
トマトが50円でも、物価は上がっている
日本人の海外旅行先として、トルコの人気が高まっています。2025年の日本人訪問者数は16万1,103人。前年比19.6%増、コロナ禍前の2019年比では55.9%増(約1.5倍)でした。
行き先として考えたとき、気になるのはお金の話です。
コナック地区のバザール・ケメラルトゥ|2026年5月
トルコの物価は、いま上がり続けています。2026年5月の消費者物価指数は前年比で32.6%上昇、食品・非アルコール飲料にいたっては、34.9%も上昇しました。それでもスーパーの野菜は、日本の半額以下で並んでいます。
野菜が50円で買える国で、なぜ生活費が1カ月に33万円かかるのか。内訳を見ると、理由ははっきりしていました。
家賃23万円。イズミル暮らしの伏兵は住居費だった
滞在した部屋の寝室。ベランダの扉を開けると、向かいの建物が見える|2026年6月
今回の滞在で借りたのは、イズミル中心部のアルサンジャック地区にある2LDK(約12〜15畳のリビング+ベッドルーム2部屋)。
1カ月の家賃は、約23万円でした。
Airbnbで手配したため、光熱費・水道代・Wi-Fi代はすべて含まれており、追加の固定費はかかりません。
ちなみに同じアルサンジャックでも、宿泊先によって金額はかなり変わります。この地区のホテルは1泊70〜80ドル台からで、1カ月なら今回の家賃を上回ります。逆にゲストハウスの個室なら、1泊20ドル台から見つかります。
1カ月で23万円。当初は「トルコも高くなった」と思いました。ところがほかの支出も集計してみると、別の側面が見えてきました。
外食は高騰も「自炊」は安い。1日3,000円で叶う豊かな食卓
スーパーで買った果物。桃は1個約46円|2026年5月
家賃に次いで支出の大きな割合を占めるのが、食費です。23万円に驚かされた一方で、食費は拍子抜けするほど安価に収まりました。
カギとなったのは「自炊」です。キッチンがあるかどうかで、食費は大きく変わります。イズミル滞在の前にいたイスタンブールでは、部屋のキッチンが使えず外食が続いた結果、1日あたりの食費はイズミルより1,300円ほど高くなりました。
地元のスーパーに行けば、冒頭のトマトが1個約50円、ナス1本が約46円。新鮮な野菜が日本の半額以下で手に入ります。スパゲッティ500gが約63円、大容量1Lのヨーグルトが約340円と、日常の基本食材も圧倒的な安さです。
- スーパーの目安価格(2026年5月)
- トマト(大玉1個)・・・約50円
- ナス(1本・約300g)・・・約46円
- きゅうり(1本・約130g)・・・約23円
- 桃(1個・約130g)・・・約46円
- ズッキーニ(1本・約145g)・・・約56円
- ヨーグルト(1L)・・・約340円
- 白チーズ(1kg)・・・約800円
- スパゲッティ(プライベートブランド・500g)・・・約63円
- パスタソース(Barilla等の輸入ブランド)・・・約570円
- オリーブオイル(1L)・・・約1,000円
自炊ライフが充実したおかげで、2人分の自炊費は1カ月でおよそ48,000円でした。
一方で、外食はインフレの影響を受けています。いまのトルコでは、ファストフードですら高級ランチになりかねません。
2人で食事をすると、ローカルな食堂でも2,000円台。リーズナブルと評される店でも、5,000円を超えることは普通です。3日に1回ほどは外食を楽しみ(そこらじゅうにある多様なケバブ、エーゲ海名物のパン・ボヨズなど)、自炊と外食を合わせた1カ月の食費の総額は、約91,500円。
2人で1日あたり、約3,000円の計算です。「外食は高騰気味だが、自炊を組み合わせれば食費はかなり抑えられる」のが、現在のトルコの実情です。
日帰り旅も気軽!地方都市への交通費・観光費は手頃
ベルガマのアクロポリス。ケーブルカーで丘の上へ|2026年6月
イズミルからは、日帰りで行ける街がいくつかあります。今回訪れたのは、内陸の街マニサと、世界遺産のあるベルガマでした。
マニサへは、郊外鉄道とドルムシュ(乗合バス)を乗り継いで往復1,400円ほど。博物館の入場料を合わせても、約2,100円というお手軽さでした。
ベルガマのペルガモン遺跡へは、イズミルからの交通費+遺跡へのケーブルカー+遺跡入場料で約7,000円。観光地価格なので決して安くはありませんが、遺跡のスケールを考えれば十分に納得できる金額でした。日本で東京から郊外へ日帰り旅をする感覚と比べても、移動にかかるコストはかなりお手頃です。
1カ月33万円の内訳と、そこから見えたトルコのリアル
最後に、今回イズミルでかかった1カ月の生活費(2人分)をまとめます。
- 1カ月の生活費内訳(2人分・2026年5月)
- 住居費(光熱費・Wi-Fi込み)・・・約230,000円(約69%)
- 食費(自炊+外食)・・・約91,500円(約28%)
- 郊外日帰り旅行(2回)・・・約9,100円(約3%)
- 市内交通費・・・約950円(約0.3%)
- 合計・・・約331,500円
ご覧の通り、住居費が全体の約7割を占める結果となりました。
しかも住居費は、人数で割れません。2人で来ても1人で来ても、部屋をひとつ借りる限り、かかる額はそれほど変わらないからです。1人で来るなら、この割合はさらに大きくなります。
一方で、食べるものと動くことに関しては、物価が上がり続けている国でも、いまだ日本より安く済みます。
2LDKの部屋で自炊をしながら、日帰りで世界遺産まで行ける1カ月が、33万円。トマトを1個ずつ選び、週末には丘の上の遺跡から街を見下ろす暮らしです。
物価が上がったと言われるトルコですが、暮らすように滞在するなら、まだ充分に現実的な金額です。数日の観光ではなく1カ月の滞在という選び方も、候補に入れてみてはいかがでしょうか。
※現地通貨から日本円への換算は、2026年5月時点のレートによります。
※宿泊料金は2026年8月時点の掲載価格です。時期やレートにより変動しますので、最新情報をご確認ください。
©Mai Mizokawa
- 参考元
- JETROビジネス短信「トルコのインフレ率、32.6%に加速=5月」
- トルコ共和国大使館 文化観光局「トルコ、2025年観光実績を発表 訪問者数6,400万人、観光収入652億ドルで過去最高を記録」
- KAYAK・Expedia(イズミルおよびアルサンジャックの宿泊料金・2026年8月時点の掲載価格)
