インドネシア・ジャワ島中部のケドゥ盆地に位置する世界遺産、ボロブドゥール遺跡。シャイレーンドラ王朝によって建てられた世界最大級の仏教寺院で、「ボロブドゥール寺院遺跡群」の一部としてユネスコの世界遺産に登録されています。
千年の眠りから目覚めた仏教遺跡
ジャワ島中部の古都ジョグジャカルダから車で約3時間ほどの距離にある、ボロブドゥール遺跡。8世紀から9世紀にかけてこの地方を支配したシャイレーンドラ王朝によって造られました。しかしメラピ火山の大噴火によって火山灰と密林に埋もれ、1814年にイギリス人のラッフルズ(当時のジャワ副総監)に発見されるまで、千年の眠りに入ることになります。
自然の丘に盛り土をして建てられたボロブドゥール寺院は、総面積約1.5万平方mという巨大な遺跡。9層の段状ピラミッド型をしており、1番下に約120m四方の基壇、その上に5層の方形壇、そのさらに上にある3層の円形壇から構成されています。円形壇には釣鐘状のストゥーパが72基並んでいて、1体ずつ仏像が納められています。
目を奪われる、精巧で優美なレリーフ
総延長5kmにも及ぶ回廊の壁には、1460面にわたって精巧なレリーフが彫りこまれています。これらのレリーフは釈迦の人生や仏教の話を表現していると考えられており、神秘的な空気に満たされています。インドのグプタ美術の影響を受けたと言われている洗練された彫刻は、圧倒されるほどの優雅さ。
神秘のベールに包まれる、謎多き世界遺産
頂上から眺める遺跡を囲む山々や深い樹海。遥か昔にこのような壮大な建造物をどのようにして造り上げたのか、思いを馳せたくなりそうな風景です。
ボロブドゥール遺跡の夜明けは感動の絶景としても知られています。うっすらと霧に包まれた、遺跡のレリーフや仏像が朝陽に染まって行く姿は別世界のような美しさ。
未だに何のために建てられたか謎に包まれたままの、千年の眠りから覚めたボロブドゥール遺跡。この謎のベールも訪れる人々の心を惹き付けているのかもしれません。
インドネシアを旅する機会があれば、この神秘的な世界観を体感できる仏教遺跡を訪れてみてはいかがでしょうか?
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