【日本三大五重塔（名塔）】奈良「法隆寺」・京都「醍醐寺」もうひとつは？歴史や建築、見どころ

飛鳥様式の洗練された意匠が目を引く「法隆寺」の五重塔（奈良県生駒郡）

現存する日本最古の塔である「法隆寺」の五重塔は、飛鳥時代に建造された国宝です。

塔の中心を木の柱「心柱（しんばしら）」が貫いており、これが塔の安定性を高める重要な役割を果たしています。心柱の下にある心礎には、仏舎利が納められているのもポイント。各層の屋根は深い軒を持ち、全体として優雅な印象です。

また、五重塔最下層の心柱の四方には、塑土（土人形）で洞窟のような舞台が造られています。これは釈迦に関する4つの説話から4つの場面を表しているそうです。

夢殿

現存する世界最古の木造建築群を有する「法隆寺」。五重塔のほかにも、釈迦三尊像をはじめとする仏像が安置されている「金堂」、聖徳太子を祀るために建立された「夢殿」など、見どころ盛りだくさんです。

さらに法隆寺は、国宝だけで38件・150点、重要文化財を含めると約3,000点も所蔵。「大宝蔵院」では、仏像や絵画、工芸品といった多彩な文化財を間近で鑑賞できます。

飛鳥時代に思いを馳せながら、境内を巡りたいですね。

醍醐天皇のご冥福を祈るために健立された「醍醐寺」の五重塔（京都府京都市）

醍醐寺の五重塔は、国宝に指定されている平安時代の貴重な建築物です。醍醐天皇の冥福を祈るために朱雀天皇が起工し、951年に建立されました。

この五重塔は、高さ約38mの木造建築で、各層の屋根が美しく重なり合う姿が特徴的。塔の中心には法隆寺の五重塔と同様に「心柱」と呼ばれる柱が地面から最上部まで貫いており、建物全体の安定性を支えています。

また、各層の軒下には、精巧な彫刻や装飾が施されているほか、内部には日本密教絵画の源流をなすものといわれる壁画も。

三宝院の庭園

醍醐寺は、五重塔以外の見どころも豊富。特に、豊臣秀吉が「醍醐の花見」を催したことで知られる「三宝院」は、桃山時代の庭園美を今に伝えています。

さらに醍醐寺発祥の地である「上醍醐」もぜひ訪れたいスポット。国宝の薬師堂や清瀧宮拝殿のほか、開山堂、如意輪堂などが点在しています。

「醍醐寺」から「上醍醐」へ向かう際は、登山口の女人堂から約1時間弱、険しい山道を登ることになります。しかし、四季折々の自然に触れることができ、心身ともにリフレッシュが可能です。

室町時代を代表する木造建築「瑠璃光寺」の五重塔（山口県山口市）

瑠璃光寺にある五重塔は、室町時代中期を代表する高さ31.2mの木造建築です。

国宝に指定されているこの塔は、各層の軒が広く張り出し、檜皮葺の屋根の勾配は緩やかです。そして、塔身は上層ほど間を縮め、塔の胴が細く見えるため、すっきりとした印象。これに対して初重の丈が高く、柱が太いのが特徴です。二重目には廻縁・高欄があり安定感があります。

また、和様・唐様（禅宗様）・天竺様（大仏様）という3つの建築様式が見られるものの、室町建築としては装飾が少ない造りです。

瑠璃光寺の境内は、四季折々の自然美が楽しめる場所として知られています。春に桜、初夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、五重塔との調和が美しい風景に。

なお、2025年2月現在、約70年ぶりに檜皮葺屋根の全面葺き替え工事を行っており、残念ながら五重塔の姿を見ることはできません。

とはいえ、普段は五重塔に安置されている秘仏「阿弥陀如来坐像」「大内義弘公入道座像」は、改修中の間だけ御堂で拝観可能！

この機会にぜひ訪れたいですね。

[参考]
なら旅ネット
国指定文化財等データベース｜文化庁
文化遺産オンライン
京都観光Navi
西の京やまぐち
山口県の文化財

[All photos by PIXTA]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。