ニューヨークでラテン料理を10ドル以下で!
(c) Atsushi Ishiguro
昨年の夏に3週間、ニューヨークに滞在しました。その目的は、様々な国の料理に挑戦すること。20ドル以下でうまいものを出す店ばかり22か国料理にトライしました。出かけたのは主にランチ。知らない場所を夜歩くのは、ちょっと心配ですよね。以前、中南米料理をご紹介しましたが、今回はその2です。
トリニダードトバコ、パナマ、プエルトリコの料理。ニューヨークに渡ってきた移民の調理人やお母さんが、ニューヨークに住むその国からの移民の皆さんに提供する、本格派のお店です。そして、今回の料理はどれも10ドル以下です。
トリニダードトバコのロティ
(c) Atsushi Ishiguro
トリニダードトバコはカリブ海の島国で人口は130万人ちょっと。マンハッタンを離れ、ブルックリンにある、グロリアズ カリビアン キュイジーヌは、商店街の真ん中にある、窓の開け放たれたオープンなお店で、ロティがおいしいお店です。
インドからカリブ海に伝わったロティ。インドではシンプルな平たいパンです。トリニダードトバコのロティは、小麦粉を使った生地を焼き、ゆでたジャガイモと、スパイスが効いた豚、鳥、牛などのローストを巻いたものです。ロティロールですね。カレーチキンのロティをいただきました。これが、6ドル50セント。
(c) Atsushi Ishiguro
しかし、これがとってもボリューミー。パンの生地も厚く、ジャガイモたっぷり、チキンたっぷり。インド料理のサモサを、大きなパンでたくさんの具を入れて、揚げていないといった感じです。これが、暑い夏の日にぴったり。ピリリとしたカレーの味が食欲をそそります。
(c) Atsushi Ishiguro
ブルックリンは再開発も進み、大手企業もオフィスを構えるなど賑わっています。マンハッタンから地下鉄で数駅。地元感のあるローカルな雰囲気で、少しのんびりした雰囲気です。さて、次の店では、生まれて初めての食べ物に出会いました。
パナマの牛の足のスープ
(c) Atsushi Ishiguro
パナマ料理のおいしいお店、ケルソーもブルックリンにあります。ランチからディナーまでを出すレストランで、パナマ出身の妙齢のご婦人がオーナー。日本から来ましたと言うと、なんでまた日本から来たの? とびっくりされてましたよ。英語が母国語ではないので、単語を並べて意思疎通。問題ありませんでした。
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というわけで、せっかくここまで来たのですから、他では食べることのできない珍しくておいしいものを食べたい。そこですすめてもらったのが牛の足のスープ。牛の足とは、もも肉のことではなく、膝より下、脛よりも下の部分。腱しかない部分のぶつ切りが煮込まれて、すいとんのような小麦粉の団子が入っています。
これが意外においしい。スパイシーなスープに、ジャガイモやトウモロコシ、ニンジンにホウレンソウなどの野菜。腱の部分も柔らかく、とっても食べやすい。歩き疲れた足のだるさが取れてしまうようでした。
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お店の中はきれいで、夕方の早い時間でしたが、にぎやかなスペイン語で女子会を楽しむご婦人方もいて、とっても楽しい。店員さんのケアも丁寧で助かりました。牛の足のスープ、Sopa De Ptaは6ドルでした。次は、ブルックリンから川向い、イーストビレッジのお店です
[Kelso Bistro Bar & Restaurant]
プエルトリコのローストポーク
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イーストビレッジは、様々な国からの移民が、最初に住んだ地域。北にはロシア人街、東にはチャイナタウンに、リトルイタリー。様々な文化が、気持ちよい距離感で共存しています。ここで見つけたのがプエルトリコ料理。地元の南米系の住民の憩いの場になっていました。
(c) Atsushi Ishiguro
中米の国は、チキンもビーフもおいしいのですが、お店の人におすすめを尋ねるとポークと答える場合が多いのでした。この現地感たっぷりのお店のランチ、売りはローストポークです。この一人分とは思えない量、スープとイエローライスがついて800円ほど。びっくりです。
店内はプエルトリコの食堂 (c) Atsushi Ishiguro
店の壁にはプエルトリコの偉人の写真やアートが飾られて、スペイン語が飛び交います。ここがニューヨークだということを忘れてしまいそう。不愛想なようで、「豆のスープはご飯にかけてもうまいよ」とか、意外に親切。まさにプエルトリコの食堂といった雰囲気です。
というわけで、ニューヨークの中南米料理、3か国分をご紹介しました。お互いに英語が母国語でないので、身振り手振り、単語を並べて意思疎通。母国から渡って苦労をしてきた移民のみなさんは、とても優しいという印象でした。
[All photos by Atsushi Ishiguro]