円錐形の秀麗な山容に魅せられる「高千穂峰」
「高千穂峰」は、霧島連山の主峰で標高1,574mのコニーデ(円錐形)火山です。西に御鉢(おはち)、東に二つ石(ふたついし)の寄生火山をもちます。輝石安山岩やカンラン石からなり、裾野が広いのが特徴です。御鉢は1913年に大爆発を起こし、麓に御池、小池の火口湖を形成しました。ミヤマキリシマが群生し、麓には温泉が多いです。
また、霧島山信仰の御神体でもあり、南西部山麓に霧島神宮、東部山麓に霧島東神社、狭野神社があるほか、山頂には青銅製で長さ140cmの天の逆鉾が突き刺さっています。
神話から読み解く天孫降臨の地には2つの説がある
『古事記』によると、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は三種の神器を携えて、天岩戸神話で活躍した天児屋命(あめのこやまのみこと)、太玉命(ふとだまのみこと)、天鈿女命(あまのうずめのみこと)、石凝姥命(いしこりどめのみこと)、玉祖命(たまのみやのみこと)の5神とともに、「筑紫の日向の高千穂のくじふる嶽」に降臨したそうです。
高千穂峰は、この天孫降臨の霊地に見立てられました。そのため、いつからかは定かではありませんが、神が官を営んだしるしとされる「天の逆鉾」が突き立てられているのです。
しかし、『日本書紀』には「日向襲高千穂峰」と峰の一字があるものの、降臨の地は宮崎県の高千穂町説と、霧島の高千穂峰説に分かれています。
とはいえ、『古事記』の「朝日の直刺す国、夕日の日照る国なり」という描写は、日の出から日没まで、太陽の動きを見ることのできる高千穂峰を連想させますよね。
「高千穂峰」の見どころ3選
ここからは高千穂峰の見どころ3選をご紹介します。
高千穂峰の山頂に突き立てられた天の逆鉾
冬の凍てついた天の逆鉾
高千穂峰山頂の、逆さに突き立てられた青銅製の三つ叉の鉾(ほこ)は必見です。瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が降臨の際に突き立てたとされています。坂本龍馬をはじめ、江戸時代の文人たちが執筆した『霧島登山記録』にも登場。幕末に坂本竜馬が妻のおりょうと日本初のハネムーンで訪れたそうです。
高千穂峰の山頂からの景色
高千穂峰の山頂からは、御池や都城の町はもちろん、遠く噴煙を上げる桜島も望めます。山頂から眺める朝日は格別! 日向灘から太陽が昇る美しく神秘的な光景を目にすることができますよ。毎年元日には、多くの人々で賑わうそうです。
今も噴気が見られる御鉢の火口
約1,500年前から活動を始めた、高千穂峰の西側に位置する「御鉢」の火口も見逃せません。直径約500m、深さ200mの大きな火口からは、今も立ち上る噴気が見られることがあります。また、火口の縁には大きな岩が点在。これらは明治大正期の噴火で飛んできた火山弾なのだそうです。自然のパワーが感じられますね。
おすすめの登山コース3つ
宮崎県高原町から登るコースは、第5砂防ダム登山口から登る「天孫降臨コース」、霧島東神社から登る「二子石コース」の2つです。いずれのコースも四季折々の多彩な高山植物が見られます。6合目付近は「ミヤマキリシマツツジ」の名所。例年5月下旬~6月中旬になると、紫紅色や桃色の花々が山肌を鮮やかに彩ります。
また「高千穂河原ビジターセンター」から出発する「高千穂峰登山コース(所要時間:3時間)」もおすすめです。千穂河原から霧島神宮古宮址まで参道を歩いたあと、登山道に入って樹林を抜け、急なガレ場斜面を登り、御鉢の頂上で「馬の背」と呼ばれる御鉢の火口縁を左周りで進みます。
そして、脊門丘(せたお)という鞍部(あんぶ)に降りて、火山礫や軽石が積もる登山道を通って山頂へ向かうと「天の逆鉾」が見られます。
そのほかのコースについて詳しくはこちらをご覧ください。
体力や気分に合わせてコースを選択し、神が降臨したとされる地を巡りたいですね。
住所:宮崎県都城市御池町
電話:0995-57-3224(高千穂河原ビジターセンター)
交通アクセス:JR日豊本線「霧島神宮駅」からバスで約40分
公式HP:https://takachiho-visitorcenter.org/
[参考]
みやざき観光ナビ|宮崎県公式観光サイト
かごしまの旅|鹿児島県観光サイト
高千穂峰登山コース|環境省
高千穂河原ビジターセンター
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