ベトナム最大の都市、ホーチミン。ベトナムのLCC「べトジェットエア」の関空就航に加え、近く東京への就航も計画されており、ますます身近な旅先になりつつあります。
ホーチミンは経済発展に伴い、急速に風景が変わっていく勢いのある都市。定番の観光コースに加え、いま人気のカフェや新たなフォトスポットなど、2018年の最旬トレンドを採り入れた「ホーチミンでしたい8つのこと」をご紹介します。
コロニアル建築めぐり
かつて「東洋のパリ」と称されたホーチミンは、今もフランス植民地時代のコロニアル建築が残る都市。それらを訪ね歩く街歩きは、古くからのホーチミン観光のハイライトです。
ホーチミンのコロニアル建築の代表格が、1880年建造のサイゴン大教会。レンガをはじめとする建材はすべてフランスから運びこまれました。
その向かいに位置する中央郵便局は、市内最大規模の郵便局であると当時に、クリームイエローの外観が印象的なコロニアル建築で、アーチが美しい内部も見ごたえ十分。
ほかに、フランス人のパブリックホールとして建設された人民委員会庁舎や、オペラハウスとして造られた市民劇場、映画「インドシナ」の舞台となったホテル「コンチネンタル・サイゴン」など、中心部に点在するコロニアル建築をめぐってみましょう。
最新フォトスポット探訪
街の規模のわりに、いわゆる「観光スポット」はさほど多くないホーチミンですが、近年のSNSの流行により、新たなフォトスポットが発掘されています。
その筆頭が、真っピンクの教会として知られる「タンディン教会」。ホーチミン観光のメインとなる1区の中心部からはやや離れているものの、わざわざタクシーに乗ってやってくる人が後を絶ちません。
鮮やかなピンク色の外観は、まるで物語に出てくるお城のよう。青い空とトロピカルな木々とあいまって、写真映え抜群です。
フォトスポットとして人気が高まっているもうひとつの場所が、「スリ・タンディ・ユッタ・パニ寺院」。100年以上の歴史をもつヒンドゥー寺院で、一般の旅行者も見学可。壁一面を覆うカラフルなマジョリカタイルがフォトジェニックです。
ベトナム戦争を知る
ベトナムの歴史を語るうえで、絶対に避けては通れないのがベトナム戦争。せっかくホーチミンを訪れるなら、気軽な観光やグルメだけでなく、ベトナムの抵抗の歴史にふれてみませんか。
そのために必ず訪れたい場所が、「戦争証跡博物館」。ベトナム戦争の悲惨さを展示する博物館で、1945年のホー・チ・ミンによる独立宣言にはじまり、2000年代に入ってからも続く枯葉剤の後遺症まで、半世紀以上にわたるベトナム戦争の傷跡を伝えています。
戦車や戦闘機、武器なども展示されていますが、それ以上に戦争のむごさを雄弁に物語っているのが、世界各国のジャーナリストたちが撮影した写真の数々です。ピューリッツァーを受賞した沢田教一氏をはじめ、日本人カメラマンの写真も多数展示。これらの写真が伝えるベトナムの悲惨な現状は当時、各地の世論を動かし、世界規模の反戦運動に発展しました。
世界各国でのベトナム反戦運動に関する展示のなかで、特に目立っているのが日本。リアルタイムでベトナム戦争を知らない日本人は、「ベトナム戦争はアメリカが起こした戦争」だと思っているかもしれませんが、当時の日本はベトナムに出撃する米軍にとって欠かせない後方基地であっただけでなく、「ベトナム特需」で日本の産業界も潤いました。
日本も深くかかわっていたという事実を踏まえれば、ベトナム戦争への見方が変わります。目をそむけたくなるような展示もありますが、それをあえて見ることは、きっと人間社会の未来にとって重要な意味があるはず。日程に余裕があれば、ホーチミン発のクチトンネルへの日帰りツアーにも参加して、さらに理解を深めてはいかがでしょうか。
いまどきベトナム料理に舌鼓
ベトナムは世界でも有数の美食の国。それだけに、「ホーチミン旅行の楽しみはグルメ」という人も多いことでしょう。
古くからあったコロニアル調の高級レストランに加え、最近存在感を増しているのが現代のトレンドを反映したおしゃれなベトナム料理。いまどきの高感度なベトナム料理レストランは、外国人旅行者のみならず、地元っ子にも人気があります。
そのひとつが、壁一面にプロパガンダアートが描かれた「プロパガンダ」。サイゴン大教会からすぐの好立地で、ポップな店内で家庭料理やモダンにアレンジされた創作ベトナム料理がいただけます。
