【日本三大渓谷】富山「黒部峡谷」・新潟「清津峡」あと1カ所はどこ?特徴と人気観光スポット

Posted by: あやみ

掲載日: Jan 28th, 2024

「峡谷」とは幅が狭く、両側が高く切り立った崖からなる谷のことです。隆起運動の激しい地域で谷が横に広がるよりも早く、下刻が進む場合に形成されます。今回は、日本三大渓谷に挙げられる富山県「黒部峡谷」、新潟県「清津峡」、三重県「大杉谷」、それぞれの深さや特徴、人気観光スポットをご紹介します。

富山県・黒部ダム
 


 

水量が多く、流れが速い!日本一深いとされるV字峡谷「黒部峡谷」(富山県)

富山県・黒部峡谷
富山県を流れる黒部川は標高2,924mの鷲羽岳に源を発し、立山連峰と後立山連峰の間、約86kmを富山湾に流れる日本有数の急流河川です。豪雪地帯に位置するため、水量が多く、流れが速いのが特徴。その浸食作用により、長い年月をかけて日本一深いとされるV字峡谷「黒部峡谷」が形成されました。

峡谷両岸には原生林が生い茂り、夏は緑と黒部川のコントラストを、秋には紅葉と黒部川のコラボレーションという絶景を拝むことができます。

また、急峻な峡谷は、ほとんどが中部山岳国立公園に含まれています。大正時代以前は人を寄せつけない秘境でしたが、黒部鉄道の開発によって、奥地まで行けるようになり、現在は人気の山岳観光地になっています。

黒部峡谷トロッコ電車
そんな黒部峡谷の美しい景色を堪能できるのが「黒部峡谷トロッコ電車」。黒部峡谷の宇奈月から欅平(けやきだいら)まで約20kmを片道約80分で走ります。このトロッコ電車には開放感のある窓のないタイプや、ゆったりと過ごせる窓付きタイプがあり、心地の良い揺れを感じながら、黒部峡谷を巡ることができます。宇奈月湖に架かる「湖面橋」、黒薙川(くろなぎがわ)に架かる「後曳(あとびき)橋」、紅葉名所の錦繍関(きんしゅうかん)といった見どころが盛りだくさんです。

※2024年1月現在、能登半島地震の影響により、黒部峡谷トロッコ電車の線路が走る「鐘釣橋」の一部が破損。現在は冬季運休中ですが、復旧工事は雪解け後になるため、4月20日以降の運行再開が難しい場合があります。黒部峡谷トロッコ電車に乗車希望の場合は、最新の運行情報をチェックしてください。

黒部峡谷
住所:富山県富山市・黒部市・中新川郡立山町
電話:0765-54-2611(黒部市商工観光課)
交通アクセス:富山地方鉄道本線「宇奈月温泉駅」から黒部峡谷鉄道に乗車
公式サイト:https://www.pref.toyama.jp/1706/kurashi/kankyoushizen/kankyou/mizuhozen/1shirou/meisui/01/18.html

柱状節理の岩肌とエメラルドグリーンの清流が織り成す圧巻の景観「清津峡」(新潟県十日町市)

新潟県・清津峡
新潟県十日町市の清津川を挟んで切り立つ巨大な岩壁がV字形の大峡谷をつくり出す「清津峡」は、雄大な柱状節理の岩肌と、エメラルドグリーンの清流が特徴的です。国の名勝・天然記念物に指定されています。

清津峡ができたのは、1500万年前に海底火山の噴火活動により、火山灰が海底に降り積もったのが始まりです。それから、化学変化で緑色になり、緑色凝灰岩(グリーンタフ)に。そして、700万年前に緑色凝灰岩の地層に地下からマグマが流出し、冷えて固まってひん岩ができ、その際、体積が収縮して、柱状節理という構造になりました。

その後、地表の動きが活発な時代になり、海底が隆起して陸地の山となり、清津川によって削られ、地下のひん岩の柱状節理が谷底に出てきて、現在の清津峡に。清津峡の岩崖は柱状の岩の寄せ集めです。そのため、岩は硬いが、もろく崩れやすいという性質があります。

新潟県十日町市・清津峡
清津峡の人気観光スポットは、全長750mの「清津峡渓谷トンネル」。2018年の大地の芸術祭にて、中国の建築家集団「マ・ヤンソン/MADアーキテクツ」のアート作品として大幅に改修されました。自然の「5大要素(木、土、金属、火、水)」を利用した、フォトジェニックな空間になっています。

最終地点の「パノラマステーション」は、清津峡の景観を映し出す水鏡になっており、人が足を踏み入れると水面が揺れ、風が吹くと波紋が広がるという、幻想的な雰囲気を楽しめますよ。

清津峡
住所:新潟県十日町市小出
電話:025-763-4800(清津峡渓谷トンネル管理事務所)
交通アクセス:JR「越後湯沢駅」から森宮野原行き急行バスで約25分「清津峡入口」バス停下車、徒歩約30分
公式サイト:https://nakasato-kiyotsu.com/

伊勢神宮の式年遷宮の御杣山として活用されていた「大杉谷」(三重県多気郡)


三重県多気郡の「大杉谷」は、日本有数の多雨地帯にあり、全長約14km、標高差1,200mで、「大杉谷登山道」が整備されています。

大杉谷を流れる宮川の下流は伊勢湾に達します。そのため、大杉谷は安土桃山時代から江戸時代にかけて7回、伊勢神宮の式年遷宮の木材を生み出す御杣山(みそまやま)として活用されました。大杉谷で切り出された木材は、増水期の川の流れを使って伊勢神宮に届けられたのです。


エメラルドグリーンの美しい沢と7つの雄大な滝を眺めながら、散策できる「大杉谷登山道」は、日本屈指の峡谷コースです。11本の吊り橋を越え、原生林の森を抜け、大台ケ原に至る中級登山道になっています。「嵓(くら)」と呼ばれる巨大な岩壁にも注目です。大杉谷の深部には、日本の滝100選に選ばれた「七ツ釜滝」のほか、大岩がゴロゴロしていて、スリリングな新名所「崩壊地」、滝壺が目を引く「堂倉滝」といった絶景も。

なお、「大杉谷登山道」は中級登山道のため、装備のない初心者は入山できません。初心者には、アクセスの良い北総門山・総門山がおすすめ。総門山は木道が整備されており、体力に合わせたコースも選べることに加え、両山の縦走も可能です。天候に恵まれれば、頂上から宮川の流れと伊勢湾の景色を眺めることができます。また、登山する際は登山届を忘れずに提出しましょう。

大杉谷
住所:三重県多気郡大台町大杉
電話:0598-78-3338 (大杉谷登山センター)
交通アクセス:JR紀勢本線「三瀬谷駅」から徒歩4分、「道の駅奥伊勢おおだい」から登山バス(要予約)で約1時間30分
公式サイト:https://www.oosugidani.jp/

[参考]
富山観光ナビ
富山県
My trip KOKAMACHI
観光三重
大台町観光協会
大杉谷登山センター

[Photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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