イタリア絵画の名作、ボッティチェッリの「春」、教科書にも必ず載っているのでご存知の方も多いはず。女神たちが佇む庭は花にあふれ、春の喜びを美しく描いた傑作です。この絵は「春」というイメージで、実際にある景色よりも花をたくさん描かれたのだろうと思ってしまいますが、いえいえ、花にあふれる春の風景は、イタリア、トスカーナの実際の風景なのです。
イタリアから、花に溢れる春の景色をお届けします。
女神舞う春のトスカーナの大地
ボッティチェッリの「春」、女神たちの足下にはたくさんの草花が描かれています。その種類約190種。そのうち約130種はイタリア、トスカーナ地方に実在する花であることが研究によって確認されています。つまり、この絵が空想だけの産物でなく、実物を忠実に描いた部分もあるということ。彼が描いた春の景色は、この地方の春の実際の風景をもとにしているのです。
そして今も春が来ると、トスカーナの美しい丘陵地帯は彼が描いた絵のような花にあふれる景色が広がります。
たんぽぽ、マルゲリータ、シロツメクサ、タイムにミントにローズマリー、様々な花が春の明るい太陽を浴びて一斉に花開きます。
風にゆれて爽やかに香り立つ草花たち。暖かな日の光を浴びて、まるで喜びに微笑むかのように咲くそのかわいらしい姿に、私たちの心も温かく満たされていくようです。
よく、現実は小説より奇なりなんていいますが、実際の景色はどんなに美しく描かれた絵画より美しいのかもしれませんね。
暖かな日差しに喜び溢れる美しい春、私たちも楽しみましょう、トスカーナの大地に咲く草花のように。
[All photos by Ryoko Fujihara]