【TABIZINEインタビューVol.16 フォトグラファー ヨシダナギ氏】

(C) Maaya
「世界一ファッショナブルな民族」とも言われる、エチオピアのスリ族を撮影した写真集、『SURI COLLECTION』の発売記念個展を開催したヨシダナギ氏。アフリカや途上国で写真を撮りながら、アフリカ人の美しさや魅力を伝え続けるヨシダ氏に、撮影秘話や旅のスタイルについてお話を伺った。
大きくなったら、アフリカ人になれると思っていた

(C) Maaya
ー現在のご活躍はアフリカ人への憧れがはじまりのようですが、どのようなきっかけがあったのですか?
子供の頃に「マサイ族が日本の民家で生活をし、日本人がマサイ族の民家で生活をする」というようなバラエティ番組を見たことがあり、そのマサイ族がとにかくカッコよくて。大きくなったら絶対アフリカ人になりたい! と思ったのがきっかけです。子供たちが仮面ライダーってかっこいい! あんなふうになりたい! と思うのと全く同じ感覚でした。
ー初めてアフリカに渡ったのは?
2009年です。まずエジプトに2週間、その後エチオピアに2週間滞在しました。エチオピアを選んだのは、できるだけ多くの少数民族に会いたかったから。お父さんにはメチャメチャ反対されましたね。それまでお父さんは海外に行ったことがなかったので。そんなわけで、2回目以降は黙って旅立ちました(笑)。
最初は、写真の撮影というよりは、ただ彼らに会いたかったんです。それまで周りの人にアフリカやアフリカ人が好きだと言うと全否定され続けていました。「何で飢餓や内戦で苦しんでいたり、エイズウィルスが蔓延するアフリカが好きなの?」と言われたこともあります。でも「私の好きなアフリカはそんなはずはない! 眩しい笑顔の人たちも絶対いるはずだ!」という思いを実際に確かめたくて旅しました。実際に素敵な人たちはたくさんいて、その証拠として彼らの笑顔を写真に収めたんです。
ー写真を本格的に撮ろうと思ったきっかけは?
ここ2年ですね。趣味でアフリカ人を追いかけて撮影してただけなので、写真家になりたいという思いは全くありませんでした。むしろ、アフリカ人からフォトグラファーという仕事をもらったと言ってもいいくらいかな(笑)。
彼らは想像以上にビジネスライク

(C) nagi yoshida
ー少数民族の撮影で大変だったことはありますか?
彼らは見た目的には、思い描いていたそのまんま。ただ想像以上にビジネスライクだったのが最初はちょっとガッカリしちゃいました。だって、彼らはシャッターの回数をしっかり数えていて「○○枚撮ったんだから××円払え!!」って怒り出すんですもん。あまりにも観光客慣れしている姿に最初は距離感も感じてしまったのが本音です。
彼らはそんな温度感なんで、時にはすごく嫌な顔をされて写真を撮らせてもらえないことも何度かありました。とにかく私は英語が全くしゃべれなかったので、最初の頃は意思も伝えられず・・・。でも勉強は嫌いなんですよ(笑)。だから1回目の渡航で「英語話せなかった、写真撮れなかった、仲よくなれなかった」という悔しい思いがあったものの、英語の勉強をせずに半年後にまたアフリカへ。でもやっぱり話せるわけがなくて(笑)。電子辞書のおかげで多少はわかるようになりましたが。3回目の渡航でようやく、相手が言っていることはなんとなくわかるようになりましたが、私自身はあまり上手に話せませんでした。
仲よくなるために、“脱いで”みた
ー“脱いで”撮影するスタイルのきっかけは?
子供の頃にテレビでマサイ族を見た時、「この人たちと仲よくなるには、同じ格好をすれば受け入れてくれるだろう」という根拠のない自信がなぜかありました。2012年カメルーンのコマ族に会った時「この人たちと同じ格好をしたい」とガイドに伝えてみたんです。最初はかなり驚かれましたが、押し切って脱ぎました。すると、それまですごく嫌な顔をしていた彼らが笑って踊り始めたんですよ。自信は確信となり、脱げばどの民族でもイケるんじゃないかと思って他の地域でも試し始めたんです。
ー服を着ていると部外者的な扱いされるのですか?
彼らは服を着る文化と着ない文化をちゃんと知っているんです。でも服を着ないことが彼らの正装だから、「服を着ることを自分たちに押し付けないで」と考えています。私が脱ぐことは、“羞恥心があるのに脱いだ” “自分たちの文化へのリスペクトを示してくれた”という誠意に伝わったようです。
ただ、集落ではそのまま裸で歩かせてくれましたが、近くの町に買い物へ行こうとしたら彼らはすぐ私の胸を隠したんです。「絶対に危険だから!」と。それは私が本来脱がない民族であり、脱ぎ慣れてない人が脱ぐということはいやらしい印象にもなりかねない、という考えなのだそう。「私たちの前では裸をさらしていいけど、他では絶対に見せちゃだめ」といくつかの部族で言われましたね。
「(ネットの写真などから)裸族が好きなくせに、何でオマエの乳首は隠すんだ」と指摘されることがあるんですけど、裸族の彼ら自身が「自分たちは隠さなくていい。これが正装だから。でもあなたは私たちにリスペクトを見せているのであって、他の人に見せる必要はないよ」と言われているからなんです。彼らが自分たちは少数派であることをよく理解しているのが、とても驚きでした。

