火山活動によって誕生したインドネシアの「スマトラ島」。現在も盛んにその火山活動が続いています。また、スマトラ島には、世界遺産やアジア最大の湖など、豊かな自然が広がります。
幻のトラが棲息する、熱帯雨林遺産
希少な動物たちが多く生息しているこの地は、「スマトラの熱帯雨林遺産(Tropical Rainforest Heritage of Sumatra)」という名で世界遺産にも登録されており、スマトラオランウータン・スマトラゾウなどの固有種を始め、約200種類の哺乳類と580種類の鳥類が暮らしています。
中でも、美しい縞模様と世界最小のトラである「スマトラトラ」は、絶滅危惧種に指定され、“幻のトラ”とも言われるほど珍しい動物です。しかし、年々減少傾向にあり、その数はわずか数百頭ほどだそう。世界最小とはいえ、その体長はおよそ2.15〜2.55m、体重は75〜140kgもあり、その凛々しく迫力のある姿に思わず見とれてしまうほどです。
世界最大級のカルデラ湖「トバ湖」とバタック文化
スマトラ島でもうひとつの観光名所は、アジア最大級のカルデラである「トバ湖」。今からおよそ7万4000年前に起こった大噴火で形成されたクレーターに、雨水が溜まってできあがった湖です。長さはおよそ100kmで面積は1000㎡。当時の噴火がどれほど凄まじかったのかが想像できます。
またこのトバ湖周辺には「バタック族」と呼ばれる人々が暮らしており、船のようにカーブした屋根と高床式建物が特徴の伝統的民家は、このスマトラ島でしか見る事ができません。
インドネシアの歴史も垣間みれ、豊かな自然だけではなく、伝統文化も一緒に楽しめるのも魅力のひとつです。
未だ活動を続ける火山
7万4000年前に起こったトバ湖の大噴火では、インドネシア周辺のみならず地球の気候にも変化をもたらし、生態系に大きな影響を与えたと言われています。最近でも約410年振りにシナブン山が噴火し、世界的にも大きなニュースとなりました。現在も噴煙を上げている山も含め、スマトラ島には35個の火山が存在しており、地球の生命エネルギーを感じることができる場所です。
地球の鼓動を感じることができ、希少な自然と動物が存在する「スマトラ島」。実は残念なことに、自然破壊や密猟などにより危機遺産にも登録されています。いつまでもこの美しい自然を残していきたいですね。