人に合わせた指導をしてくれるパーソナルジムもその手段の一つ。今回はマンツーマンで理想の体づくりをサポートしてくれるApple GYM(アップルジム)の無料カウンセリングとトレーニング体験に行ってきました。パーソナルジムとはどんなところなのか? どんなふうにサポートしてくれるのか実際の体験の様子をご紹介します!
【世界三大美術館】エルミタージュ・ルーブル・もうひとつは葛飾北斎を見られ
Mar 24th, 2023 | 坂本正敬
世界を代表するとされるものを3つ取り上げて、「世界三大〇〇」と呼ばれるさまざまなものがありますよね。そこで、どんな事物がそういわれているのか調べてみました。あなたはどれだけ知っているでしょうか? 今回は、旅の目的地にもなる世界三大美術館を紹介します。
「確信犯」の本来の意味、知っていますか?【正しい日本語解説Vol.41】
Mar 23rd, 2023 | 熊本沙織
社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らない頻出ワードを徹底解説! 今回は、実は本来と異なる意味で使っている人が多い「確信犯」ということばについて、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。
【実は日本が世界一】WBC優勝だけじゃない!日本人野球選手のギネス世界記
Mar 22nd, 2023 | 坂本正敬
日本にいながら、意外と知らない日本の「世界一」。いつも何気なく目にしているものから、知られざる自然の世界、そして努力や技術の賜物まで、日本には世界に誇れる「世界No.1」がたくさんあるんです。そんな「実は日本が世界一」、今回は、ちょっとイレギュラーですが現在開催中のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に絡めた野球に関する世界一を紹介します。
【実はこれが日本一】高さ226m!瀬戸内海の島にある塔は東京都庁くらい高
Mar 21st, 2023 | 坂本正敬
日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、広島県の離島にある日本一高い塔を紹介します。