ウルトラバロック建築を探してプエブラ州へ
メキシコシティから車で2時間半のプエブラ州プエブラは世界文化遺産の町。たくさんの教会があることでも知られています。
ここで見逃せないのが大聖堂内にある礼拝堂の、カピージャ・デル・ロサリオ(Capilla del Rosario)です。
このようなバロック様式を越えたメキシコの超過剰装飾は、スペイン侵略後に教会の建立に従事した先住民たちの美的感覚が混じって生まれた建築とされています。土着と豪華さの融合は、インディヘナ・バロック(先住民のバロック様式)やニュースパニッシュ・バロック(ヌエバ・エスパーニャのバロック様式)と呼ばれ、世界中の建築マニアを熱狂させているのです。日本では、写真家の小野一郎氏が名付けた「ウルトラバロック」という言葉でも知られ、メキシコや南米の教会建築写真をまとめた写真集が何冊か出版されています。
チョルーラの小さな村にある驚くべき教会2つ
プエブラの凄い教会はこれだけではありません。プエブラ市街から車で約30分のところにある、チョルーラという市へ行ってみましょう。
チョルーラはメキシコのなかでも最も教会が多い市で、なんと、365の教会があると言われています。
そのなかでもサンタマリア・トナンツィントラ(Santa Maria Tonantzintla)とサンフランシスコ・アカテペック(San Francisco Acatepec)の2つの教会は必見。ちなみに両教会は至近距離にあります。
まず、大地の母(マリア)を祀る教会サンタマリア・トナンツィントラ。
サンタマリア・トナンツィントラの外観(C)Miho Nagaya
天使の像には先住民の神が纏っていたような羽毛飾りが描写されていたり、果物、野菜、カカオなどの農作物のモチーフも多いことから、先住民の大地への信仰とカトリックの融合がわかりやすい形で表されています。まさにウルトラバロックの代表的な教会と言えます。
いっぽうサンフランシスコ・アカテペックは16世紀に作られた教会で、プエブラのタラベラ焼きをふんだんに使った美しい外観が特徴です。
内装の一部は1939年に火事で焼失してしまったそうで、それから25年かけて復旧作業を行いました。
サンフランシスコ・アカテペックの外観 (C)Miho Nagaya
1650〜1750年の100年の間にタイルを貼り続けて完成した教会(C)Miho Nagaya
トナンツィントラの後に見ると地味に見えてしまいますが、顔モチーフの多さは並じゃないです。
2つの教会内は残念ながら撮影禁止。でも、カメラに収めることにこだわらない方がいいのかもしれません。カメラのファインダー越しにこの光景を捉えたらあっという間の見学で終わってしまいそうですが、きちんと記憶に残すためにじっくりと見るほうが、その凄まじい建築の魅力を味わえる気がします。
数百年かけて、村の人々によって作られた貴重な教会建築はあまりに宇宙的で、時間を忘れて見入ってしまいました。
住所:5 de Mayo y 4 Poniente #101, Col. Centro (Dentro del Templo de Santo Domingo), Puebla
開館時間:毎日 10:00 〜 12:15と16:30〜 18:00
■IGLESIA DE SANTA MARÍA TONANTZINTLA
住所:Av. Reforma Norte s/n, San Andrés Cholula
開館時間:毎日9:00〜 18:00
■TEMPLO DE SAN FRANCISCO ACATEPEC
住所:Col. San Francisco Acatepec, San Andrés Cholula
開館時間:毎日9:00〜 18:00
[Photo by:Miho Nagaya、プエブラ観光局]