雲海が広がり城下町が少しずつ隠れていく様子が見られる「越前大野城」(福井県大野市)
1576年、金森長近(かなもり ながちか)によって4年の歳月をかけて築城された「越前大野城」は、標高約249mの亀山にそびえる平山城です。2層3階の大天守、2層2階の小天守、三の丸、二の丸からなり、麓には城下町が広がっています。
越前大野城の最大の特徴は、石垣が自然石をほとんど加工しない野面積み(のづらづみ)という古い工法を用いて積み上げられていることです。
現在の天守閣は1968年に再建されたもので、歴代城主の遺品が展示されています。
「天空の城 越前大野城」は、城下町が雲海に包まれて、亀山だけが浮かんで見える日に出現! 雲海の下はすぐに城下町であるため、雲海が広がり、町が少しずつ隠れていく幻想的な様を見ることができます。
とはいえ、「天空の城 越前大野城」は以下の気象条件がそろわないと出現しません。
- 雲海が出現しやすい気象条件
- 時期:10月から4月末頃 ※11月がもっとも出現する時期といわれています。
- 時間:明け方から午前9時頃まで
- 前日の湿度が高いこと(前日に雨が降った日など)
- 前日の日中と翌日朝方の気温差が大きいこと(放射冷却現象が起こるような日)
- 風が弱いこと
過去の記録によると、雲海は2017年9月~2018年3月の間は13回、2018年10月~2019年3月の間は20回、2019年10月~2020年2月の間は11回出現したとのこと。
なお「天空の城 越前大野城」を眺めるためには、越前大野城の西、約1kmに位置する犬山を登る必要があります。この犬山の城址、南出丸下から眺める「天空の城 越前大野城」が絶景なのです。
犬山登山には、さまざまな注意事項があります。詳しくはこちらをご覧ください。
住所:福井県大野市城町3-109
電話:0779-66-1111
開館時期:9:00〜17:00(4月~9月)、9:00〜16:00(10月~11月)
休館期間:12月1日~3月15日
入館料:大人300円、小人(小学生以下)無料
交通アクセス:JR「越前大野駅」から徒歩約40分
公式サイト:https://www.onocastle.net/
“日本のマチュピチュ”と呼ばれる、江戸期よりも前の石垣が完存する「竹田城跡」(兵庫県朝来市)
1443年頃、当時の但馬守護である山名宗全(やまな そうぜん)の配下、太田垣氏(おおたがきし)に命じて築城したのが、竹田城のはじまりとされています。時を経て、1600年の関ヶ原の戦いの際、城主である赤松広秀が大火の責任を問われ自害し、竹田城は廃城に。そして現在の石垣だけが残る竹田城跡になりました。
竹田城跡の一番の魅力は、江戸期よりも前の石垣が完存していることです。越前大野城と同じく、自然石をほとんど加工しない野面積み(のづらづみ)で築かれています。職人技を駆使して築かれた石垣は、400年以上たった今でも、荘厳な姿のままです。
しかし、竹田城にどのような建物があったのかわかっていません。度重なる火災により資料が残っていないそうです。さらに廃城になっても石垣が壊されていない点が謎とのこと。
そんな謎が残る竹田城跡に雲海が見られるのは、毎年9月〜12月にかけて。特に11月と12月は雲海の発生率が高いです。前日の夜に冷え込み、翌日よく晴れて暖かくなる寒暖の差が10℃以上で、風が少ないときに発生しやすいとか。
また極上の雲海が発生すると、“一寸先も霧”の状態に。石垣の端に立つと、雲に浮かんでいるような気分になりますよ。竹田城跡の三の丸には映画『あなたへ』のロケの際、高倉健さんが座ったベンチも。
このベンチは「天空のベンチ」と呼ばれており、ここに座ったカップルは幸せになれるといわれています。ベンチから目の前に広がる雲海の壮大な景色を眺めるのも良さそうですね。
住所:兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169
電話:079-674-2120
入場時間:期間により異なるため、詳しくはこちらをご覧ください。
観覧料:大人(高校生以上)500円、中学生以下は無料
交通アクセス:JR「竹田駅」から徒歩約40分
公式サイト:https://www.city.asago.hyogo.jp/site/takeda/
公式Instagram:https://www.instagram.com/takeda_castle/
雲海に浮かぶ姿は一見の価値あり! 国内唯一の現存する山城「備中松山城」(岡山県高梁市)
鎌倉時代に臥牛山(がぎゅうざん)に築城された「備中松山城」は、国内唯一の現存する山城です。木造の天守のほか、二重櫓(やぐら)や土塀の一部も現存し、1941年に国の重要文化財に指定されました。
1997年には本丸南御門や東御門、腕木(うでぎ)御門などを復元。2003年には、傷みが進んだ天守の保存修理も行われました。
備中松山城は、1240年に有漢郷(うかんごう)の地頭に任ぜられた秋庭三郎重信(あきば さぶろうしげのぶ)が、大松山に砦を築いたのがはじまりです。
その後、城の中心は小松山の峰に移り、時代とともに城の縄張りも変化します。この地は山陰と山陽を結び、東西の主要街道も交差する要所であることから、戦国時代は激しい争奪戦が絶えず、城主交代が繰り返されたのです。そのため、山城の周辺は、高さ10m以上の巨大な岩壁がそびえ、“難攻不落の名城”の面影を今に伝えます。
そんな備中松山城の雲海を楽しめるスポットは、「雲海展望台(雲海に浮かぶ備中松山城を望む展望台)」。雲海は9月下旬~4月上旬の明け方~午前8時頃に発生することが多く、特に10月下旬~12月上旬の早朝には濃い朝霧が期待できます。
さらに前日の日中と、当日の早朝の気温差が大きい日で、天気予報が「晴れ予報の日」に出現しやすいそうです。2、3日前に雨が降ると出現率が高まるという説も。
雲海に浮かんだ備中松山城の姿は、一見の価値あり! シャッターを何度も切りたくなるような絶景が目の前に広がりますよ。
住所:岡山県高梁市横町1694-4
電話:0866-21-0461
開城時間:9:00~17:30(4月~9月)/最終入城時間17:00、9:00~16:30(10月~3月)/最終入城時間16:00
休城日:12月29日~1月3日
入城料:大人500円、小中学生200円
交通アクセス:JR「備中高梁駅」から徒歩で約1時間30分
公式サイト:https://www.bitchumatsuyamacastle.jp/
[参考]
えちぜん おおの観光ガイド|一般財団法人越前おおの観光ビューロー
あさぶら|あさご市ポータルサイト
わたしあうまち高梁市|高梁市公式ホームページ
高梁市観光ガイド|一般社団法人 高梁市観光協会
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