大自然や街並における「色彩」が持つ力は、計算し尽くされたわけではないからこそ、見る者に対して神々しい印象を与えます。地球上にある極彩色の景色たち。写真を眺めているだけでも、その世界へ引きずり込まれそうな感覚になるほど強いパワーを持っています。
張掖丹霞地貌/中国
©活動通鑑
甘粛省・張掖市の中心地から郊外へ50キロメートル程の場所にある、別名「七彩山」とも呼ばれる大地「張掖丹霞地貌」。展望台から見渡す限りに広がる山々には、赤、オレンジ、ピンク、緑、白と、いくつもの色が。その原因は地層に含まれた鉱物。夕暮れ時は色合いや濃淡が刻々と変化し、更に妖艶な美しさとなります。
フライ・ガイザー/アメリカ
アメリカ・ネバダ州にあるブラックロック砂漠の一画に存在する噴射塔「Fly Geyser(フライ・ガイザー)」。1916年、井戸を掘り起こしていたところ、偶然この地熱水源に当たったそうです。絶えず噴射される温水には多量のミネラルが含まれており、積もり積もった結果、現在のような形状に。まるで何かメッセージが込められたモニュメントのようです。
オーロラベルト/カナダ
遥か昔から神話や伝説が語り継がれているほど、神秘性においては群を抜く現象であるオーロラ。頻繁に出現するエリアは「オーロラベルト」と呼ばれ、カナダはその真下に位置するため、イエローナイフ、ホワイトホース、フォートマクマレーなど、多くの観賞地があります。色や形状は状況によって様々。まさに一生に一度しか出会うことができない景色です。
カーニョ・クリスタレス/コロンビア
南米コロンビアにあり、世界で最も美しい川、天国へ流れる川とも言われる「Cano cristales(カーニョ・クリスタレス)」。雨期と乾期の間のほんのわずかな期間だけ、藻や苔が鮮やかに変色し、川面を彩ります。写真はコロンビア観光促進基金ウェブサイト「FONTUR」にて採用されたポスター。まるで絵の具のパレットのようですね。
グランド・プラズマティック・スプリング/アメリカ
世界最古の国立公園イエローストーン内には、鮮やかな色の温泉がいくつも湧出していますが、その中でもナンバー1の色彩を誇るのが「Grand Prismatic Spring(グランド・プラズマティック・スプリング)」。赤、黄、青、緑、オレンジ…といった発色は好熱性バクテリアと鉱物によるもの。周囲には観光遊歩道も整備されているので間近に臨むことができます。
チンクエ・テッレ/イタリア
イタリアのリグーリア海岸沿いにある5つの村の総称「Cinque Terre(チンクエ・テッレ)」。11世紀頃に要塞都市として生まれ、1000年もの長い歴史を持つ村々では、断崖絶壁にカラフルな家が建ち並んでいます。5つの村はそれぞれに個性を持ち、現在ではイタリア北部有数の観光地として人気に。海の青さが一段と街並の美しさを際立たせていますね。
トスカーナの丘/イタリア
イタリア・フィレンツェにあり、数多くの映画でロケ地にも使用された風光明媚な「トスカーナの丘」。まるで童話に出てくるような、緑いっぱいのなだらかな丘陵地帯はヨーロッパで一番美しい平野との呼び声も高いそうです。写真はフォトグラファーAdnan Bubalo氏の作品。もともとの風景に太陽の光と靄が加わり、やわらかく幻想的な空間を生み出しています。
季節や時間帯、天候など様々な条件が揃ってこそ出会えるカラフルな世界。瞬間的な美しさだからこそ、人々の心により深く刻み込まれるのだと思います。