東京から南へ178km。そこには伊豆七島ひとつ神津島があります。奇岩や断崖絶壁、日本一に選ばれたこともある透明度バツグンの海、砂漠や池がある豊かな情景の天上山・・・。散策すればするほど神津島の持つ神秘性に魅せられていきます。いにしえに、7人の神々が集まり伊豆諸島を創造したという伝説が残っているのも納得です。今回は、そんな美しい離島、神津島を現地リポート。
神津島へはどうやって行く?アクセス方法は3つ
神津島へのアクセス方法は3つあります。一つ目は、東海汽船の大型客船に乗り、12時間かけて行く方法です。この方法だと、22時に竹芝客船ターミナルを出航し、翌朝10時に神津島に到着します(5月現在)。
二つ目の方法は、東海汽船のジェット船で行く方法です。この方法なら、竹芝客船ターミナルから神津島まで、4時間(平日は3時間45分)で到着します。
しかし、移動時間をできるだけ短くしたいのなら、調布空港から新中央航空の飛行機で神津島へ行くことも可能。片道大人15,300円と割高ですが、45分で神津島に到着しますよ。
大型客船::片道6,340円(2等)
ジェット船:片道9,770円
飛行機:15,300円(往復27,800円)
なお、大型客船とジェット船は3日前までにインターネット予約すると繁忙期15パーセント、通常期20パーセント割引で乗船できます。割引について詳しくはこちらをご覧ください。
ほとんど揺れない! 快適なジェット船での航海
筆者はジェット船で神津島へと向かいました。4時間の航海はあっという間。ジェット船はほとんど揺れることもなく、まるで安定飛行中の飛行機に乗っているようでした。船内にはトイレもあり、飲み物をセーブせずに飲めるのも、個人的には嬉しかったです。お酒を楽しんでいる方もいましたよ。また窓側の席なら、途中で寄港する大島・利島・新島・式根島の景色もよく見えます。
新鮮な海の幸を堪能できる「よっちゃーれセンター」
神津島に到着して、宿に荷物を置き、まずは腹ごしらえということで「よっちゃーれセンター」の食堂へ。迷うことなく、海鮮ヅケ丼定食(1,000円)をオーダーしました。窓の外には前浜海岸を望めます。
10分ほどで海鮮ヅケ丼定食が運ばれてきました。お味の方は、魚は鮮度バツグンで美味しく、やや甘めのタレとの相性もバッチリ。明日葉の天ぷらもサクサクで香ばしかったです。ボリューム満点な定食で、お腹がいっぱいになりましたよ。
住所:東京都神津島村神津島港内
電話番号:04992-8-1342
営業時間:通年営業11:00~14:00
火曜日(夏季シーズン・年末年始無休)
飛び込み台もある、熱帯魚と泳げる「赤崎遊歩道」
お腹を満たしたところで、次に向かったのは「赤崎遊歩道」。神津港からバスで約15分(料金200円)で到着します。この日は風が強く、誰も泳いでいる人はいませんでしたが、5月でも風のない夏日にはたくさんの人たちが泳ぎに来ていると、島の人が教えてくれました。
橋の上や飛び込み台から海に飛び込めるようになっています。暑い日にダイブしたら気持ちが良さそうですね。ここはシュノーケリングやダイビングのスポットにもなっていて、熱帯魚を間近で見ることができます。
「赤崎遊歩道」から「神津島温泉保養センター」までを徒歩で散策
宿のオーナーに「赤崎遊歩道」から「神津島温泉保養センター」へ向かう途中には、面白い景色がいっぱいあると聞いたため、帰りはバスを使わず、「神津島温泉保養センター」まで歩くことにしました。
しばらく歩いて行くと、海に向けて「トロッコ跡」がありました。ここでは、かつて採石場から抗火石の積み出しを行なっていたそうです。
長年の波の侵食によって作られた「ぶっとおし岩」。自然のパワーを感じる場所ですね。
1時間ほどかけて「神津島温泉保養センター」に到着。こちらでは、大人800円で内風呂と3つの混浴露天風呂(水着着用)を楽しめます。筆者は水着を持っていきませんでしたので、内風呂のみ入浴。茶褐色の程よい温度の温泉で、旅疲れを癒せました。
住所:東京都神津島村字錆崎1-1
電話番号:04992-8-1376
