夏の思い出のBGMが違う!?「セミの声」の常識とは【日本東西・文化対決】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 15th, 2022

東西南北に国土が広がる日本では、西日本と東日本とで生活習慣や文化などが異なることもよく注目されますよね。日本各地を旅したとき、それぞれの地域で違う常識を知ることも、旅の楽しみのひとつではないでしょうか? 今回は、夏になると聞こえてくる、あの「鳴き声」の違いについて研究してみました。

真夏のイメージ

 

ミンミンゼミを公園で見られる地域は東北・関東のみ?

ミンミンゼミ
ミンミンゼミ

夏になるとセミの声が聞こえてきます。そこで質問ですが、セミの鳴き声をカタカナで表記するとしたら、どんなふうに書きますか?

筆者の場合は「ミーンミンミンミンミンミンミンミー」です。要するに、ミンミンゼミの鳴き声。東京で生まれ、埼玉で育った関東人の私は、ミンミンゼミの声を真っ先に思い浮かべます。わかりやすく目立つからという理由もあるかもしれません。

しかし、このセミの鳴き声、その人の生まれ育った、あるいは暮らしている地域によって思い浮かぶ音が違うとご存じでしたか?

環境庁(現・環境省)が1997年(平成9年)に出した「身近な生き物調査」によると、ミンミンゼミが身近な公園で目立って確認される地域は、東北・関東のみとなっています。

公園以外の森林では中国地方など他の地域でも確認されるとの情報もありますが、身近な公園で目立つエリアといえば、東日本が中心だとわかります。

アブラゼミ
アブラゼミ

同じく、東日本の東北・関東の公園で圧倒的な勢力を誇るアブラゼミも、近畿地方の公園では、別のセミにNo.1の座を譲っています。要するに、地域によってメジャーなセミが違っているのです。

西日本の夏を連想させるセミの声とは

クマゼミ
クマゼミ

では、近畿地方でメジャーなセミは何なのでしょうか? 上述の「身近な生き物調査」によると、もっとも目立つセミはクマゼミです。

鳴き声を文字にすると大変ですが、「ンジャッジャッジャッジャッジャッジャッ」と連呼する感じでしょうか。一般的には「シャアシャアシャアシャア」「シャーシャーシャーシャー」とか書く人が多いようです。

NHKのコンテンツやYouTube上の動画で音源を確認すると、「ビッビッビッビッビッビッ」といったレーザー光線を発射するような音のパートもありました。

とにかく騒がしい印象ですが、この鳴き声を聞くと、西日本で過ごした幼少期を思い出す人が多いと、ネット上に書き込みがたくさん見られました。

「身近な生き物調査」によると現に、北海道・東北・関東の公園でクマゼミは確認されていません。東海地域から公園で目立ち始め、近畿の公園で最大勢力になり、中国・四国・九州でも大きな勢力を維持しています。

とはいえ、東京でもクマゼミを見かけた、という声をこのところ聞きます。飛ぶ距離が短く、幼虫として地中で過ごす時間が長いので、それほど勢力圏に急激な変化が起きにくい生き物のようですが、温度の高い環境をクマゼミが好むという仮説もあります。

気候変動があり、ヒートアイランド現象があり、東京の千代田区では100年で2.4℃も平均気温が高くなった状況が、クマゼミの生息域を緩やかに広げているのかもしれませんね。

クマゼミ

[参考]
クマゼミ – NHK

環境によって違うセミの種類 – 環境庁

セミの図鑑

<愛媛県内子町・広報uchiko>SAVE THE EARTH くらしのエコロジー

東京都の気候変化 – 気象庁

※ 岡部敬史編著『ちがいがわかるとおもしろい!東日本と西日本 2関西の電子レンジは関東では使えない?』(汐文社)

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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