危険度MAX!自分の命は自分で守る
「ジャングルマラソン」という、その名のとおりジャングルの中を進む型破りなレースがあります。スタート10分で蜂の大群に襲われ、脱落者が続出するなんてこともあるくらい、予測不可能なことのオンパレード!
2014年10月にこのマラソンに出場し、日本人の最高記録を打ち出した若岡拓也さんにお話をうかがいました。
手前で旗を持っているのが、ゴール時の若岡さん。満面の笑みで写真に写っていますが、レース中は過酷なことの連続だったといいます。
舞台はブラジル・パラー州のタパジョス森林国立公園。7日間の275キロ部門、4日間の130キロ部門、フルマラソンを走る1日の42キロ部門の3種目があり、若岡さんが完走したのは275キロ部門です。
275キロ部門の出場者は51人、うち完走できたのは25人。水以外は支給されないので、1週間分の食料をかついでジャングルを進みます。
若岡さんは、スタート直前にスタッフから、コース内にいるかもしれない危険な生き物とその対策を、ざっくりとこう伝えられたそうです。
→毒を持っているので刺されたら危険だが、小さいし動きも遅いから、手で払えば大丈夫。
■毒ヘビ 危険度★★
→出会い頭に注意。
■ワニ 危険度★★★
→小型のワニが生息しているから注意。
■ジャガー 危険度★★★★
→自分より大きいものには襲ってこないので、複数名でいる場合はよりそって体を大きく見せること。1人でいる場合はしゃがまずに立ち上がること。
なお、レース前日もジャガーが出没した目撃証言があったとのこと。若岡さんはこれを聞いて「自分の身は自分で守らないといけない」と悟ったそうです。
レース中に若岡さんが遭遇したタランチュラ。
驚くべきジャングルマラソンのコース
7日間のコースにはさまざまなスポットがあります。
崖を登ることもあれば、
ワニが生息しているという川に浸かって移動することも。
原住民の村も通ります。
コースの目印は、木に結んである赤や青、黄色などのテープ。しかし、青色のテープは草木と同化して見つけにくいうえに、ほどけて落ちていることもあり、出場者たちはときどき迷いながらも自力で宿泊地を目指したといいます。
宿泊場。ジャングルの一角に、シンプルな木の骨組みがあります。出場者たちはここに持参したハンモックを設置して、寝床にします。夜な夜な動物の声があたりに響き渡り、すぐ側では虫の動く音・・・。ちなみに、夜の原生林は危険なので走ってはいけません。
見たことのないジャングルの生き物
ジャングルでは見たことのない植物に出会います。
絶対に木登りできない木。
巨大な葉っぱ。
蟻塚も巨大。
さすがジャングル、蟻も強そう。
レース中は巨大なノミが衣類や体に付着するため、こうしてスタッフに取ってもらいます。
若岡さんが履いていた靴。足場の悪さを物語っています。
現地のスタッフ。若岡さんの靴はあんなにボロボロになっていたのに、彼らは裸足・・・。
若岡さんがジャングルを目指した理由
そもそも、若岡さんがこのジャングルマラソンに出場した理由は、「見たことのないものを見たかったから」。たまたまインターネットでジャングルマラソンのサイトを見つけ、好奇心をかきたてられたのだそう。
「レースは過酷でしたが、生まれて初めて目にするものの連続で、貴重な体験ができました。できることなら、もっといたかったくらいです」と若岡さん。
ジャングルマラソンは、毎年開催されているので、誰にも負けない新鮮な体験を求める人は、挑戦する価値あり。ただし、自分の身は自分で守りましょう!
[All Photo by Takuya Wakaoka All right reserved]