見上げてビックリのモコモコ雲
曇り空を見上げてみると、たまに雲の底がモコモコになっていることがあります。
まるで金剛力士像の眉間や筋肉のよう。
夕暮れ時に出現すると、とてもきれいですね。
珍しい光景なので、ついつい目が吸い寄せられてしまいます。
この雲は「乳房雲」。垂れ下がったこぶを牛の乳房にたとえて、このような呼び名がつきました。
出現したら嵐の前触れ
乳房雲は名前も形もユニークですが、ぼんやり眺めていてはいけません。
なぜかというと、嵐の前触れだからです。
アメリカでは乳房雲はトルネードの前兆だといわれて恐れられています。
乳房雲を見たら、建物の中にすぐに避難しないといけないと教えられることもあるのだとか。
乳房雲は、積乱雲の底にできることが多いです。
積乱雲と聞いてまず思い浮かべるのは、夕立を引き起こす夏の雷雲かもしれませんが、積乱雲はどの季節でも発生します。
温帯低気圧の、寒冷前線上にできる雲が積乱雲。雷だけでなく大雨や竜巻などの突風も発生させます。
特に、4月から5月にかけて日本を訪れる発達した温帯低気圧は、「メイストーム」と呼ばれて大きな気象災害を引き起こすことがあります。これも積乱雲のしわざです。
日本では、残念ながら今回ご紹介した写真のようなはっきりとした乳房雲はなかなか見られません。
一度は見てみたいけれど、気象災害は恐ろしい。実に悩ましい魔性の雲ですね。
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[あおぞらめいと]