マヨルカ島とは?
青い空、キラキラ光る海、ゆったりと流れる時間−ここはスペイン・バレアレス諸島に浮かぶマヨルカ島。地中海に囲まれたこの島は、その美しさから「ヨーロッパのハワイ」と呼ばれる人気のリゾート地です。
島の中心地パルマには、ゴシック様式の大聖堂や石畳の旧市街が広がり、街歩きも楽しい。一方で、少し郊外へ足を伸ばせば、透明度抜群の入り江や、切り立った崖に囲まれた隠れビーチ、のどかなオリーブ畑やレモンの木が続く田園風景が広がっています。海好きにも、山好きにも、街好きにも応えてくれるこの島には、ドイツやイギリスをはじめ、ヨーロッパ中からバカンス客が訪れます。
でも実は、日本ではまだ知名度はそれほど高くない穴場。観光地でありながらも、どこかのんびりとした空気が漂い、ふらりと気ままに旅したくなる、そんな懐の深さがマヨルカの魅力です。そして、この島を訪れたならぜひ体験してほしいのが、タイムスリップしたかのような“レトロな鉄道旅”。100年以上の歴史を持つ木製列車「ソリェル鉄道」が、あなたを特別な時間旅行へと連れていってくれます。
ソリェル鉄道とは?
スペイン・マヨルカ島にある「Ferrocarril de Sóller(ソリェル鉄道)」は、1912年に開業した島唯一の歴史的な私鉄で、現在も当時とほぼ変わらない木製車両で運行されています。
木製のボディと真鍮の装飾が特徴で、車内もクラシックな木張り。座席や窓枠もオリジナルに近い状態で保存されており、鉄道ファンのみならず、旅人の心をくすぐる美しい内装です。電気鉄道で、地中海のリゾートであるパルマ(Palma)と山あいの町ソリェル(Sóller)を結びます。
開業当初は、オレンジやレモンといった農産物を内陸から港へ運ぶために建設されましたが、現在はその趣きを活かし、観光列車として愛されています。
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乗車体験レポート パルマ駅から出発
路線・ルート
出発駅は、パルマ・ソリェル鉄道駅(Palma Estació del Ferrocarril)。パルマ旧市街の北側にある、味のある石造りの駅舎がスタート地点。人が群がっているのですぐにわかります。チケットを窓口で購入し、席を確保しましょう。
車体は当時の面影をそのまま残す木製のクラシックな車両で、外観も車内もアンティークそのもの。木のベンチシート、真鍮の金具、開閉式の大きな窓。カタカタとレールを鳴らして走る音さえ、旅の情緒を高めてくれます。
所在地 Carrer d’Eusebi Estada, 1, Nord, 07004 Palma, Illes Balears, スペイン
営業時間 8:00-20:00
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パルマ旧市街の北側にある小さな駅から発車すると、列車は街を抜け、しだいにオリーブ畑や果樹園が広がるのどかな田園地帯へ。Bunyola(ブニョーラ)駅を過ぎたあたりからは、山岳地帯に突入。急勾配を登り、大小12のトンネルを抜けながら、徐々に標高を上げていきます。
なかでも名物なのが、展望ポイントでの一時停車。列車は渓谷を見渡す絶景スポットでしばし停車し、乗客は列車を降りて写真撮影を楽しむことができます。
前述で登場した、途中の停車駅であるBunyola(ブニョーラ)も必見! 列車を降りて写真撮影を楽しむこともできます。途中下車の旅も魅力です。
所在地 Carrer de l’Estació, 2, 07110 Bunyola, Illes Balears, スペイン
乗車体験レポート ソリェル駅に到着
およそ1時間の列車旅の終点は、山あいの町ソリェル(Sóller)。石造りの駅舎が迎えてくれるノスタルジックな終点です。着いてすぐ外へ……! ではなく、ぜひ駅舎を探索しましょう。実は駅の一角にはピカソやジョアン・ミロの作品を展示した小さなギャラリーもあります。
所在地 Plaça d’Espanya, 6, 07100 Sóller, Illes Balears, スペイン
駅から町の中心広場「コンスティトゥシオン広場」までは徒歩数分。石造りのカフェやショップに囲まれた広場では、現役で走る木製トラム(路面電車)がゆっくりと通りすぎていきます。まるでジオラマの中に迷い込んだかのような光景。旅気分がより高まります。
鉄道旅はまだまだ続き、ここからは木製のトラムに乗車! ヨーロッパの皆さんが満喫する“ハワイ”のようなリゾート地を目指します。
07100 Sóller, Balearic Islands, スペイン
https://trendesoller.com/eng/timetable
乗車体験レポート ソリェル駅からポルト・デ・ソリェルへ出発
ソリェル鉄道とはまた違ったレトロさを持つ木製トラムに乗って、海辺のリゾート「ポルト・デ・ソリェル(Port de Sóller)へと向かうのが王道コース。狭い街中をゆっくりと走る電車はスリリング! カーブを描きながら街を抜け、約20分ほどでやがて海が見えてきます。
ここがポルト・デ・ソリェルです。筆者のおすすめは進行方向、左側の座席を確保すること。到着するとき、海を臨むことができます。
Carrer de la Marina, 07108 Port de Sóller, Illes Balears, スペイン
ヨーロッパのハワイ ポルト・デ・ソリェルの街歩き
ポルト・デ・ソリェルは、湾になった穏やかな入り江と、そこを囲むように並ぶ白い建物、ヨットが揺れるマリーナが美しい港町。テラス席のあるレストランで、シーフードランチやサングリアを楽しみながら、ゆったりと過ごすのがこの地での正解です。
新鮮なエビやムール貝をふんだんに使ったマヨルカ風パエリアや、グリルしたタコと地元野菜のサラダが定番。白ワインやサングリアとの相性も抜群です。
湾に沿って整備された海沿いのプロムナードは、散歩するだけでも心地よく、写真スポットも満載。カップルでのんびり歩く人、子どもと浜辺で遊ぶ家族、ベンチでアイスクリームを楽しむ旅行者……穏やかであたたかな空気が流れています。
ビーチもあり、夏は水着姿で日光浴や海水浴を楽しむ人の姿も多く見られます。観光地ながらもどこかローカルな雰囲気が残っていて、静かにリラックスした時間を味わえるのがこの町の魅力。港沿いには小さなお土産屋さんや雑貨店もあり、オレンジモチーフの石鹸や陶器、手作りのかごバッグなど、マヨルカらしい品が見つかります。
所在地 Passeig Es Traves, 3, 07100 Port de Sóller, Illes Balears, スペイン
時間に余裕があれば、サンセットの時間まで滞在してみてください。山の稜線に太陽が沈んでいく光景は、どこか神秘的で、旅の締めくくりにふさわしい瞬間になるはずです。帰りの終電だけあらかじめ検索しておきましょう。
どこか懐かしくて、でも非日常を味わえるソリェル鉄道。木のぬくもり、窓から入る風、トンネルを抜けたときに広がるビーチ。それは”ハワイ”とはまた異なる体験です。ひと味違うバカンスを過ごしたい方へおすすめの場所。参考になれば幸いです。