メールアドレス:Kouzu_onsen@marble.ocn.ne.jp
営業日:夏季7~9月、ゴールデンウィーク、年末年始は休まず営業
営業時間:午前10時から午後9時(受付午後8時終了)
定休日・休業日:夏季7~9月、ゴールデンウィーク、年末年始以外は水曜日定休
利用料金:大人800円、子供(中学生以下)400円
何度も登りたくなる! 豊かな情景が広がる「天上山」
神津島二日目は、10時過ぎから「天上山」へ。しかし、筆者は登山初心者で、白島登山口の1合目から登るのが不安だったため、白島の6合目から登山を開始することにしました。6合目までは村落からタクシーに乗り、15分程度(料金は2,600円ほど)で到着。
最初は原生林の中を登っていくため、薄暗く少々不安になりましたが、10分ほど登っていくと、目の前がひらけていきます。景色の良い場所にベンチも。ここでしばし休憩し、登山を続けます。
30分ほどで、最高地点に到着。標高572メートルだそうです。晴れた日は富士山も見渡せるとか。残念ながら今回は見えませんでしたが、それでも絶景であることには変わりありません。
伊豆諸島の神様が集まり、水配りの会議が行われたと言われている「不入ガ沢」。爽やかな風が吹き抜けていく、心地の良い場所です。
ハート型に水をたたえる「不動池」。しかし、ハート型の写真を撮影するためには、小高い丘に登る必要があり、断念。池の真ん中の小島には龍神様が祀られています。周辺にはベンチもあり、休憩するのにも最適。
「新東京百景」。式根島、新島、利島、大島を望めます。
三宅島、御蔵島を眺めることができる絶景ポイント「裏砂漠展望地」です。こちらからの展望が、天上山で一番感動しました。
ここはモロッコ? と思ってしまう景色が広がる「裏砂漠」。山の上にこのような砂漠があるなんて珍しいですよね。ちなみに天上山には表砂漠もあります。
黒島登山口に向けて下山を開始。この登山道からの景色も素晴らしかったです。
白島6合目から登山を開始し、村落にある宿にたどり着くまで4時間強かかりましたが、初心者の筆者でも登山を楽しむことができました。登山口には登山用スティックも用意されています。
絶景! まるでクリームソーダのような色の多幸湾
筆者が最後に訪れたのは、神津島のもうひとつの港「三浦漁港」がある「多幸湾」。神津港からバスで15分ほど(料金200円)の場所にあります。驚いたのは海水の色! まるでクリームソーダのようです。そびえ立つ天上山の白とのコントラストも絶妙。
多幸湾には「多幸湧水」もあります。「東京の名湧水57選」のひとつだそうです。さっそく飲んでみると、水筒やペットボトルがあれば、持ち帰りたいくらい、さっぱりとしていて美味しい水でした。
まるで親戚の家を訪れたような安心感がある「みんなの別荘 ファミリア」
今回、神津島でお世話になったのは「みんなの別荘 ファミリア」。神津港から徒歩で約7分の丘の上にあるB&Bタイプの宿です。
テラスからの景色は絶景。前浜海岸だけではなく、夕日や星空を望むことができます。宿泊者は朝食で焼きたてのホームメイドパンを味わえるのも魅力です。またオーナーカップルは大の旅好きで、深夜までカフェスペースで旅話をして盛り上がり、いつの間にか二人が親戚のように思えてきました。
(C)みんなの別荘 ファミリア
「みんなの別荘 ファミリア」は、居心地バツグンで「また来たい」ではなく「また帰ってきたい」と思える不思議な宿でした。これまで国内外、さまざまなホテルや民宿に泊まってきましたが、このように思える宿は初めてでしたよ。
住所:東京都神津島村1005
電話番号:04992-7-5981
お問い合わせ:info@familia-family.com
アクセス:神津島前浜港より徒歩約7分(港・空港からの無料送迎あり※1日前まで要予約)
東京の離島「神津島」は、海と山を堪能でき、美味しい魚介類を味わえ、温かい人々に出会える魅惑のアイランドでした。「旅がしたい」と思い立ったときに、比較的すぐに行ける島でもありますので、ぜひ気楽に訪れてみてくださいね。
[Photos by あやみ]