【メキシコ】世界遺産「テオティワカンの太陽のピラミッド」が沈下の危機に!

Posted by: Miho Nagaya

掲載日: Apr 16th, 2014

登れるピラミッドとしては世界最大級の太陽のピラミッド

【メキシコ】世界遺産「テオティワカンの太陽のピラミッド」が沈下の危機に!
メキシコ観光の重要スポット、神々の都市テオティワカン© Miho Nagaya

メキシコシティの隣の州、メキシコ州の広大な大地にある、太陽のピラミッドと月のピラミッドを中心にした紀元前2世紀ごろの世界有数の巨大宗教都市遺跡テオティワカン。世界文化遺産に1987年に登録され、メキシコ観光の人気スポットのひとつです。

2000年近い歴史を持つ、太陽と月の2つのピラミッドへ気軽に登れるのも、旅行者にとって嬉しいポイント。とくに、太陽のピラミッドは、登頂できるピラミッドとしては、世界最大級なんです。

【メキシコ】世界遺産「テオティワカンの太陽のピラミッド」が沈下の危機に!
太陽のピラミッドの238の階段を登り、頂上に辿りついたときの達成感や爽快感といったら!翌日はかなりの確立で筋肉痛になりますけどね © Miho Nagaya

太陽のピラミッドに迫る危機

【メキシコ】世界遺産「テオティワカンの太陽のピラミッド」が沈下の危機に!
月のピラミッドから太陽のピラミッドを望む風景 © Miho Nagaya

しかし、その太陽のピラミッドに沈下の危機が迫っているのです!
メキシコ国立自治大学の物理学、考古学研究者たちの調査により、太陽のピラミッドの南の一部分の乾燥が著しく進んでいることが発覚。

約100年前に当時大統領だったポルフィリオ・ディアスが、太陽のピラミッドの地盤の補強にセメントや石材を使うよう指示した結果、ピラミッドが地中からの水分を確保できずに乾燥化が進み、放っておけば粉々になる可能性もあるのだとか。

また、太陽のピラミッドは南に位置しており、それがメキシコの強い日光の影響を最も受ける場所にあるため、ピラミッドの乾燥化に拍車をかけていると言及しています。

研究者のひとり、アルトゥロ・メンチャカ・ロチャ氏は「明日にでも崩壊するというわけではないが、あと何十年かすれば、ピラミッドの土の乾燥化により、下部の支えがなくなり、そこから沈下する可能性がある」と語っています。

もちろん、常にピラミッドに水分が供給できる状態にすれば、沈下は免れるとのことなので、今後の対応に期待するしかありません。

【メキシコ】世界遺産「テオティワカンの太陽のピラミッド」が沈下の危機に!
太陽のピラミッドの頂上から月のピラミッドを望む © Miho Nagaya

いっぽう、太陽のピラミッドよりもひとまわり小さい月のピラミッドや、ケッツアルコアトルの神殿を含むテオティワカン内の他の遺跡には、乾燥の問題はないとされています。ただ現在、月のピラミッドの最上部には、遺跡保護のために登れなくなっていて、登れるのはピラミッドの中腹部くらいまでです。

そんなことから、沈下の問題は避けられたとしても、太陽のピラミッドの頂上まで登れなくなってしまうのも、時間の問題かもしれません。

エジプトのギザのピラミッドへの登頂が、遺跡保護のために禁止されているのですから、未だにテオティワカンの2つのピラミッドに登れること自体がスゴいことだと感じます。ぜひ機会を見つけて登っておきたいものです!

PROFILE

Miho Nagaya

長屋美保 ライター

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

SHARE

  • Facebook