1SECに探る「NFTがもたらすライフスタイルの変化」とは?~CAから転
Apr 18th, 2022 | TABIZINE広告部 【PR】
ロサンゼルスと東京を拠点にweb3プロジェクトを開発運営する「1SEC」。とはいえ、まだまだそれらの新しい技術に馴染みを感じていない人も少なくないかもしれません。そこで今回は、同社でPRを務める小濱庸子さんに同社の事業内容をインタビューしてみました。客室乗務員からデジタル業界への転身というユニークなキャリアを持つ方ですが、日本初のデジタルファッションレーベル「1BLOCK」やNFT事業の内容や魅力、小濱さんが見るライフスタイルの変化などを探ってみましたよ。
国際ロマンス詐欺ってなに?「ネットの出会い」にバイリンガル探偵が警鐘!
Apr 6th, 2022 | 坂本正敬
新型コロナウイルス感染症の影響で、なかなか海外へ行けない状況が続いています。そうなると非日常の何かを求め、マッチングアプリで外国に友達を探す人もいるかもしれません。ただ、それらで外国人とのコミュニケーションをとる場合には、注意が必要のようです。そこで今回は、株式会社Japan PI代表にして国際ロマンス詐欺にも詳しい、調査員歴30年以上の「バイリンガル探偵」の小山悟郎さんに、インターネット上での友達づくりの注意点を聞きました。
迷ったらリバーシブルコートが正解!?バイリンガル探偵的「旅支度の成功法」
Apr 5th, 2022 | 坂本正敬
そろそろ久々に海外へ行きたいと思っている人は少なくないのではないでしょうか。しかし、久々すぎて、旅の荷造りやちょっとした旅先でのノウハウを忘れている人もいるかもしれません。そこで今回は上手な旅支度の参考にすべく、株式会社Japan PI代表にして調査員歴30年以上の「バイリンガル探偵」小山悟郎さんに、国際探偵流の旅の工夫を教えてもらいました。
キャンプ場スタッフに聞いた!キャンプ女子&初心者が知って得すること・気を
Mar 1st, 2022 | すぎさく。
キャンプを楽しんでみたいけど、何から始めていいのかわからない……。なんていう人も多いかもしれません。そこで今回は、キャンプ歴20年以上の「大洗サンビーチキャンプ場」を管理する事務局長・光又新二さんに、キャンプ場の選び方や楽しみ方、注意点などを伺いました。キャンプ女子も入門者も要チェックですよ!
ヨーロッパなのに日本的な一面も!ポルトガル政府観光局職員が語る同国の魅力
Feb 21st, 2022 | 坂本正敬
各国・地域の観光局に勤務する日本人スタッフを通じて見える「その国の魅力」を紹介する当不定期連載。今回は、ポルトガル政府観光局の高岡千津さんにお話を伺いました。ポルトガルというと、種子島(鹿児島県)に鉄砲を伝えた歴史や、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド選手のイメージが先行しがちですが、日本人にとっては、最高の旅先になってくれる可能性も高そうですよ。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
【TABIZINEインタビュー】ヒロシさんが見つけた「旅と仕事」のイイ関
Jan 27th, 2022 | 渡邊玲子
人は誰しも、それぞれの旅の途中……。今回はお笑い芸人、タレント、YouTuber、そして個人事務所の社長としても活躍するヒロシさんにインタビュー。2022年1月19日にfreee株式会社から新創刊された雑誌『起業時代』創刊記念CM発表会出演後のヒロシさんを直撃しました。ヒロシさんにとって旅やキャンプとは?
世界的に高評価のワインと新鮮な魚介類が楽しめる!南アフリカ観光局日本人ス
Oct 11th, 2021 | 坂本正敬
なかなか海外旅行に出られない時代が続いていますが、海外への理解を深める学びは継続できるはず。各国の観光局に勤める日本人スタッフを通じて海外の文化を理解する連載をTABIZINEでは組んできました。第3回は、南アフリカ観光局の近藤由佳さんに現地の魅力やカルチャーショックを教えてもらいました。
JALの空港ラウンジに学ぶ、快適な空間をデザインする秘訣とは?
Oct 1st, 2021 | TABIZINE編集部
長引くコロナ禍でテレワークや在宅勤務が増えた今、オフィス以外でも快適な空間で仕事をすることが重要視されています。そんな中、参考にしたいのが空港のラウンジ。飛行機に搭乗する前に休憩するのはもちろん、仕事をする人も多い場所です。そこで、日本航空(JAL)のラウンジご担当の方に、羽田空港のJALラウンジのコンセプトや快適な空間づくりへのこだわりを伺い、自宅やテレワーク場所の快適な空間を整えるうえでヒントになる情報を紹介します。
スーパーマーケットはお土産の宝庫!「香港の魅力」を政府観光局の日本人スタ
Jun 25th, 2021 | 坂本正敬
新型コロナ感染症の影響でなかなか海外へ行けない日々が続いています。少しでも海外を感じてもらえればと、TABIZINEでは各国の政府観光局に勤める日本人スタッフに話を聞いてきました。第2回目の今回は香港政府観光局に勤務する林麻里衣(はやし・まりい)さんに、日本に居ながら香港を感じられる言葉やエピソードを聞かせてもらいます。新型コロナウイルス感染症が終息し、再び旅へ出られる時代になった時の参考にしてくださいね。
会議にバリスタを呼ぶ!?オーストラリア観光局の日本人が見た現地のカルチャ
Apr 13th, 2021 | 坂本正敬
新型コロナウイルス感染症の影響で海外旅行が自由に行き来できるようになる時代は、もう少し先かもしれません。そこで、少しでも海外を感じてもらえるように、TABIZINEで新企画をスタートします。各国の政府観光局に勤務する日本人スタッフに焦点を当て、彼ら・彼女らの向こう側に透けて見える諸外国の文化や暮らしを感じてもらうという内容です。初回はオーストラリア政府観光局の加藤典子さん。筋金入りのオーストラリアファンはもちろん、漠然と「オーストラリアに行ってみたいな」と思う人も、最後まで読んでくださいね。