私たち日本人にとって当たり前の景色も、外国人には別のように映ります。外国人にとって日本の景色は、目新しく、興味深いもの。今回は3人のフランス人に協力をお願いし、日本旅行の際に撮った写真にそれぞれコメントをつけてもらいました。日本の風景をどのように見て、何を感じ取ったのでしょうか。
大阪の街に魅せられて
(C) Sylvain Péron
まず一人目は2009年12月と2010年5月に大阪旅行したフランス人男性シルヴァンの写真から見ていきましょう。シルヴァンさんは日本の大都市の交差点やラッシュ時のホームが印象的だと言います。人々は決まったルーティンの行動をしているよう、その中に身を置くのはまるで自分が異邦人のように感じられるのだとか。少し混乱してしまいそうだけど、決して居心地が悪いわけではない。大都市、大阪の真ん中で詩的な体験をしたようです。
(C) Sylvain Péron
シルヴァンさんにとって日本旅行の思い出は日本食。特に大阪は食い倒れの街。街のいたるところにたこ焼き屋やお好み焼き屋があり、今でもその匂いが思い出されるのだとか。市場にはフルーツや野菜、魚などフランスでは見たことのないものばかりが並び、楽しい発見をしたそうです。今まで味わったことのない日本料理を食べることができたのは、今でもいい思い出だそう。
(C) Sylvain Péron
パリは高層ビルの規制があって、街が横に広がっています。大阪は高層ビルが立ち並ぶ縦に伸びる街。高層ビルが印象的だったそうです。特に一つのビルの中にショップ、アパート、オフィスが入ってるというのはフランスでは見られない光景。カオス的で面白い景色に感じたとのことです。
日本の美しい四季と風景
(C) Simon Richard
二人目は2013年11月と2015年4月に日本旅行をしたフランス人男性シモンさん。シモンさんが選んでくれたのは秋の井の頭恩賜公園の景色。秋の美しい紅葉に、温かな日差しがさし、湖にはスワンボートが浮びます。とりわけスワンボートは古い写真に出てくるようで印象的。秋の井の頭恩賜公園の風景はノスタルジック。フランスから来たにもかかわらずどこか懐かしい気持ちになったのだそうです。
(C) Simon Richard
東京タワーやスカイツリーはいつも観光客で溢れていますが、東京都庁舎の展望室は人も少なく、東京の街をゆったりと眺めることができます。ここから眺める東京の景色はシモンさんにとって印象的だったのだそうです。目の前には街が広がり、そこには個々の人生があります。その風景からは大都市の孤独が感じられると同時に、遠くに見える富士山が父親のように温かく見守っているように思えたのだそうです。
(C) Simon Richard
桜の時期に日本を訪れたシモンさんは日本の桜の景色は美しかったと言います。特に京都で見た桜で印象的だったのは、お寺の桜。普遍的な存在であるお寺の前に咲く儚い桜は、その対比が興味深く、幻想的な風景として目に映りました。
映画ロストイントランスレーションの体験を
(C) Aurélie Rose
(C) Aurélie Rose
最後に紹介するのは、2012年に日本旅行をしたフランス人女性オレリーさん。街の中には電飾が街を彩り、群衆が溢れる大都会に共存するひっそりとあるお寺や神社。この相容れないコントラストが日本の魅力だと語ってくれました。都会で見つけた稲荷神社の赤い鳥居は特に印象的だったそうです。
(C) Aurélie Rose
オレリーさんもまた日本旅行では日本料理が旅のいい思い出。日本料理はその美味しさだけでなく、見た目も美しいのが印象的。広島の宮島で食べた紅葉まんじゅうと抹茶のセットは、シンプルで、洗練された美しさ美味しさだったそうです。
(C) Aurélie Rose
東京の夜の街は「大都会の森の中でなんだか自分が小さなアリになった」ように思えたそうです。電飾がまるで多色な旗のようで、とても詩的。東京の街はパリと比べ無秩序で少し野蛮的に思えるのだけれど、それがこの街の魅力なのだそうです。
私たちが普段当たり前に目にする日本の風景も外国人にはこのように映るのは興味深いですね。こうして外国人の目線で日本を見ると、私たちも日本の魅力を改めて発見することができるようです。