ローマのあるラツィオ州、ボマルツォにつくられた16世紀の公園
ローマから100kmほど北上したところにあるボマルツォの町。そこに怪獣公園はあります。
怪獣公園は、「マルヴェルズ邸」とも「サクロ・ボスコ(神聖な森)」とも呼ばれています。
そのポップな名前から想像する以上に歴史は古く、なんと1552年につくられたものです。それも、この土地の持ち主であったオルシ―ニ公が、著名な建築家ピッロ・リゴリオにデザインをさせて。リゴリオはミケランジェロの死後にサンピエトロ寺院を完成させた人物で、ティヴォリのエステ家別荘の庭園設計で知られます。
長い間打ち捨てられていましたが、400年の時を経て修復され、一般に公開されるようになりました。その不気味で奇怪な雰囲気はそのまま残っています。
それでは怪獣公園をみてみましょう。
ミステリアスな24のオブジェ
こちらのシンボルとも言えるのが、子供を食べるという死の神オルクス。中世にはこういった口を開いた顔がよくつくられましたが、地獄の入り口を表現していたとか。
女性と亀。
そしてペガサス。またモンスター、ドラゴンなど神話的なテーマやエキゾチックな動物が登場します。
これは傾いた家。正確に言うと、傾いた岩の上に立った家です。おそらく招待客を驚かせるために建てられたと言われています。出てくると、ふらふらするそうです。
こちらは寺院です。オルシ―ニ公の亡くなった二人目の奥さんを称えるためにあとから建てられました。
そう、この公園は、二番目の妻ジュリアの死の悲しみを発散させるためにつくられたものと言われています。
公園には、当時庭園に欠かせないものであった野外劇場などもあります。しかし、16世紀の洗練されたイタリア式の庭園は通常、幾何学的であり遠近法を用いたものですが、そういった常識が取っ払われたデザインは、当時の芸術家たちにとって衝撃的でした。
オルシーニ公、少しは気持ちが和らいだのでしょうか。
参考
[AMOITALIA]
[SACRO BOSCO]
[Bomarzo.net]
[All Photos by shutterstock.com]
Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
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