2016年1月、リサーチ会社のGfKが、日本を含む世界22か国の15歳以上2万7千人に対して行った「身だしなみにかける時間」アンケートの結果を発表しました。
とても興味深い結果ですので、「身だしなみに時間をかける国」ベスト3と「身だしなみにあまり時間をかけない国」ワースト3をご紹介したいと思います。
第二位:アルゼンチン
二位に輝いたアルゼンチン人が身だしなみにかける時間は、一週間あたりの平均で5.3時間(女性5.9時間、男性4.6時間)。
アルゼンチンには欧州からの移民が多く、どこかヨーロッパを思わせる国。そのせいか「南米のパリ」という異名をもっています。東京の表参道にも出店している「Juana de Arco」や、タンゴダンサーがプロデュースする艶やかなシューズ「Comme il Faut」など、先進気鋭のファッションブランドはアルゼンチン発であることが多いそうです。とても美意識が高いことが伺えますね。
そして言わずと知れた「アルゼンチン・タンゴ」の本家でもあります。あんな風に男女が密着する情熱的な踊りですから、男女ともに身だしなみに気を遣うのは当然かもしれません。実は筆者の知人に世界一周旅行にでた女性がいるのですが、その方は「アルゼンチンの男性が一番素敵だった」と述べていました。個人の感想ではありますが、そういう「格好良さ」の背景には、時間をかけた身だしなみがあるのですね。
第二位:アメリカ
ハリウッドのショービジネスを筆頭とした、世界の流行発信国であるアメリカが、アルゼンチンとの同率二位にランクインしました。その身だしなみにかける一週間あたりの平均は5.3時間(女性6.2時間、男性4.3時間)です。
Instagramで人気のファッショニスタJULIE SARIÑANA(フォロワー330万人)やフロリダのショップオーナーDaniellaなどなど、アメリカには人々の注目を集める美意識の高い人が沢山いるということも、おしゃれや身だしなみに気を抜けない理由かもしれません。また、「アメリカのビジネスマンは、太っていると自己管理能力がないとみなされる」というのも良く知られた話ですよね。そのため、男性もジムに通ったり外見に気を使っている人が多いと言われていますが、なんと近年では、すね毛のお手入れをする男性が増えているのだとか。「Men’s Health」という雑誌が行ったアンケートによると、男性の15.3%が完全に足のすね毛を剃っていて、他にも33.1%が何らかの手入れをしているのそうです。そしてアメリカの女性の半数以上がそれを好意的にとらえているのだとか。
そういったお手入れブームが加速したら、数年後には「身だしなみに時間をかける国」のトップ奪取もあるかもしれませんね。
第一位:イタリア
堂々トップのイタリア人が、身だしなみにかける時間は、一週間あたりの平均で5.6時間(女性6.2時間、男性5.0時間)。一日に直すと、毎日大体48分くらいかけていることになります。
イタリアといえば、言わずと知れたファッション大国。アルマーニやグッチ、フェラガモのような世界的に有名なブランドを数多く輩出している国ですから、国民がおしゃれじゃないはずないですよね。鏡の前で過ごす時間が長そうなので、必然的に身だしなみにも気を遣うのかもしれません。
そしてイタリアの特徴として、男性が他国より身だしなみに時間をかけていることが優勝(?)に貢献しています。イタリア人男性は眉毛のカタチにこだわったり、髭のスタイルにも一家言あるのだとか。特にbarba di tre giorni(三日髭)という、日本だと無精ひげと分類されてしまいそうな顎髭が女性に人気があるそうで、Philipsのイタリア語サイトでも「おすすめのひげ」にリストアップされています。
女性のみならず男性もセルフケアに手間暇を惜しまないイタリア、これは間違いなく世界一の身だしなみ大国ですね。
ここまでは上位3か国のご紹介でしたが、次からはワースト3の登場です!
ワースト三位:日本
なんとなんと、ワースト三位は我らが日本! 一週間平均で3.6時間という結果になりました。GfKジャパンが日本に関するデータを詳しく書いてくれていたのですが、これによると日本の女性が身だしなみにかける時間は一週間で4.4時間、男性が2.8時間だそうです。日本人は身だしなみに気を使っているイメージを勝手に持っていたので、驚きを隠せません。やはり忙しい日本人は、お手入れにかける時間も効率化して、時短で乗り切っているんでしょうか。
日本人回答者が身だしなみに時間をかける理由として、「自分が良い気分でいるため」、「思い通りの自分でいるため」、「初めて会う人に好印象を与えるため」がほぼ同率でトップとなったそうです。日本では、自分の気持ちと同じくらい、他人が自分をどう見ているかを意識することが身だしなみを整えるモチベーションになっているんですね。これは他の国には見られない傾向だということも興味深いです。
ワースト二位:韓国
ワースト二位は、アジアから韓国がランクインです。韓国は、男女平均で一週間のお手入れ時間3.3時間だそうです。韓流スターのイメージのせいか、韓国の方はおしゃれだという印象があるので、意外ですね。
オリジナルのGfKリサーチ結果だとワースト国の男女別時間は見られなかったのですが、先にご紹介していた上位3か国がすべて男性の身だしなみ時間が長かったことが勝因になっていることから推測すると、もしかしたら韓国は男性のお手入れ時間が短いことがネックなのかもしれませんね。しかし近年は韓国の男性も徐々に外見のケアに目覚めてきているようで、大韓航空が男性職員にメイクアップ講習を開いたり、BBCが韓国男性のおしゃれに関して記事を掲載したりしています。この流れが加速すれば、韓国の身だしなみ時間も長くなってくるかもしれません。
ワースト一位:中国
22か国中、一番身だしなみに時間をかけない国となってしまったのは中国でした。男女平均で一週間に2.9時間しか身だしなみに時間をとらないそうです。一日に直すと24分強といったところでしょうか。中国の年配の女性にお化粧の習慣はなく、そういう母親を見て育った若い世代も、まだまだ毎日メイクの習慣は浸透していないようです。
ただし、コスメティックブランドL’Oréalチャイナが2014年にスタートした「Makeup Genius」(メイクの天才)という、画面に写る自分の顔にメイクを施して楽しめるアプリは1年で1千400万ダウンロードに達したそうです。この数字を見るだけで、スマートフォンを持つ若い世代はお化粧に興味を持っていることが伺えますね。中国がおしゃれに目覚める日も、遠くないかもしれません。
身だしなみに時間をかける国とかけない国の合計6か国の結果、いかがでしたか? うなずける国あり、意外な国もあったのではないでしょうか。
けれどやはり、おしゃれや身だしなみに重要なのは時間の長短ではなく、いかに自分らしくいられるかなのではないかと筆者は思います。義務感で長い時間をかければいいというものではないですし、おざなりにしすぎて自分に自信を持てなくなるのも辛いですよね。どこの国にいても女性でも男性でも、楽しみながら自分のケアをしていかれるのがベストなのではないでしょうか。
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