極東でカムチャッカ半島より南には、氷河が現存していないと考えられていました。しかし、その氷河が北緯36度の富山県にもあるとご存じですか?
現存する氷河を見ようと思えば、普通はカムチャッカ半島やヒマラヤ、パタゴニアなどに足を運ばなければいけません。しかし、本州の日本海側、富山県東部に位置する立山連峰の東側斜面にも氷河を見られるスポットがあるのです。
極東最南端の氷河は、一般的な登山ルートから眺望できる
(C)富山県観光連盟
富山県の東部には、日本三大霊山の立山がありますが、その山頂の雄山(3003m)から、日本に現存する氷河の1つを眼下の東側斜面に眺望できます。
十分な登山道具をそろえて、それなりの体を作り込まないと登りきれない山ですが、地元の小学生も頑張って到達できるくらいの場所です。
雄山の山頂から眼下に見える御前沢雪渓(ごぜんざわせっけい)を含めた周辺の3つの雪渓(夏にも溶けない雪の残り)が、立山カルデラ砂防博物館の学芸員の研究により氷河であると確認されました。
まさに、日本に住む日本人がパスポートなしで見られる唯一の氷河です。
そもそも氷河とは?
そもそも氷河の国際的な定義は、「陸上を移動する雪と氷の大きな塊」になります。(1)陸上(2)移動する(3)雪と氷の“大きな”塊という3条件を全て満たす存在が、立山連峰の東側斜面に3カ所確認されました。
“大きな”塊とは、どの程度かというと、最も規模の大きな三ノ窓雪渓は長さが1200m、幅が200m、氷の厚さが40m以上あるそう。冬は氷の上に雪が20mほど積もるので、そのスケールの大きさが分かると思います。
残念ながらどの雪渓も厳しい地形にあり、氷河の上の歩行は極めて危険なので、直接足を踏み入れられませんが、御前沢雪渓(ごぜんざわせっけい)であれば比較的優しい登山ルートの終着点(雄山頂上)から見下ろせます。
登山ルートの途中にも、立山黒部アルペンルートの中継基地である室堂(むろどう)、弥陀ヶ原(みだがはら)などの絶景スポットがめじろ押しなので、氷河を含めて山岳観光を満喫してください。
以上、立山連峰の東側斜面に確認された氷河を紹介しましたが、いかがでしたか?
1人で登山をする自信がない人には、立山カルデラ砂防博物館の学芸員と山岳ガイドが案内してくれるフィールドウォッチングもあります。ぜひとも検討してみてください。
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