「振動モーター」の世界シェア40%を占める日本企業
もはや、「スマートフォン(スマホ)」は旅先で欠かせない道具の1つになりました。海外旅行でいえば、優先順位はパスポート、クレジットカードの次くらい(あるいは同等くらい)ではないでしょうか。
国内旅行だとパスポートも不要なので、財布の次に忘れてはならない道具の1つといった感じかもしれませんね。
そんなスマホには、かなりの確率で日本の世界一の技術が使われているようです。
一般的なスマホや古いiPhone(アイフォーン)、ガラケーで使われるバイブレーション機能には振動モーターが使われていて、その振動モーターの世界シェアで40%を占める企業が日本電産(京都市) なのです。
アップル社独自の振動モーターにも日本の技術
そもそも携帯端末のバイブレーション機能、どうやって振動を発生させていると思いますか?
モーターの回転軸に重心をずらした偏心重りを装着して、モーターを回転させると、重りが回転するたびにモーターが振り回され、振動が起きる仕組み になっています。
洗濯機の脱水時を思い出してみてください。洗濯物が槽内で偏っていると回転が不安定になり、洗濯機自体がガタガタと揺れると思います。あれと同じような状態なのです。
この振動モーターは、多くのスマホでホームボタンの近くに設置されているようですね。筆者が愛用するスマホはSONYのXperiaですが、バイブレーション機能を作動させると、ホームボタンの近くで揺れて、その振動がスマホ全体に広がっていく感覚がありました。
iPhoneでも、途中のモデルにはこの偏心重りを使った振動モーターを使っていたようです。しかし、iPhone6sからは「Taptic Engine(タプティックエンジン)」というアップル社独自の振動モーターの導入が始まります。もちろん、このTaptic Engineのサプライヤーにも日本電産は含まれています。
さらに、上述のiPhone6sとともに2015年(平成27年)9月に発表された新色・新コラボのApple Watch(アップルウォッチ)に使われる小型のTaptic Engineも、日本電産が多くを(一時期は単独で)担っているとの報道があります。
携帯端末の振動には「日本の技術」が使われている
どうして、アップル社独自の振動モーターづくりに、これほど深く日本電産が関係しているのでしょうか。
もともと日本電産は、偏心重りを使った振動モーターに加えて、「リニア共振アクチュエータ」という異なる振動方法も手掛けていたそうです。初代のApple WatchやMacBook(マックブック)にも同社の技術が使われてきました。
その流れで、iPhone6sと、同時期に出た新色・新コラボのApple Watchに、リニア共振アクチュエータの技術を生かしたTaptic Engineが入り、その導入に、日本電産が大きな役目を果たしたのですね。
要するに、われわれの日常的に使う携帯端末の振動は、日本の技術(日本電産の技術)が結構な確率で使われているとの話。なんだかうれしくなりませんか?
世界を旅している最中、世界中の旅人がスマホに夢中になっている光景を目にすると思います。そんな彼ら・彼女らが指先で感じている振動は、もしかすると日本の技術でなり立っているかもしれませんね。
[参考]
※ Apple Taps Nidec for Taptic Motors – Nidec
※ Japan’s parts makers play big role in new iPhones – NIKKEI Asia
※ Apple Watch: Faulty Taptic Engine Slows Rollout – The Wall Street Journal
※ iPhone 8で活躍する日本製部品たち、その栄枯盛衰 – 日経XTECH
※ 「ブーン」と「トトト」、自作のバイブレーションでiPhone通知を分かりやすく – 日経XTECH ACTIVE
※ 「iPhone 6s」を林信行が読み解く――これは“羊の皮をかぶった狼”である – ITmedia PC USER_
※ 日本電産の成長戦略
※ 会社案内パンフレット – 日本電産株式会社
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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