緑の大地トスカーナの奥地、秘境にある美しいレンガ造りの城
緑の大地広がるイタリア・トスカーナ地方。美しい稜線を描く丘陵地帯はどこまでもつづきます。いくつもの丘を越えたトスカーナの奥地、ぶどう畑のその向こうにひっそりとある、美しいブローリオ城を紹介します。
一族の繁栄を伺える優雅で強固なブローリオ城
10世紀頃の文書に、このお城の存在はすでに記録されており、1141年よりフィレンツェの貴族リカーゾリ家所有のものとなります。イタリア王国2代目の首相を務めたベッティーノ・リカーゾリ公爵を排出した名家です。
所有する広大なぶどう畑の丘の上に建つ城は、頑強な要塞に囲まれています。
城は美しいレンガ造りで、屋上の見張りを立てる時に活用した突起など、中世ルネッサンス様式をとりいれた優美な作りになっています。
青空と緑の大地にレンガの赤土色が実によく映えます。
また、敷地内にある家族専用の礼拝堂は見事なモザイクで飾られており、一族が繁栄していたことが伺えます。
美しい城だけでない、本当の財産はそのぶどう畑とそれにかけた情熱
ブローリオ城は広大な敷地のぶどう園を有していました。イタリア王国2代目の首相を務めたベッティーノ・リカーゾリ公爵は、政界を引退後、近代的な農園の経営に尽力しました。
昔よりワインの生産地であったキャンティ地方を、伝統的なワイン生産の地「キャンティ・クラシコ」として格付け、その規定をもうけたのも彼の功績です。今やイタリア随一のワイン産地であるキャンティの礎を築く舞台となったのが、まさにこのお城だったのです。
お城の見学はワイナリーの試飲付き!
今でもキャンティ地方で有数のワイン生産量を誇るワイナリー「リカーゾリ」。キャンティの伝統を守り抜いて来た老舗のワインは安定のおいしさです。
ブローリオ城の見学チケットを見せると、お城のワイナリーでワインの試飲が出来ます。
しっかりとした個性と味わいを持つぶどう品種サンジョベーゼをベースとしたキャンティワインは、グラスに注ぎ、空気とふれあうことで香り、味わいともにゆっくりと花開いていきます。美しいお城に刻まれたワインの伝統を感じつつ、じっくりと堪能すれば、また、そのおいしさもひとしお味わい深く感じるようで、楽しいですね。
[RICASOLI]
[All photo by Ryoko FUjihara]