あなたが朝出社して、一番先にする仕事は、パソコンに電源を入れてメールをチェックすることではないでしょうか? 納期の督促や確認、ミーティングの連絡、大事なアポイントメントなど、メールでのやりとりは仕事に欠かせないものです。
後あとまで残るメールは証拠にもなりますし、他の人へ転送される可能性もあり、気が抜けません。漢字変換の誤字はないか、文章が簡潔か、なるべくやりとりが少なくて済むよう書けているか、何度も見直すものです。
思う以上に時間を取られるビジネスメールは、いったいどうすれば効率的に片付くでしょうか。書籍『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』で提案されている方法を参考に、自身の体験もまじえてご紹介いたします。
1.期限を切る
「お手すきの時にご返信ください」のような曖昧な書き方では、後回しにされがち。
仕事を相手のペースに委ねてしまうと、あなたはいつも “待ち”の状態。忙しい相手であっても〝期限〟を設定したほうが、返事しやすいものです。急ぎのものは3日後ほど、最長1週間ほどで期限を切り「途中経過でも結構ですので、●月●日までにご連絡頂けると、大変助かります」と、自分のペースに持ち込みましょう。
もちろんあなた宛のメールで、即答できない場合は「確認を取りますので、●月●日●曜日の午前中までにご返信いたします。今しばらくお待ちください」と返信したほうが親切です。「午後まで」の場合は、5時迄になど時間を明確にしたほうが、お互いの認識のずれがなく明確です。
2.届いた順に返信を
メールの優先順位を検討するのは、時間のムダ。仕事が速い人ほど、「来た順」に淡々と返信していくものです。あの取引先の担当者は苦手などと後回しにすると、どんどん返信が遅くなり、トラブルの元になりかねません。
3.クレームの返信は、相手からの件名を変える
怒っている人がメールを書く時、件名も感情的な場合があります。そのまま返信しようものなら、相手の怒りの感情が再燃しますし、大変失礼になります。件名は「不手際についてのお詫び」「●●に対する件」などに変えましょう。クレームに対しては、上司に話を通して、返信のメールも確認してもらったほうが良いかもしれません。
また、やりとりが続く相手に同じ件名で送り合うと、相手がメールを見逃してしまう可能性がありますので、「●月●日のアポイントは●時で可能です」など件名を変更しましょう。
相手から過去に来たメールをそのまま使い、今回の用件に関係のない件名で送信するのも大変失礼にあたります。
4.金曜夕方に大事なメールを送らない
翌週に仕事を持ち越したくないので、金曜夕方にメールを送る人は多いもの。1週間で一番受信が多い月曜朝の受信トレイに、重要なメールが埋もれてしまっては困りますね。
忘れないように下書きする、メモをパソコンに貼っておくなどして、月曜日出社後に送りましょう。月曜日の朝一番に優先して仕事をしてくれたのだなと思うと、相手も嬉しいものです。
5.転送されても恥ずかしくないメールを
あなたが送ったメールは、相手の上司や同僚に転送される可能性があります。簡潔に、ポイントを分かりやすく、期日と曜日を正確に書くこと。急ぎのメールであればあるほど、慎重に。日にちや時間を間違えると混乱を招きます。また、ありがちなのが、パソコンでの漢字の変換間違い。後々まで恥をかかないよう、慌てて送らず、3回は見直してから送信すること。
6.相手に感謝を伝える
あなたがビジネスメールに時間を割くように、相手も多忙な時間を割いて返信してくれています。待っていたメールに返信をもらうと嬉しいものです。「お忙しい中、早速お返事いただき、ありがとうございました」「いつも素早く対応いただき、大変助かります」などあなたの感謝の気持ちを伝えましょう。
同様に自分も出来る限り早く返信し、事情により遅くなった場合は、「大変お待たせいたしました」など気遣う言葉を添えると相手の心も和らぐはずです。
7.未入金の督促は、とにかく我慢で冷静に
取引がなくなってしまった相手の未入金は、本当に困ります。感情的になって、喧嘩してしまっては回収できません。未入金を回収したメールを、実例から紹介してみますね。
【回収例1】
長く付き合いのあった取引先なので、とにかく我慢で「●月●日現在、請求分の入金確認が出来ておりません。ご面倒でも、お振込の確認をお願い致します。」とメールを送ったそうです。相手から「調査中ですので、しばらくお待ち下さい」などの漠然としたやりとりが2か月ほど続きました。そこで「貴社とは●年間お付き合いをさせて頂いており、今まで滞りもなくご入金いただいておりましたこと、感謝し信頼致しております。今回のご入金も間違いのないことと信じて、お待ち申し上げております」と相手の誠意に訴えてみました。
その2週間後に、売掛金は回収出来ました。
【回収例2】
紹介された大きなプロジェクトの仕事で、大手出版社の下請け仕事でしたが、何度請求書を送っても未入金のまま。メールでの照会には、「しばらくお待ち下さい」の一点張り。電話をかけても、担当者不在の居留守を徹底。結果、未回収のまま3年も経ちました。相手の不誠実さ、金額の大きさ、今後の取引予定もないことから、荒技を思いついたそうです。
送信先を未収金の下請け会社のほか、CCには親会社の大手出版社の社長、仕事を紹介してくれた相手、一緒に仕事をした関係者全員にして、最初の仕事の依頼から未入金の督促までの3年間すべてのメールの履歴を時系列に並べ未入金督促のメールをしました。親会社の社長にまでメールを送られたため、慌てた下請け会社は入金を約束し、その月末に3年ぶりに回収が出来ました。
メール上手は仕事上手
メールは難しく気を使うものですが、次第に要領がわかってくるものです。
簡潔に
相手に分かりやすく
日にち曜日時間を正確に
返信期日を設けて
感謝の気持ちを心がけて、やりとりしましょう。
メールには人柄も、仕事ぶりも、垣間みえてしまうもの。
メール上手を目指せば、一ランク上の仕事が出来るはずです。
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