一口にトンネルといっても、広い広いこの世界には息を呑むほど美しい「トンネル」がいくつも存在します。今回は一生に一度、いつか通り抜けてみたいワクワクするトンネル、どこか神秘的で時には畏怖の念を抱くほど美しい世界のトンネルをお伝えします。
車で走り抜ける青の洞窟「レーダル・トンネル」(ノルウェー)
幻想的な青の光に包まれたノルウェーの「レーダル・トンネル」。全長24.5kmを誇るこの長いトンネルを抜けるには、車でも20分近くかかります。そのためドライバーの集中力を保ち、閉塞感から心を解放するために、トンネルの各所に青の空間を設けたのだとか。この幻想的なトンネルを走り抜けてみたいと、わざわざノルウェーを訪れる人もいるそうですよ。
太古の地球が生み出した驚異の空間「ラバチューブ」(オーストラリア)
今から約19万年も遥か昔、オーストラリアで私たちの想像を絶する大規模な火山噴火が起きました。“ラバチューブ”とは“溶岩のトンネル”のことで、噴火時に流れ出た溶岩から自然に作り出される洞窟です。アンダラ火山国立公園には数々のラバチューブが点在し、地球上最長とされる全長約160kmに及ぶものも存在します。ぽっかりと口を開けた岩の奥深くに人間はもちろん、音や時間さえ吸い込んでしまいそうな迫力漂うラバチューブ。太古の地球の記憶、大自然のパワーを感じることができるはずです。
世界一ロマンチックな「愛のトンネル」(ウクライナ)
「世界一ロマンチックなトンネル」と噂される、ウクライナの「愛のトンネル」。まっすぐと延びる線路の上を、緑の木々と木漏れ日が彩る夢幻的な空間。トンネルの行き着く先は、おとぎ話の世界でしょうか。このトンネルを愛し合うカップルが手をつなぎながらくぐると願いが叶う、恋人がいない人が訪れると素敵な相手が見つかるという噂もあり、訪れる人が後を絶ちません。
ユングフラウヨッホの「氷のトンネル」(スイス)
標高3454m、ヨーロッパ最高地点に位置し「トップ・オブ・ヨーロッパ Top of Europe」とも称されるユングフラウヨッホ駅。1年中雪と氷に覆われたこの駅は、氷河をくり抜いた冷たく美しい氷のトンネルが存在します。キラキラと輝く冷たい道が私たちを誘う先は、様々な氷像が並ぶ「氷の宮殿」。思わず寒さを忘れて佇んでしまいたくなる美しさですね。
魔女に出逢える!?「ザ・ダークヘッジ」(北アイルランド)
北アイルランド、アントリム州には「魔女のトンネル」と噂される並木道が存在します。「ダーク・ヘッジズ」と呼ばれるこの道は、くねくねと曲がる大きな木が空を覆われ、幻想的とも不気味とも言える不思議な風景が広がっています。まるで木々の間から魔女が出てきそうな雰囲気。通り抜ける際は、魔法の世界に迷い込んでしまわないように気をつけてくださいね。
海底散歩を楽しもう「プレデター・ラグーン」(バハマ)
カリブ海に浮かぶ楽園、バハマ。ここに伝説の古代都市「アトランティス」をモデルにして造られた巨大リゾートホテル、アトランティスが存在します。ホテルでもあり、カリブ最大のウォーターパークでもあるホテル・アトランティス。数あるアトラクションの中で特に人々の注目を集めているのが、思わず冒険心を掻き立てられる海底トンネル「プレデター・ラグーン」です。トンネル内からは、様々な種類のサメや魚が悠々と頭上を泳いでゆくのを間近に見ることができます。迫力満点の海底散歩を楽しみたい方はぜひ!
通り抜けた先は秘密の花園「河内藤園」(日本)
幻想的な空間が広がるトンネルは、ここ日本にも存在します。福岡県北九州市にある「河内藤園」。海外でも「実在する世界の美しい場所10」として絶賛され、藤が開花するシーズンである5月になると、その儚く幽玄な姿をひと目見ようとたくさんの人が訪れます。
まるで別世界への入り口「伏見稲荷」(日本)
京都市伏見区に鎮座する伏見稲荷神社。朱色の鳥居が無数に立ち並ぶ厳かなその光景に、誰しもが思わず畏怖の念を抱かされることでしょう。千本を越える鳥居が誘う先は神が鎮まる聖域。思わず魂まで震えるような美しさですね。
通り抜けた先は未来!?「外灘観光隧道」(中国)
通り抜けた先は未来? それとも遥か彼方の惑星? そんなSFの世界に誘われるかのような気分にさせてくれるのが、上海の「外灘観光隧道」。全長646.7mの海底トンネル内部は無数の電飾で彩られています。
名もなき氷のトンネル(アルゼンチン)
最後にご紹介したいのはアルゼンチン、パタゴニアの名もなき氷のトンネル。氷河にぽっかりと空いた冷たく青いトンネルは、まるで氷の別世界への入り口かのよう。複雑な青色に輝くトンネルは、宝石のような美しさですね。
「トンネルを抜けるとそこは別世界だった・・・」という言葉をよく耳にしますが、世界にはそれ自体が異世界のようなトンネルも存在するのですね。
[Photo by Shutterstock.com ]
小坂井 真美 ライター
クロアチアの首都ザグレブ在住。現地での色々な仕事の傍ら、フリーライターとしてクロアチアを中心とした南東欧諸国について執筆。趣味は街歩き、食べ歩き、寺歩き、そぞろ歩き。仲間、明るい太陽とおいしいごはんがあれば幸せ。人生は旅。たくさんのモノ・人・土地と出逢いをエネルギーに、日々心の赴くままに邁進中。
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