ほかにも、屋台料理の要素を取り入れた「ベップメーイン」や、田舎風ベトナム料理をおしゃれに提供する「マウンテンリトリート」など、味のみならず雰囲気も楽しめるレストランに足を運んでみましょう。
キッチュな雑貨クルーズ
ベトナム旅行といえば、雑貨ショッピングも見逃せません。まだまだ物価の安いベトナムだけに、エキゾチックな雑貨が手ごろな値段で買えるのが嬉しいですね。
ホーチミンの定番ショッピングストリートといえば、ドンコイ通り。「ホーチミンの銀座」ともいわれるほどハイソなエリアで、一軒家の雑貨ショップが数多く並んでいます。巾着やポーチなど、バラマキ土産にもなる低価格のお土産なら、刺繍製品が充実している「トンボ」や品ぞろえ豊富な「バタフライ」「トロピック」などをチェックしてみてください。
よりハイセンスで長く使える一品を探すなら、ベンタイン市場近くの「ハウス・オブ・サイゴン」がおすすめ。ベトナムにしては少々値段が張るものの、安価な大量生産品とは一線を画す、こだわりの雑貨に出会えます。
プロパガンダアートをデザインした品々も、近年のベトナム雑貨のトレンド。ドンコイ通り近くの「サイゴンキッチュ」は、プロパガンダ雑貨や飼料袋などを使ったリサイクル雑貨が充実。
プロパガンダポスターを安く手に入れるなら、ファングーラオ通りの専門店「ライス」も足を運んでみる価値あり。バックパッカー街として有名なエリアだけに、ハイソなエリアにあるブティックの半額ほどで購入できます。
おしゃれカフェをはしご
フランス統治下の影響もあり、ホーチミンはカフェ文化が盛ん。近年のベトナムの経済発展から、地元の若者もおしゃれなカフェを利用するようになり、いまのホーチミンはかつてないほどの「カフェ天国」の様相を呈しています。
現在、ホーチミンで最も熱い視線を浴びているカフェのひとつが、「メゾン・マルゥ」。ベトナムを代表する高級チョコレートブランド「マルゥ」の直営カフェで、フランスのエスプリを感じる洗練された空間で味わう、チョコレートを使ったドリンクやスイーツは格別です。
インドシナ時代のインテリアをテーマにした「ビンテージ・エンポリウム」や、1960年以前の北ベトナム時代を再現した人気チェーンの「コン・カフェ」など、個性派ぞろいのカフェをはしごしちゃいましょう。
リノベアパートに潜入
いまホーチミンのトレンド発信地となっているのが、リノベーションアパート。古いアパート内にカフェやレストラン、ブティックなどが入居し、宝探し気分でショッピングやカフェタイムが楽しめるようになっているのです。
ホーチミン市内中心部では、統一会堂近くのグエンフエ通り42番地のアパートやドンコイ通り151番地アパート、リートゥチョン通り26番地などが有名。
いずれもファッショナブルなカフェやショップが複数入居していて、食事やお茶、買い物が楽しめるほか、古めかしい内装や、アパート上階からの眺めも見どころです。
スパで癒される
「街を歩けばスパにあたる」といっても過言ではないくらい、多数のスパやマッサージ店がひしめき合うホーチミン。日本ではなかなかエステやマッサージを受ける機会がない人も、物価の安いベトナムで自分をいたわってあげましょう。
ホーチミンにはたくさんのスパがあるので、通りがかりのスパに飛び込むのもひとつの選択肢ですが、衛生面や技術面で当たりはずれがあるのも事実。評判の良いスパをあらかじめ調べておいたほうが確実です。
日本人在住者にも人気が高いスパのひとつが「ミウミウスパ」。清潔さやきめ細かなサービス、技術力に定評があるスパチェーンで、ホーチミン市内に5店舗を展開しています。日本のエステと遜色のない雰囲気ながら、アロマボディマッサージが120分で3000円程度とコストパフォーマンス抜群。アロママッサージなら、ホットストーンの施術が加わる90分以上のコースがおすすめです。
「せっかくの旅行なのだから、もっとゴージャスに」という人は、白亜のヴィラ風サロン「ラ・メゾン・ド・ラポティケア」や、インターコンチネンタル・サイゴン内にある全室個室の「スパ・インターコンチネンタル」などで、ワンランク上のスパ体験をどうぞ。
一日中観光プランを詰め込むよりも、余裕のある日程でカフェやショッピング、スパなどを楽しむ、気ままな時間を過ごしたいホーチミン。激動の歴史を経て、たくましく歩みつづける「ベトナムのいま」を感じてください。
[All photos by Haruna]
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