犯罪に巻き込まれたり、物売りに追い回されたりといったトラブルはなるべく避けたいもの。モロッコで特に注意すべきポイントを押さえておきましょう。
モロッコ全域で「十分注意してください」
モロッコは色彩の美しい国。しかし、外務省 海外安全ホームページの情報では、モロッコ全域で「十分注意してください」のレベル1に指定されています。これは、「その国・地域への渡航、滞在にあたって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。モロッコでの特別な注意って、どんな注意なんでしょう?
スリと強盗に注意!
夜になれば大道芸人が集まり、屋台の地元料理店も盛り上がるマラケシュのフナ広場でも、日本人のスリ被害が報告されています。
在モロッコ日本国大使館の情報によると、犯罪事例としてはスリと強盗が主なもの。これは物騒ですね。大使館からは以下の2つのコメントが出されています。
•「人気(ひとけ)のないところ」
この2つが最近の被害のキーとなっています。とは言え、複数であっても、人気のないところや、夜間の外出は極力避けるようにしてください。
• 日本人は目立ちます
モロッコでは東洋人と遭遇する機会は多くありません。それ故に日本人は目立つ存在です。また日本人は「裕福で警戒心が希薄である」とも思われています。犯罪の標的にされやすいことを自覚し,犯罪者に隙を見せない行動をとることに努めてください。
これでは一人旅が難しいという状況です。さぁ、問題を避けるには具体的にどうしたらいいでしょうか。
リヤドのご主人の親身なアドバイス
モロッコの独特な宿泊施設と言えば「リヤド」。いわゆる民泊の一種ですが、古い伝統的な建物をリフォームして、ベッドルームを提供してくれます。簡単な朝食がついていたり、宿泊客が交流できるリビングや吹き抜けのパティオがあったりと、アットホームな雰囲気が人気です。特にマラケシュでは迷路のような旧市街=メディナに点在していて、価格もリーズナブルです。
筆者が宿泊したのもそんな小さなリヤド。ベッドルームが5つという規模で、メディナの迷路のような路地の奥にありました。チェックインすると、そこのご主人がウェルカムの紅茶にモロッコ菓子を一緒に楽しみながら、いろいろアドバイスをくれました。治安についても質問してみました。
夜のメディナも美しくて魅力的ですが、もちろん油断禁物です
持ち出すのは必要な現金程度にしたほうがいいといわれました。パスポートやクレジットカード、現金のほとんどは金庫に入れておきます。高価な買い物をするなら、クレジットカードを使うこともあると思いますが、そのような買い物をしたら、その商品とカードは一度宿泊先に戻って部屋に置いたほうがいいと思います。
• 携帯電話をポケットに入れておかない
モロッコでは盗品の携帯電話を現金にできる仕組みがあるようで、特にジーンズの後ろポケットに入れておくとスラれてしまうそうです。面倒でも、前のポケットやバッグに入れておきましょう。
• ATMは少額を昼間のうちに
ATMは町のあちこちにあります。でも注意!現金をおろすのは昼間のうちに済ませます。また、大金をおろすのは避けて、必要な少額のみをさっとおろしてバッグにしまいましょう。
• 大道芸の写真は有料
マラケシュの中心、フナ広場に現れる蛇使いなどの大道芸の写真を撮ると、強硬に金を払えと求められるので要注意。
日が暮れたら、女性は一人で出歩かないようにとのこと。大使館の情報では、男性でも独り歩きをしていて強盗にあったという実例が。
• 道を教えてくれる親切な人もただじゃない
メディナは複雑な迷宮。地図アプリを使っていても迷うことがあります。するとどこからか親切な人が近づいてきて、道案内をしてくれることがあります。でも、こちらもあとで金を払えと言われるので要注意。大道芸の写真もそうですが、後出しでお金の話をされるのは気分がいいものじゃないですよね。
• お酒は提供されるお店だけで飲む
お酒を出すライセンスがあるレストランでは飲酒できますが、それ以外での飲酒は違法です。
• カップルでもいちゃいちゃはNG
公の場で男女が親しい雰囲気で接触するのはNGです。
実際に役立ったこと
人気のフェズもマラケシュ同様メディナが迷宮です
食事など、どうしても夜出かけなければならにこともあります。その場合には、明るいうちに一度下見に行きましょう。昼間でもなんだか怪しいなと思ったら、思い切って諦めます。また、昼間大丈夫だと感じても、実際に夜になって出かけてみて雰囲気がよくなければ、やっぱりやめておきます。
• リヤドや宿泊先の人によく聞いてみる
ガイドブックには有名店の情報などがきっちり載っていますが、それ以外にも良いお店はあります。リヤドや宿泊しているホテルで、近所のいい店を聞いてみましょう。特に夜は宿から遠くないほうが安心です。
フェズの路地は色彩も美しくフォトジェニック。でも、人気がないので奥には入りませんでした。
さぁ、十分に注意してアフリカ大陸の色彩溢れるモロッコに出かけてみましょう。身を守るために最初は緊張するかもしれませんが、しばらくすると身についてきますよ。でも油断は禁物です。
[外務省 海外安全ホームページ]
[Lonely Planet]
[All photos by Atsushi Ishiguro]