通常非公開の襖絵も展示「〈没後50年記念〉特別企画展 モダンなときめき―智積院襖絵の魅力―」開催|京都府立堂本印象美術館

Posted by: 下村祥子

掲載日: Dec 14th, 2025

金閣寺〜龍安寺〜仁和寺と三つの世界遺産を結ぶ「きぬかけの路」沿いにある、日本画家・堂本印象(どうもといんしょう)が自ら外観から内装まですべてデザインした「京都府立堂本印象美術館」。2025年8月には国の登録有形文化財に登録され、注目が集まっています! 今回、堂本印象の没後50年を記念して「〈没後50年記念〉特別企画展モダンなときめき―智積院襖絵の魅力―」を2026年1月20日(火)〜3月22日(日)に開催。新感覚の襖絵(ふすまえ)として高い人気を誇る「智積院(ちしゃくいん)襖絵」をはじめ、ときめく作品の数々が大公開されるこの機会をお見逃しなく!

世間の批判も覚悟!新たな表現を追求した印象の特別企画展

堂本印象(1891-1975)は、生涯に渡り全国13カ所の社寺にて、襖絵の制作を行っています。智積院より依頼されたのは昭和33(1958)年、境内に賓客を迎えるための宸殿(しんでん)が再建され、そこに飾る襖絵でした。

智積院に長谷川等伯父子による国宝《楓図》《桜図》がありますが、宗教活動は時勢と無縁であってはならないという寺の意に応え、印象は「百年ぐらいは悪口を言われるだろう」という覚悟で、思い切りモダンな構想で描くことを決めました。

現代女性を題材にした新感覚の襖絵として、今なお高い人気を誇る《婦女喫茶図》をはじめとする智積院の襖絵。世間の批判をものともせず、新たな表現を追求し続けた印象の創作姿勢が堪能できる特別企画展です。

また、本展にあわせて、茶の湯を愛した印象自らが手掛けた茶道具なども展示。新たな収蔵品も約20点公開されます。

京にモダンあり!!革新的な表現で話題を呼んだ智積院襖絵

昭和33年、堂本印象が依頼を受けて制作した智積院襖絵は、“野点(のだて・屋外での喫茶)をする現代女性”という寺院の襖絵としては型破りなモチーフを描いた《婦女喫茶図》をはじめ、モダンな意匠によって当時から注目されました。新しい表現を目指そうと果敢に取り組み続けた、印象による襖絵18面(通常非公開)が特別展示されます。

現代女性の野点を描いた大胆な襖絵
《婦女喫茶図》昭和33年(1958) 智積院蔵

長谷川等伯父子筆の国宝《桜楓図》に対抗!
《松桜柳図》昭和33年(1958) 智積院蔵

茶の湯を愛した印象による茶道具にも注目

数寄者(すきしゃ)であった父・伍兵衛による影響で、自邸に茶室をしつらえるほど茶の湯に親しんでいた印象。「精神修養に資する」として、自身の主宰する画塾・東丘社(とうきゅうしゃ)でも茶会を催し、芸術活動に重要な役割を果たすと考えていたようです。

また、印象は茶道具を自らで制作もしていました。本展では、智積院《婦女喫茶図》にちなんで、新収蔵品の茶杓《アビ二オン》や、茶碗、釜など、印象ならではの独創的なデザインの茶道具を紹介します。

茶碗《雨もまたよし》昭和39(1964)年

茶入《豊穣》、茶杓《アビニオン》昭和38(1963)年

堂本印象美術館の職員が選ぶ「モダンなときめき」が大集合

印象は伝統的な日本画にとらわれない、カラフルな抽象画や現代風俗を描いた作品などさまざまな「モダン」な作品を残しています。そのなかでも堂本印象美術館の職員が選んだ、思わず「ときめく」作品を展示します。「モダンなときめき」があふれる、珠玉の作品を楽しんでみてください。

《モンマルトルのバー》昭和27(1952)年

《聖歌》昭和44(1969)年

※すべて堂本印象作/表記のない作品はすべて京都府立堂本印象美術館蔵

参加費無料!ギャラリートーク開催

参加費と申し込み不要のギャラリートークも日時限定で開催されます。

ギャラリートーク
日時:2026年2月7日(土)、3月7日(土)いずれも14:00より
会場:2階展示室
※参加費・申込不要、要観覧券
〈没後50年記念〉特別企画展 モダンなときめき―智積院襖絵の魅力―
50th Anniversary of his death Special exhibition
– The Allure of Fusuma-e – Mesmerizing modernity arose in sliding doors of Chishakuin Temple
会期:2026年1月20日(火)~3月22日(日)
会場:京都府立堂本印象美術館(京都府京都市北区平野上柳町26-3)
アクセス:京都市バス・JRバス「立命館大学前」下車すぐ、京都市バス・JRバス「わら天神前」下車徒歩約10分
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は翌平日休館)
入場料金:800円(640円)、高大生500円(400円)、65歳以上400円(320円)(要公的証明書)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下および障害者手帳をご提示の方(介護者1名を含む)は無料。
主催:京都府、京都府立堂本印象美術館、京都新聞
特別協力:総本山智積院
京都府立堂本印象美術館 公式ホームページ:https://insho-domoto.com/
Instagram

※予定が変更される場合がありますので、来館前にホームページなどで最新情報をご確認ください。

堂本印象「いの字絵本」の復刊・復刻を記念した館外イベントも

大正元(1912)年に20歳の堂本印象が出版した、挿絵付き短歌詩集「いの字絵本」の復刊・復刻を記念して、2026年2月1日(日)にシンポジウムが開催されます。

シンポジウム【堂本印象「いの字絵本 恋の都大阪の巻」とは何か―青年画家の心をとらえた大阪のまちと女性―】
登壇:橋爪 節也(大阪大学名誉教授)
   高井 多佳子(高島屋史料館 研究員)
   杉本 喜代一(杉本梁江堂(『いの字絵本』発行元))
   正木 利和(美術ジャーナリスト(元産経新聞文化部編集委員))
   松尾 敦子(京都府立堂本印象美術館 主任学芸員)
進行:林屋 祐子(京都新聞社 文化部)
日時:2026年2月1日(日)13:30~15:30(開場 13:00~)
場所:住まい情報センタービル 3階ホール(大阪市北区天神橋6丁目4-20(大阪くらしの今昔館 同ビル内))
定員:150名[無料/要申込]※2025年12月12日(金)より受付開始(予定)
主催:堂本印象と大阪研究会、京都府立堂本印象美術館、京都新聞
共催:大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)
助成:公益財団法人 芳泉文化財団
※申し込みなど詳細は京都府立堂本印象美術館ホームページにて発表

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PROFILE

下村祥子

SACHIKO SHIMOMURA ライター

旅行ガイドブックの編集者を経て、洋楽&邦楽のライブレポやインタビューを中心に手がけるフリーライターに。再び旅情報のメディアに戻ってきました。趣味は、都道府県のアンテナショップ巡り。川崎生まれ川崎育ちのフロンターレサポ。

旅行ガイドブックの編集者を経て、洋楽&邦楽のライブレポやインタビューを中心に手がけるフリーライターに。再び旅情報のメディアに戻ってきました。趣味は、都道府県のアンテナショップ巡り。川崎生まれ川崎育ちのフロンターレサポ。

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