中東湾岸諸国のなかでも古き良きアラブ情緒あふれるオマーン。首都マスカットには、訪れる人々を惹きつけてやまない美しいモスクがあります。
オマーンは、カーブース・ビン=サイード国王が全統治権を持つ絶対君主制の国。インフラ整備や公共施設への設置に潤沢なオイルマネーが国民に還元され、国王が地方巡幸で各部族からの声に耳を傾けるなど、絶対君主制ながらも中東では情勢が安定している国の一つです。
グランドモスク(正式名称:スルタン・カーブス・グランドモスク)は、国王の命で1995年に着工。6年の歳月と膨大な費用を費やして2001年に完成しました。
30万トンものインド産の砂岩を使い、現代建築と伝統的なイスラム建築が調和したグランドモスク。床は全て真っ白な美しい大理石で造られ、厳かな雰囲気に包まれます。
煌めく輝きと、気品あふれる礼拝所
メインの礼拝所でもある中央ドーム。眩いばかりに輝く巨大なシャンデリアはスワロフスキー社製。高さ14m×幅8m、重さは8トンもあるのだそう。
贅を尽くしながらもどこか気品漂うシャンデリア。思わずため息がでるほどの華々しい美しさ。
もう一つの見所は床に敷き詰められた42633平方mの巨大なペルシャ絨毯。これはなんと70m×60mの一枚の絨毯で、600名のイランの女性織物職人の手によって4年かけて作られたようです。
静寂と優美が織りなす空間
聖地メッカの方向を示すミフラーブ。青を基調とした装飾はイランのイスファハーンのモスクを思わせます。
イスラム文様の彩色タイルが飾られた天井や回廊の壁。華麗な装飾は、時間を忘れてずっと眺めていたいほど。
心が甘くなりそうな、夕暮れの空と
太陽がゆっくりと沈むとき、神秘的な表情を魅せるグランドモスク。厳かな雰囲気も夕日を浴びると優しい空気に包まれます。
礼拝の時刻を告げるアザーンが響くと、陶酔しそうなほど甘美で異国情緒あふれる情景に。
オマーンで唯一、イスラム教徒以外でも立ち入りが許される貴重なグランドモスク。
中東を旅する機会があれば、人々の心を魅了する華々しいこの場所を訪れてみてはいかがでしょうか?
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